2017年12月20日

【行政書士が解説】Q「避難所ではペットと一緒にいられる?~ペットのための避難訓練〈後編〉~」

監修にご協力いただきました!

平成元年3月 法政大学法学部法律学科卒業

(司法試験浪人)
平成4年3月 株式会社市進(現、株式会社市進ホールディングス) 入社
平成25年1月 行政書士試験 合格
平成28年2月 行政書士齊藤学法務事務所 開設

前編〉ではペット同伴避難訓練の必要性をお伝えし、〈中編〉ではペット同伴の避難訓練実施までの問題点を取り上げました。

本記事〈後編〉では、避難所での問題点について取り上げてみます。

避難場所での生活、基本的にペットと飼い主は「別」。

リードにつながれた状態でこちらを見つめている犬の様子 様々な障壁を乗り越えて避難訓練を行っても、そこで「はい、おしまい」とはいかないのです。

最後の重要な取り組みが残っています。それが、避難場所での生活なのです。

今までとは全く異なる住環境で、状況把握ができている人間でさえストレスを感じているのですから、ましてやペットたちにとっては全く理解できない事態です。

しかも基本的には、人間とペットの住空間は別々になっています。

▼「同伴避難」と「同行避難」の意味と現状
用語的には、飼い主とペットが一緒に避難所で過ごせる形態を「同伴避難」といいますが、あくまでも例外的なものに過ぎないのが現状です。

なので、「同伴避難」と「同行避難」の違いについて正確に知ることも、あまり意味はありません。

環境省も、ペットと一緒に避難する(同行避難)ことを推奨してますが、避難場所でペットと一緒に過ごす(同伴避難)ことまでは推奨していないのです。

理由として衛生問題を挙げることもありますが、実際にはペット同伴避難者とそうでない避難者の生活空間を分けることが難しいという、物理的な問題が大きいと思われます。

一般的な自治体では、避難場所での生活空間を人とペットで完全に分けるように決められています。

しかも、人の居住空間から一番遠いところにペットの場所を確保するように決めている自治体もあります。

なかには、避難所の運営をそれぞれの避難所運営会議に任せている自治体もあり、ペットの受け入れについても、各避難所に任せきりというところさえあります。

日頃、自治会活動にはなかなか縁がないという方が多いかとは思います。しかし、家族として犬や猫を迎え入れている以上、問題に直面してから慌てるような事態は避けたいところです。

防災に関しては積極的な情報収集を含め、お住まいの自治会と関わりを持つことも必要なのではないでしょうか。

避難場所でペットに関するトラブルを防止するために

屋外で空中に向かって吠えているチワワ ペットと生活を共にすることができない避難場所において、トラブル無く暮らすために、犬の場合は“しつけ”と“備蓄”がとても重要になります。

結果的に“しつけ”が愛犬を守る

いわゆる“社会性”を身に付けさせ、飼い主以外の人や他の犬や猫を恐れないようにしておくことが肝心なポイントです。

決して広くはない場所で、ボランティアの人たちの手を借りながらの暮らしですから、できるだけトラブルは避けたいものです。

前編〉で、避難訓練の際にも“しつけ”が重要とお伝えしましたが、いざという事態への最大の備えは、“しつけ”だと言っても過言ではないと思われます。

ペット用品の備蓄も大切

避難場所に移動する際、持ち出す防災用品を各家庭が用意してあると思いますが、ペットのための物資も必ず用意しておきましょう。

ペット用の救援物資が届くまでには時間がかかることも、想定しておいた方がよいと思われます。


最後に・・・

部屋の中から窓の外を見ているボーダーコリー 人間の子どもたちは、毎年避難訓練を経験しています。もしものときに備えて、最低限の準備は整えているのです。

ところが、ペットは家族の一員だと思っている方がたくさんいるのに、ペットを連れて避難訓練をする飼い主はとても少ないのです。

避難所に避難するということ自体、本当にイレギュラーであり、何もかも混乱した状況で過ごさなければなりません。

ペットたちはその状況を理解できないだけに、飼い主が責任をもって、できる限りの準備をしていくことが必要なのではないでしょうか。

この記事が気に入ったら
Qpetに「いいね!」しよう

文:齊藤 学
小学生時代は小説家、中学生時代には弁護士になる夢を持つ。高校生の頃に獣医学部を目指すも、数学が苦手で挫折。小説家と弁護士を天秤にかけ、弁護士の道を選んだものの、結果は見事惨敗。

東日本大震災をきっかけに、法律の勉強に再チャレンジ。家族を説得して脱サラし、行政書士事務所を開設。

日々持ち込まれるご相談やご依頼手続きに走り回りながら、ご縁に感謝する日々を送っております。


合わせて読みたい

PAGE TOP