2018年3月21日

子どもが読書介助犬に絵本を読み聞かせる「R.E.A.Dプログラム」とは?

「盲導犬」「警察犬」「災害救助犬」などとして活躍する犬がいることは、誰もがご存知かと思います。

では、「読書介助犬」として働く犬のことはご存知でしょうか。

ここでは、アメリカやカナダなどの国々で活躍している読書介助犬についてご紹介します。

世界中で問題となっている「子供の読書離れ」

読書する幼児と犬 子供の読書離れは、日本だけではなく世界中で指摘されています。

テレビやインターネットから情報を得ることが多くなると同時に、活字離れが起きるのはある意味では自然だといえるかもしれません。

しかし、読書は語彙力を磨き、感受性を高め、人生を豊かにするために欠かせないものです。

親や教師が子供に読書をさせたいと思っても、それを邪魔するのが子供の中の苦手意識です。

「読み間違えてからかわれたら恥ずかしい」「人前で音読するのが嫌」などの意識が先行し、読書をしなくなる子は大勢います。

社団法人全国学校図書館協議会の調査では、1カ月に1度も本を読まない子供の数は小学生で4.8%。

それ以降はこの割合は増える一方で、中学生では13.4%、高校生で51.9%となります。

この状況を打開するためには、まずは子供の読書に対する苦手意識を取り除くことが大切だといえます。

読書介護犬に本を読み聞かせる「R.E.A.Dプログラム」

読書する女の子と犬 動物を使ったセラピー手法であるアニマルセラピーは、誰もが知っていると思います。

読書介護犬を使った「R.E.A.Dプログラム」はアニマルセラピーの一つで、R.E.A.DはReading Education Assistant Dogの略です。

アメリカで始まったこのプログラムの目的は、犬を相手に子供たちに読み聞かせをさせることで読書を好きになってもらうことです。

前述したように、子供が本を読まなくなるのは人を相手に本を読むことに対する苦手意識が関係しています。

しかし、聞き手が犬であれば子供はリラックスして本を読むことができます。

犬は、字を読み間違えたりしてもバカにしたり指摘したりすることは一切ありません。

ただ大人しく、じっとそばにいてくれます。だからこそ子供たちも読み聞かせに集中することができるのです。

アメリカ・ソルトレイクシティのベニオン小学校では、R.E.A.Dプログラムが週に1回実施されました。

それを16か月間続けた結果、図書館で本を借りる子供が増え、読む力も平均で2学年分アップしたそうです。

また音読に自信がついたことで自尊心が高まり、授業中に手を挙げるなど積極性にも変化が現れたそうです。


日本でも普及が始まっている読書介助犬

読書する男の子と犬 アメリカやカナダを中心に広まっているR.E.A.Dプログラムですが、日本ではまだ普及が進んでいるとはいえません。

しかし、一部の地域ではすでにR.E.A.Dプログラムを取り入れています。

そして、R.E.A.Dプログラムに取り組んでいる施設の一つが東京にある三鷹市立図書館です。

三鷹市立図書館は、R.E.A.Dプログラムを取り入れた日本初の市立図書館です。

この図書館ではR.E.A.Dプログラムを「わん!だふる読書体験」と名付け、子供たちが本と触れ合う機会を増やすことを目的に活動を行っています。

わん!だふる読書体験では、子供たちが約15分間犬に読み聞かせを行います。

このとき必ず子供と犬は1対1になるようにし、他の子供の存在が気にならないようにします。

読書体験が終わった後には「楽しかった」「もっとたくさん読んであげたかった」などの声があり、子供たちにとって良い経験となったようです。

三鷹市立図書館でのわん!だふる読書体験はいったん終了となっていますが、次の開催が期待されています。

まとめ

楽しそうに犬と読書をしている様子 インターネットやスマートフォンが普及した現代でも、本を読むことの大切さは変わりません。

日本ではまだまだ全国普及はしていないR.E.A.Dプログラムですが、これからどんどん広まって全国各地で開催されるようになるかもしれません。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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