2018年3月6日

人間の言葉と犬の理解度について

飼い主の中には、「愛犬は自分の言葉を理解している」と感じた方もいるかもしれません。

しかし、本当に犬は人間の言葉を理解することができるのでしょうか。

ここでは、犬に人間の言葉が通じるのかどうかについてご紹介します。

犬は言葉が分かるって本当?

犬が飼い主に呼ばれている様子 現在のところ、犬に人間の言葉は理解できないと考えられています。

とはいえ、犬に「ご飯だよ」というとお皿の近くに来たり、「散歩だよ」というと玄関に来たりと、言葉を分かっているのではないかと思う行動もします。

実は、犬は言葉を理解しているのではなく「音」と「行動」をつなげて覚えています。

例えば、「ゴハンという音が聞こえたらフードがもらえる」「サンポという音が聞こえたら外に出られる」などです。

「おすわり」なども同じで、「オスワリという音が聞こえたら座らなければいけない」と覚えています。

言葉そのものの意味は理解していないため、「おすわり」の代わりに「さかだち」で教えてもいいのです。

つまり、犬にとって人間の言葉は号令のようなものだといえます。

「言葉」は分からなくても「感情」は

飼い主に抱かれて寝る犬 犬には人間の言葉を正しく理解することはできませんが、感情を理解することはできます。

飼い主が落ち込んでいるときに愛犬が「大丈夫?」といわんばかりに近くに寄ってきてくれたりするのは、飼い主の悲しい気持ちを感じ取っているからです。

犬に人間の感情が分かるのは、話すときのトーンなどをよく聞いているからです。

言葉を理解できない犬が感情を読み取れることは不思議に感じるかもしれませんが、実は人間も同じことをしています。

外国人が話している言葉が理解できなくても、表情や口調などから感情を感じ取ることはできます。

もちろん、すべての動物に人間の感情が理解できるわけではありません。

人間と犬が心を通わせることができるのは、何千年も前から生活を共にしてきたからかもしれません。


今までの定説が覆る可能性

人と話をしているような犬 ここまで説明してきたように、現在のところ犬は言葉を理解できないと考えられています。

しかし近年行われた研究の結果、今までの定説が覆る可能性も出てきました。

2014年に、エトヴェシュ・ロラーンド大学の動物行動学者であるアッティラ・アンディクス氏によって興味深い研究が行われました。

13匹の犬に唸り声や叫び声、吠え声など様々な声を聞かせてMRI装置で脳の動きを調べた結果、人間の脳とほぼ同じ形でそれぞれの音を処理していることが分かりました。

しかし、上記の研究だけでは犬が言葉を理解できるかどうかまでは分かりません。

そこで、アッティラ・アンディクス氏は同じ13匹の犬を用いて新たな研究を行いました。

それは、飼い主の発したいろいろな言葉を聞かせて脳の反応をみるというものです。

犬に聞かせた言葉は「褒め言葉を称賛する口調」「褒め言葉を平坦な口調」「ニュートラルな言葉を称賛する口調」「ニュートラルな言葉を平坦な口調」の4パターンです。

この結果、褒め言葉を称賛する口調で聞いたときのみ犬の報酬領域(欲求が満たされたときに活性化する脳の部位)が活性化することが分かりました。

この研究結果からは、犬を褒めるときには声のトーンだけではなく言葉そのものも重要だということになります。

これはつまり、犬にその言葉の意味が理解できているということになります。

もしかしたら近い将来、「犬に人間の言葉が分かるか」という論争にはっきりと決着がつくかもしれません。

まとめ

飼い主と親密な犬 犬に言葉が理解できるかということについては、未だに意見が分かれます。

とはいえ人間と犬がスムーズにコミュニケーションを取れることには変わりありません。

感情表現を大切にしながら、愛犬とのコミュニケーションを目いっぱい楽しんでください。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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