2018年12月10日

【行政書士が解説】Q「自宅に老犬ホームを作ることはできますか?」

「老犬ホームを作るにはどのような手続きをすればよいですか?」、というお問い合わせが多く寄せられるようになりました。

人もペットも長生きをする時代になり、「老人ホーム」だけでなく「老犬ホーム」のニーズが年々高まっているという社会的背景があるようです。

第一種動物取扱業の手続きをしましょう

カードの上に置かれた犬の人形 老犬ホームだからといって、特有の手続きというのはありません。

いわゆるペットショップやペットホテル、トリミングサロン、ペットシッターなどと同様に、第一種動物取扱業としての手続きをすることになります。

以下の書類を用意し、都道府県に登録することになります。その際に③、④(特に給水設備、排水設備、洗浄設備という水回り関係)の書類について、注文がつくことが多いように思います。

設備に関しては消防法も関係してきますので、なかなか大変です。

  1. ①第一種動物取扱業登録申請書
  2. ②動物の愛護及び管理に関する法律第12条第1項第1号から第6号までに該当しないことを示す書類
  3. ③飼養施設設置届出書
  4. ④飼養施設の平面図
  5. ⑤飼養施設の付近の見取図
  6. ⑥(法人の場合)登記事項証明書、役員の氏名・住所記載用紙
  7. ⑦申請者(法人の場合、役員を含む)及び動物取扱責任者の要件を示す書類
  8. ⑧事業所及び飼養施設の土地及び建物について事業の実施に必要な権原を有することを示す書類

自宅で老犬ホームを開業することはできる?

愛犬の側で書類を確認している女性 自宅で老犬ホームが開業できるかどうかと質問されると、理論上は可能です。しかし現実的には難しいと思いますし、お勧めしません。

なぜなら、調えなければならない設備を動物専用に用意しなければならないので、水回り関係を人間用と別に用意する必要があるからです。大規模な自宅の改装が必要になりますし、マンションではまず無理だと思われます。

そのため老犬ホームの運営は、住居とは別のビルの一室か、郊外の専用の施設でおこなっていくことにならざるを得ないのです。


個人で開業するか、法人で開業するか

デスクチェアのに座るポメラニアン 老犬ホームを運営するならば、法人で行うことを勧めます。もしも老犬ホームの経営者が病気になったりしたら、老犬たちは行き場を失うからです。

法人であれば、万が一のことがあっても、別の経営者が運営していくことが可能になります。

老犬ホームは、終生預かりの場ですから、最後までめんどうをみる態勢を整えることが必要です。

まとめ

ベッドで眠る愛犬を撫でている女性 老犬ならば動きが緩やかだということで、老犬ホームは運営しやすいのではと思われる方が多いようです。そのため、自宅での開業を検討される傾向がありますが、残念ながら現実的ではありません。

老犬は自分で動けない分、人が寝返りを打たせる必要があります。実際にある老犬ホームでは、3時間おきに寝ている体勢をかえるということを、365日24時間されています。

老犬ホームを運営したいと考える場合には、それなりの覚悟が求められます。

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文:齊藤 学
小学生時代は小説家、中学生時代には弁護士になる夢を持つ。高校生の頃に獣医学部を目指すも、数学が苦手で挫折。小説家と弁護士を天秤にかけ、弁護士の道を選んだものの、結果は見事惨敗。

東日本大震災をきっかけに、法律の勉強に再チャレンジ。家族を説得して脱サラし、行政書士事務所を開設。

日々持ち込まれるご相談やご依頼手続きに走り回りながら、ご縁に感謝する日々を送っております。


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