2017年6月26日

甲斐犬ってどんな犬?その魅力や歴史と飼うときのポイント

甲斐犬と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。虎毛と言われる魅力的な被毛、あるいは勇敢で猟犬らしい性格でしょうか。

はたまた飼い主にだけ強い忠誠心を見せる犬、飼うのが少し難しいって噂は本当なのか、などでしょうか。

今回は、世界的にもじわじわ人気が高まりつつある魅力的な日本犬の甲斐犬についてお話しします。

甲斐犬の基本 〜歴史やルーツ、特徴など〜

桜の木と甲斐犬

甲斐犬の歴史

甲斐犬は山梨県の甲斐地方で、長いあいだ人間と暮らしてきた猟犬です。日本原産の犬ですが、そのルーツは北方のスピッツ犬種だと言われています。

また、古くは縄文時代の遺跡から甲斐犬にそっくりな骨格を持った犬の骨が出土しています。甲斐地方の山岳地帯で交配を繰り返すことで長い時間をかけて犬種として確立しました。

日本犬種の中では昔から人気があった秋田犬や柴犬と比べて、甲斐犬は近年まで海外に輸出されることがほとんどありませんでした。

それは日本のブリーダーたちが、今なお猟犬として生きることができる甲斐犬が欧米のパートナー犬としては不向きだと判断したこと、さらに欧米での交配によって猟犬らしさが薄れて愛玩犬となることを危惧したことが挙げられます。

甲斐犬は昭和9年に秋田犬に続いて日本の天然記念物となった由緒正しい日本犬であり、今も愛好家に愛され守られている誇り高い犬種です。

名前の由来

川のそばで座っている甲斐犬 甲斐犬とは、甲斐地方の土着の犬種であることから名付けられました。歴史を遡ると、昭和7年に日本犬保存会の初代会長である齋藤弘吉らによって行われた甲斐地方に群生している立ち耳で虎毛の犬の調査の結果「甲斐犬」と名前がついた犬種だと言われています。

また、その特徴的で虎のような被毛により、「虎毛犬」としても親しまれています。

甲斐犬の体型と特徴

公園で走っている甲斐犬 甲斐犬は大きく二つの種類に分けられます。鹿を狩るための「鹿犬型」とイノシシを狩るための「猪犬型」です。

現在、ずんぐりむっくりとした体型の猪犬型は希少とされ、ほとんどの甲斐犬は細長く筋肉質な体型をした鹿犬型となっています。

甲斐犬の最大の特徴は虎毛と言われる被毛です。幼少期は黒一色ですが、成長するにつれてダブルコートの美しい虎毛となります。

この虎毛は、山の中で狩りをする際、獲物から身を隠すカモフラージュの役割を果たすと考えられています。

魅力的な虎毛は3種類!

甲斐犬の魅力を最大限に引き立てる虎毛は、3つのカラーがあります。

黒虎毛

茶褐色の被毛に、黒い虎毛が入っているもので、甲斐犬の中で最も主流のタイプです。

赤虎毛

光を通すとビール瓶のような美しい輝きを見せる赤茶色の甲斐犬を赤虎毛と呼びます。
名前の響きもかっこいいですが、その作出が難しく、個体数も少ないため甲斐犬の中でも非常に人気の高い毛色です。

中虎毛

前述した黒毛と赤毛が混在するタイプの甲斐犬です。この中虎毛を作出の段階でできたいわば雑種のような捉え方をされる場合がありますがこれは間違いで、れっきとした甲斐犬のカラーの一つとして認定されています。

三色ともそれぞれ違った魅力がありますが、ショーなどに出場するスタンダードとしては、虎毛がしっかり出ていることが望ましいとされています。

甲斐犬のサイズと体型

甲斐犬の体高は50㎝前後、体重は15〜18㎏前後が平均とされており、日本犬の中でも中型犬に位置する犬です。

甲斐犬の体は全体的に筋肉質でよく引き締まっています。傾斜が急な岩場で狩りをしていた為、縦に飛ぶ跳躍力が非常に発達しています。

甲斐犬の平均寿命と長生きのヒント

甲斐犬の平均寿命は12〜16歳と他の犬種に比べて長めです。

これは、甲斐犬が長い時間をかけて様々な犬と交配することで生まれた犬種で、近親交配の際に起こりやすい遺伝的疾患が少ないためと言われています。

病気に強く、「病気知らず」と言われるほど丈夫なのも甲斐犬の大きな特徴です。

甲斐犬の性格は?

