2017年7月4日

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークってどんな犬?その性格や歴史

大きめの頭にピンと立った大きな耳、まん丸な体にちょこんとついた短い足。愛らしいフォルムで大人気のコーギーですが、実は2種類いるってご存知でしたか?

しかもその2種類は、祖先犬もルーツもまったく異なっています。

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの基礎知識

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの歴史

芝生の上で寝転ぶコーギー 一口にウェルシュコーギーといっても、ペンブローク種とカーディガン種では歴史が大きく異なります。日本でも人気が高く、一般的にコーギーと言われてみなさんの頭に浮かぶのが、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークです。

その歴史はカーディガン種に比べると浅く、そのルーツも詳しいことはわかっていない部分が多いのですが、有力な説の一つとして12世紀初頭にヘンリー一世に召喚されたチャネル諸島の人々が連れてきた犬だという話があります。

そしてそのルーツを辿ると、元はヴァイキングの犬であるスウェーディッシュ・ヴァルハルトに行き着くとも言われています。

スウェーディッシュ・ヴァルハルトは、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークと同じ胴長短足が特徴の犬なので、この犬種の成り立ちに深く関わりがあると考えられています。

誕生したばかりの頃のウェルシュ・コーギー・ペンブロークは、牛を追いかける犬として活躍し、その後スピッツなどと交配され改良が進められました。

その後ヘンリー2世の愛玩犬となってからは、ペットとしての人気が急上昇したため専門の繁殖家たちによって繁殖が進み、現在の姿になったと言われています。

この犬種のイギリス王室との関わりは深く、現在のイギリス女王であるエリザベス女王もウェルシュ・コーギー・ペンブロークを飼育しているのもとても有名です。

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの特徴

公園で立っているコーギーペンブローク(しっぽ有り) 大きな耳に胴長短足でぽてっとした体が愛らしく、日本でも大人気のウェルシュ・コーギー・ペンブローク。体高に比べて体長が長く、柔らかそうに見える体は意外に筋肉質なのが特徴です。

よく見かけるウェルシュ・コーギー・ペンブロークは尻尾が短いため、この犬種はもともと尻尾が短いという認識を持っている方もいるかもしれませんがそれは間違いです。

ベンブローク種のカーディアン種との大きな違いとして、「断尾の習慣」があります。ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは生まれた時にはふさふさした長い尻尾がありますが、生後間もなく人間によって断尾されます。

これは、18世紀のイギリスで尻尾のある犬に課税されていた名残だとか、もともと牧畜犬だった頃に大きな耳とふさふさのしっぽによって遠目にキツネと間違われて人間に撃たれてしまわないように断尾していたからと考えられています。

ペットとして飼育するには、もちろんふさふさの尻尾があっても問題ありません。しかし日本でもコーギーの尻尾は短いという認識が根強く、その容姿のファンも多いため、断尾は機能面ではなくただの習慣として残ってしまっている面もあります。

ベンブローグ種はイギリスで絶滅危惧リストにはいったことがある!?

お手をしているコーギー 女王陛下の愛犬として人気を博した本国のイギリスでは断尾を行うことに抵抗を持った繁殖家が増えています。

そのため尻尾が短いことが理想とされるベンブローグ種の交配が極端に減ったため、現在ベンブローグ種の登録件数は徐々に減ってきているとされています(※)。

もちろん「ペンブロークが近い将来見られなくなる………」というほどの状況を伝えるニュースではありません。あくまでイギリス内で純血種の新規登録数が減っている、というお話です。

コーギーを含め、犬は人間との生活、またその文化に根強く関わる動物だからこそ、時代の変化を受けこうした現象が起きていることは事実なのでしょう。

(※)…こちらの情報は英ケネルクラブが2013年に発表したものです。

絶滅危惧リスト入りの基準は「その年に新たに300頭の登録があるか」がボーダーライン。

2013年のペンブローク種の登録が、報道の時点で241頭、年内に300頭に達する見通しがなかったためにリスト入りしました。

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークのサイズ

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの体高はカーディアン種より一回り小さく、25~30cm、体重は9~12kgが理想とされています。

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの性格は?

