2019年1月31日
獣医師が愛犬とのお別れまでに「してあげたかったこと(#withlist)」とは
たくさんのペットの飼い主さんがSNSで投稿し話題になった「#withlist~さよならまでにキミとやりたい3つのこと~」。
ペットの短い一生で何を一緒に実現したいか、飼い主さんのさまざまな想いが詰まっていました。
他の飼い主さんのリストに同じ項目を見つけて「親近感が湧いた」という方も多かったですし、もちろん同じ項目の中にも、それぞれのストーリーや飼い主さんならではの視点が隠れています。
今回は、#withlistを生み出したアニコム損害保険株式会社に所属する獣医師さんのリストをご紹介します。
もくじ [非表示]
愛犬家の心を動かしたSNSサービス「#withlist」とは
(画像引用:anicom you)
「#withlist~さよならまでにキミとやりたい3つのこと~」は、飼い主さんがペットと一緒に実現したいリストをLINEで簡単に作成し、ペットの写真とともに保存することができるSNSサービスです。
また、現在は同キャンペーンを企画したアニコム損害保険株式会社(以下アニコム)が、SNSに投稿された#withlistの実現をお手伝いする、という#withlistキャンペーンも進行(※)しています。
(※)「#withlistキャンペーン」の期間について
同キャンペーンの募集期間は2018年12月をもって終了いたしました。現在は選ばれたWithlistが“叶う瞬間”を公式ページにて順次公開しております。なお、LINEでのWithlistの作成サービスは引き続きご利用頂けます。
愛犬との別れは“今”考えるべき?「#withlist」に込められた想い
―さよならまでにキミとやりたいこと
サブタイトルからもわかるように、#withlistを作成する上で飼い主さんはペットとのお別れを意識することになりますが、この過程に複雑な感情を抱く方も少なからずいらっしゃるはずです。
元気に跳ね回る姿を毎日見ている時に想像する“さよなら”と、年齢を重ねて少しクタッとした毛並みを撫でながら想像する“さよなら”とでは、実感も大きく違います。場合によっては、リストづくりは飼い主さんにとって酷な時間になってしまうのも事実です。
“さよなら”と向き合うタイミングに正解はありません。皆さんがペットとの今を前向きに考えられる時間に寄り添い、その想いを形として残すために生まれたのが、この#withlistなのです。
【獣医師の#withlist】愛犬のエンディング(別れ)を考えさせられた一枚
皆さんにとって獣医師さんはペットの健康状態と真摯に向き合ってくれる存在であり、色々と教えてくれる存在。そのため、自分と同じ“飼い主としての顔”を想像しにくいかもしれませんが、#withlistを通して垣間見えるストーリーはやはり共感できることが多く、なんだか不思議と嬉しくなります。
一方で、医療分野に従事しているからこそ激しいジレンマを感じるシーンもあるように感じました。
ここからは、ある獣医師さんの#withlistの内容をピックアップしながら、そこに隠れたストーリーをご紹介していきます。
愛犬ランディとの思い出から生まれた#withlist
(画像引用元:anicom you)
- ・猫ちゃん100匹と遊ばせたい
- ・病気せずに過ごさせたい
- ・助けて良かったか、聴きたい
この場合は「してあげたかったこと」というニュアンスになりますが、愛犬との別れを経験した方にとってはより身近に感じる点もあるのではないでしょうか。
……ところで、1つ目の猫100匹の項目は一体どんな経緯で滑り込んだのか、皆さんは想像がつきますか?
愛犬との別れまでに「愛犬の好きなものを、好きなだけ!」
ランディは、猫のことが異様に好きでした。人より猫。犬より猫。三度の飯よりも猫が好きな、変わった犬でした。
(引用元:anicom you)
(引用元:anicom you)
なるほど、猫は愛犬ランディくんが大好きなものだったようです。この“家族にしかわかりようがない項目”が唐突に現れるところも#withlistの魅力のひとつです。
ランディくんの場合、こんな微笑ましい思い出まで隠れていました。
いたずら好きだった私は、しばしば、猫の鳴きまねをしながら、腕に子猫を抱えたふりをし「猫ちゃん、猫ちゃん、ニャー」と一人芝居をし、キャンキャン鳴いて足にすがるランディの姿を見て楽しんだものです。
(引用元:anicom you)
(引用元:anicom you)
飼い主さんには、愛犬の好きなものなんてお見通しですよね。それを思う存分楽しませてあげたい、というリストはやっぱりたくさん見かけます!たとえばボーロが大好きな愛犬に好きなだけあげる、というわけにはいきませんが、とっておきの日に何をしてあげるべきかを考えるのは飼い主としても楽しい時間です。
愛犬との別れまでに「避けたいこと、避けられなかったこと」
数年後、椎間板ヘルニアを再発しました。また手術をしたものの、元通りとはならず、以降、常に後ろ足をふらつかせながら歩くようになりました。ほかにもあります。
(引用元:anicom you)
(引用元:anicom you)
ランディくんはたくさんの病気を乗り越えたスーパーおじいちゃんだったようです。病気がわかった時、手術が成功した時、獣医師とはいえ(もしくは獣医師だからこそ)小川さんの心が一喜一憂でジェットコースターのように揺さぶられたことは、皆さんも想像できるのではないでしょうか。
「あの子は病気になったから、毎日が辛いんじゃないか?」
「それは飼い主の私が防げたことなんじゃないか?」
