2017年7月10日
紀州犬ってどんな犬?その歴史や性格について
紀州犬というと、大柄でクールで「少し怖い」というイメージが一部に定着しているようです。たしかに、紀州犬は簡単に飼える犬種ではないため初心者にはおすすめしません。
しかし、正しくしつけを行えば魅力溢れる自慢の家庭犬に育ってくれるのです。ここでは、そんな紀州犬についてお話します。
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紀州犬の歴史
紀州犬はもともと紀伊半島の山岳地帯で飼育されていた犬種で、イノシシ狩りのために使われていました。1934年には秋田犬や甲斐犬に続いて天然記念物として指定され、毛色も白に統一されることになりました。その凛とした姿から映画やCMなどに出演する機会も多く、根強い人気を保っています。その人気は国内のみならず、アメリカをはじめとした海外にも広まっているようです。
紀州犬の特徴
紀州犬は体高43~55㎝、体重13~27㎏のやや大きめの中型犬です。身体は筋肉質で力強く、背中はまっすぐに伸びています。立ち耳と鋭い目つきが印象的で、日本犬らしい外見をしています。くるっと丸まった尻尾は、クールな容姿にかわいさをプラスしています。
被毛の基本色は白ですが、稀に黒、胡麻、虎、赤などの毛色をした紀州犬も生まれてくるそうです。白以外の毛色の紀州犬を好む根強い愛好家もいるようです。
紀州犬の性格
紀州犬というと、攻撃的なイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、実際に飼うと様々な面がみえてきます。忠誠心が厚い
紀州犬は、リーダーだと認めた飼い主に対して厚い忠誠心を持ちます。そのため、強い信頼関係を結ぶことができれば最高のパートナーになってくれます。頭のよい犬種なので、しつけやトレーニングに順応しやすいのも特徴です。
警戒心が強い
日本犬らしく、見知らぬ人に対して強い警戒心を持ちます。そのため、優秀な番犬として家族をしっかりと守ってくれるでしょう。危険が迫ったときには身を挺して家族を守る勇敢さもあります。
穏やかにも狂暴にもなる
紀州犬は咬傷事件で名前がでることもあり、そこから狂暴だというイメージをもたれています。しかし、紀州犬は穏やかな性格をしています。飼い主のしつけの仕方によって、気性が荒く狂暴な性格にも優しく穏やかな性格にもなります。
紀州犬のしつけのポイント
飼い始めた紀州犬がどのような性格に育つかは、飼い主のしつけにかかっています。正しくしつけをすれば飼いやすい犬に育ちますが、一歩しつけを間違えると手が付けられない危険な犬に成長してしまうので注意しましょう。力の強い紀州犬が扱いにくい性格に育ってしまうと、飼い続けることも難しくなります。やむを得ず手放すような悲しい事態を増やさないためにも、しつけの勉強はしっかりと行いましょう。
次に、紀州犬と生活するうえで特に大切なポイントをご紹介します。
子犬のときにしつけを怠らない
最も大切なのは、子犬のときのしつけです。そのかわいさから厳しく叱ることをためらってしまう人もいますが、時には心を鬼にすることも必要です。成犬になってから後悔しないようにするためにも、溺愛して甘やかしたりしないようにしましょう。
信頼関係を築く
紀州犬は、信頼している人の言うことしか聞きません。しつけを開始する前に、よくコミュニケーションを取って信頼関係を築きましょう。家族に攻撃したりしないようにするためには、家族全員と信頼関係を結ぶことが大切だといえます。
主従関係を徹底する
どんな犬にも当てはまりますが、特に紀州犬の場合は関係構築を徹底することが大切です。関係性を勘違いさせるような態度は絶対にとらないようにしましょう。飼い犬と友達のように仲良くしたいという人は、紀州犬の飼い主としてはあまり向いていないといえるでしょう。
紀州犬の飼い方のコツ
紀州犬を飼うときには、しつけ以外にも知っておきたい大切なポイントがあります。ここでは、紀州犬の飼い方のコツをご紹介します。運動
紀州犬は、現在でも実猟に使われている猟犬です。そのため、他の犬種と比べてもかなりの体力を持っています。1日2回、1回1時間以上の散歩をしっかりと行いましょう。散歩をする時間を十分に取れずに運動不足になると、紀州犬はストレスを溜めてしまいます。そして、ストレスは攻撃性を助長することにつながりかねません。
紀州犬を飼うときには、運動欲を満たしてあげられるかどうかをしっかり検討しましょう。
ブラッシング
紀州犬の被毛は、アンダーコートとアウターコートから成るダブルコートです。あらゆる気候から身を守ることができますが、抜け毛の量はかなりあります。特に、春と秋の換毛期には抜け毛のケアに時間を費やすことになるでしょう。
ブラッシングは、週に2~3回ほど必要になります。換毛期は特に小まめに行いましょう。抜け毛を減らすためには、シャンプーをするのもおすすめです。
外飼いも可能
昨今では室内飼いが主流となっていますが、紀州犬は外飼いすることも可能です。日本原産の犬種のため、日本の四季に対応できる身体のつくりになっているためです。警戒心の強さと勇敢さから、立派な番犬となってくれることでしょう。
また、動き回るためのスペースが十分であれば運動不足解消にもつながります。換毛期の抜け毛ケアが楽になるのも外飼いのメリットだといえます。
気を付けたい病気
紀州犬の平均寿命は、13歳だといわれています。平均寿命に関わらず元気に長生きしてもらうためにも、以下の病気に十分気を付けましょう。甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの機能が弱まる病気で、胴体の脱毛や愚鈍な動き、体温の低下、むくみ、心拍数の低下、血圧の低下などの症状が現れます。一度発症すると一生投薬治療をすることになるので、それらしき症状がみられたらすぐに医師に診てもらいましょう。
緑内障
緑内障は、眼圧が上がることにより視野狭窄が起こる病気です。進行すると失明する恐れがあります。眼が出っ張っていたり目が緑色になっていたりしたら緑内障の可能性があります。また、物にぶつかりやすくなった場合も要注意です。
飼う前に条例の確認を
前述したように、紀州犬はしつけさえしっかりと行えば最高の家庭犬になります。しかし、その一方で恐ろしい咬傷事件が起こっていることも事実です。そのため、紀州犬を「特定犬」として指定している地域もあります。
例として、茨城県では紀州犬、秋田犬、土佐犬、ド―ベルマン、ジャーマン・シェパード、セント・バーナード、グレート・デーン、アメリカン・ピットブル・テリアの8犬種を特定犬としています。
これらの犬種を飼育する飼い主は、目立つ場所に「特定犬」と書かれた標識を提示することと犬を檻の中で飼うことを義務付けられています。
紀州犬を飼おうと考えている人は、まずは自分が住んでいる地域の条例を確認することが大切です。もし紀州犬に関する条例が定められているのであれば、必ず飼い主としての義務を守るようにしましょう。
まとめ
紀州犬は、咬傷事件などで世間を騒がせることの多い犬です。しかし、気性が荒い性格に育ってしまう原因は飼い主にあります。信頼関係と上下関係を結んでしっかりとしつけを行えば、紀州犬はこれ以上ない最高のパートナーにもなりうるのです。
とはいえ、やはり紀州犬を飼うのは一筋縄ではいきません。飼育するのであれば、それなりの覚悟が必要になります。
紀州犬の飼育を考えている人は、自分が紀州犬の飼い主としてふさわしいか、最後まで飼い続けられるかをよく考慮してください。
文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。
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