ハスキーと遊んでいるコーギーの子犬 活発で明るく、遊ぶのが大好きな犬種です。また、牧畜犬だった頃の習性もあり、飼い主の様子をよく観察しています。そのぶん状況判断力も高く、とても飼育しやすい犬種と言われています。

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークはカーディアン種に比べて、敏捷性が高いと言われています。

踵を噛むことで牛の行動をコントロールしていたペンブローク種なので、本能的にかみつきぐせが着いてしまうことがあります。噛み付くのはダメなことだと小さい頃から根気よく教えてあげることが大切です。

飼い主と遊ぶことを好む性格ではありますが、一人の時はきちんと一人での時間を過ごすことができる、自立心のある犬でもあります。一人遊び用のおもちゃでも喜んで遊ぶ性格の個体が多い犬種と言えるでしょう。


ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの寿命と長生きのコツ

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの平均寿命

床で寝そべっているコーギー ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの寿命は一般的に11~14歳と言われています。これはその個体の健康状態によって大きく左右されるため、次のことに注意して健康管理を行ってあげることが大切です。

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは腰に注意!

柵にもたれかかっている肥満気味のコーギー 胴長短足の犬種全般に言えることですが、長い体を短い足で支えていることによって腰に負担がかかるため、椎間板ヘルニアなど腰の病気にかかりやすくなっています。

長生きの秘訣は?

腰の病気にかかると自由に運動できないことから肥満になり、結果として寿命が短くなることがあります。そのため、家の中では小さな段差などでもなるべく取り除いてあげることが大切です。

階段の上り下りや、ソファの上り下りなどで、腰に負担がかからないように注意してあげましょう。階段の前には柵を、どうしてもソファに上がりたいようであればステップをつけてあげるといいでしょう。

また、滑りやすいフローリングでも腰を痛めることがあるので、カーペットなどを敷いてあげるのもおすすめです。

肥満体型も腰に大きな負担をかけます。コーギーは馴染みにない人から見るとどの子もプリプリ太っているように見えますが、実はくびれや背中の広さなどで理想体型との違いを判断することができます。コーギーをお迎えするのであれば、理想体型の基準もしっかり把握しておくことが重要です。

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークを飼うときのポイント

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークのお手入れ

短毛の被毛を持つ犬種ですが、週に2回ほどブラッシングをしてあげることで美しい被毛をキープすることができます。

ただしコーギーはダブルコート(※2)なので、さっぱりした見た目の割に抜け毛が多い犬種で、ブラッシングしているそばから毛が舞ったりします。

頻繁にトリミングサロンへ連れて行かないのであれば、普段からこまめにブラッシングしておいた方が飼い主さんも追々助かるかもしれません。

(※2)…【ダブルコート】二重構造になっている被毛。換毛期が年2回訪れ、その度にかなりの毛が抜けます。

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの運動量とお散歩は?

机の上のお菓子を食べようとしているコーギー ウェルシュ・コーギー・ペンブロークはとにかく食欲が旺盛で、よく食べる犬種です。

もともと牧羊犬で一日中運動をしていた頃の名残なのですが、イギリスの田舎でよく食べ、よく運動していた頃と同じような生活を現代社会の日本で行うことはとても難しいため、多くのコーギーが肥満傾向になってしまっているのが現状です。

日々の食事制限をしっかりと行い、できるだけお散歩に連れていってあげることが大切です。お散歩は1日2回、30分程度で、必ず体を動かすような環境にしてあげましょう。

コーギーはかなり体力があるので、ドッグランに連れて行くととても喜んで走り回る犬種です。しかし、先にお話した牛追いの名残などが他の犬へ向くと、コーギーが遊びのつもりでも体格が華奢な犬種にとっては恐ろしい存在になります。(噛む力もかなり強いです) 

思いっきり運動させてあげようと思うとどうしても人や犬が多い環境に出向くことになるので、小さい頃から他の犬と触れ合う時間を積極的につくって社交性や力加減を身に付かせておきましょう。

まとめ

女性の足元で座っているコーギー ロイヤルドッグとしてイギリス王室に愛されてきたペンブローク種。明るく活発で飼い主に従順な元牧畜犬なので、お迎えすれば愛嬌たっぷりの見た目も相まって素晴らしい家族の一員になってくれるでしょう。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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