自分の家族が病気になるということは、対象が犬であっても人間であっても、決して感覚値で予想できるものではありません。
最近ではペットの病気を予測・予防(外部ページに飛びます)するという観点から生まれたサービスもあることから、多くの飼い主さんがペットのヘルスケアへ関心を寄せていることがわかります。
また、これまで投稿された#withlistでもペットの健康について触れているリストが多く存在します。
私は、いつしか獣医師を目指すようになっていました。時折、親に連れて行かれた動物病院で、熱心に診察する獣医師の先生たちを見て、心を動かされたからです。
(引用元:anicom you)
(引用元:anicom you)
愛犬の“もしも”を考えるのは飼い主にとって辛いことです。
その不安を日常的に相談できる獣医師やトレーナーといったパートナーを見つけることは、とても重要なことなのかもしれません。
愛犬との別れまでに「獣医師だからこそ悩んだこと」
いい意味で飼い主さんの予想を裏切り、何度も回復してくれたランディくんですが、シニア期に重篤な状態となり、厳しい選択と直面することになります。
すべての飼い主さんが、想像することさえ辛いシーンでしょう。
選択肢は、ふたつありました。ひとつは、状態から考えると賭けですが、手術。そして、もうひとつは、安楽死です。
(引用元:anicom you)
(引用元:anicom you)
愛犬の状態や14歳という年齢も含め、手術という選択肢も気軽に選べない状況です。小川さんのご両親は今まで頑張ってきたランディくんへの労りも込めて、2つ目の選択肢を選びたいと考えたそうです。
でも、私にはできませんでした。獣医師にとって、安楽死という処置ほどつらいものはありません。そんな処置を、自らランディに下すということが、どうしてもできませんでした。
(引用元:anicom you)
(引用元:anicom you)
私は、3つめの選択肢を採らせて欲しいと言いました。なるべく苦しませないように、自宅で看取るという方法です。
(引用元:anicom you)
(引用元:anicom you)
その後、ランディくんは奇跡的とも言える回復を見せ、数年後に老衰を迎えました。
重篤な状態から回復したこと、老衰という静かなエンディングを迎えられたこと、この話を聞いた方の多くが飼い主さんの判断を賞賛したい気持ちになったのではないでしょうか。
しかし、小川さん自身はこの選択肢を選んだことにひっかかりを感じているようです。
「あの選択肢は、正しかったのか?」
たくさんのwithlistを見ていて、どうしても、そんな思いがよぎります。ランディが生きていたって叶うわけはありませんが、私はそれを聞いてみたかったと思います。
(引用元:anicom you)
たくさんのwithlistを見ていて、どうしても、そんな思いがよぎります。ランディが生きていたって叶うわけはありませんが、私はそれを聞いてみたかったと思います。
(引用元:anicom you)
仕事などでは「結果がすべて」と割り切れる部分も出てくるかもしれませんが、パートナーと暮らす上で、エンディングまでの過程は結果と同じくらい大切なもののはずです。だからこそ、#withlistが多くの愛犬家の心を揺さぶったのでしょう。
そして、その過程で愛犬に“もしも”のことが起きる可能性に不安を抱くことも出てきます。
愛犬とのお別れと向き合うタイミングは飼い主さんのペースで見つけることが重要です。ただ、このストーリーを読んで、「愛犬の“もしも”を考える時間に前向きになろうかな」と背中を押された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
愛犬との別れまでに「思い出したいあの日のこと」
家に連れて帰ってきたときのあの喜びは忘れられません。嬉しすぎて幸せすぎて、中学生にもなって、涙が出たのを覚えています。
(引用元:anicom you)
(引用元:anicom you)
小さい子犬か、あるいは既に大きい子を引き取ったか、事情は違えど愛するペットを家に連れ帰った日の情景をパッと思い出せる方は多いかと思います。
連れ帰る道中キャリーのなかでキュンキュン鼻を鳴らしている様子、部屋の隅々まで嗅ぎ尽くすつもりなのかという様子、決してドラマチックでなくても、なんてことない情景を鮮やかに覚えていたりしますよね。ペットと暮らし始めた日は、それだけ飼い主さんにとって大切な日です。
#withlistをつくる時に頭に浮かぶのは、楽しいことばかりではないかもしれません。
それでも、この大切な“あの日”のことを思い出すきっかけとなったなら、それだけでも素敵な時間だなと感じた一文でした。
まとめ
今回は”もしも”のお話を強調したので身構えてしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、もっともっと近い将来に叶えてあげたいことでリストを作成してもいいのです。
まずは気軽に「愛犬のためにしてあげたいこと」を考えてみてください。すぐにリストの内容が浮かばなくても、他の飼い主さんの#withlistを見て「あ、これかも」と発見することもあるでしょう。
そして、みなさんのリストは、これからも何度だって更新していくことができることも忘れないでくださいね。
文:Qpet編集部
ペットの病気やしつけ、ペットとの暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。
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