ボール遊びをする甲斐犬

甲斐犬にとってご主人様は絶対的存在!

甲斐犬の性格は、日本犬らしく飼い主にひたすら従順で献身的です。その一途で飼い主だけを信じてついてくることから「一代一主」とも言われるほどです。

もともと猟犬であり、その性質から非常に警戒心が強く、その警戒心が攻撃という形で現れることがあります。

そのため、飼い主は幼少の頃からしっかりとした信頼関係を結ぶことが何より大切です。

甲斐犬をしつけるときは、犬本来が持つ「群れ」という感覚、またその主従関係を意識して向き合う必要があります。

飼い主以外の人間に対してはそっけない態度を見せますが、飼い主の前では子犬のように甘えてくるいじらしい一面を持っています。

常に冷静沈着で、高い判断能力を持っているので、番犬としても非常に優秀です。無駄吠えすることはほとんどなく、とにかく飼い主の言うことをよく聞くとても頭のいい犬です。

他の日本犬は飼い主に従順でありながらも、飼い主にベタベタと触られることを嫌がる性質があると言われています。
(※もちろん個体差はあります)

甲斐犬はそういったところが全くない為、飼い主の行動に自分の行動を合わせることができます。


甲斐犬を飼うときのポイント

飼い主の膝の上に乗っている甲斐犬の子犬

甲斐犬には広めのケージがおすすめ

甲斐犬は縄張り意識が強いので、室内でも室外でも自分のテリトリーをはっきりさせてあげるために、ケージで囲ってあげるのがおすすめです。

自分が独占できるスペースを与えてあげることにより、甲斐犬をリラックスさせてあげることができます。

甲斐犬の運動量とお散歩は?

甲斐犬に必要な運動量はとても多く、1日最低1時間は散歩させてあげる必要があります。

定期的に自転車などで引いて走らせるなどの運動をさせてあげることも大切です。

また、自由に走り回るのも大好きなので、庭やドッグランに連れて行くことをおすすめします。

しかし、興奮すると他の犬に対して干渉する可能性があり、力の強い甲斐犬が遊びのつもりでじゃれついても、身体の小さい犬種を振り回してしまうこともあります。

庭を走り回らせることはいいですが、庭に放し飼いにするのは避けた方がいいでしょう。

番犬気質な甲斐犬を庭で放し飼いにすると、庭全体を自分の縄張りとして常に警戒してストレスが溜まってしまうからです。

ごはんは良質なタンパク質を

運動量が多く、筋肉質な甲斐犬の食事には良質な動物性タンパク質が欠かせません。

普段のフードに加えて、無添加で良質なペット専用の生肉をあげるのもおすすめです。

原始的な犬とされる甲斐犬は基本的に肉食のため、良質な肉を与えることで、被毛の輝きが格段に増します。

くれぐれも人間用のパック肉を生で与えることがないようにしてください。

まとめ

フリスビーをくわえて走っている甲斐犬 珍しい虎毛が野性味溢れる甲斐犬。もともと猟犬で犬らしい犬なので、一般家庭で愛玩犬として飼育するのは簡単ではありません。

しかし、一度飼い主として認められて信頼関係を築けば、一生をかけてあなただけを信じてついてきてくれる最高のパートナーになる犬です。

他の犬とは一線を画した魅力溢れる甲斐犬は、一層責任感を持ってお迎えされることを強くおすすめします。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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