2018年2月14日

【行政書士が解説】Q「記憶に新しいペット霊園のニュース、あのようなトラブルを回避するには?」

監修にご協力いただきました!

平成元年3月 法政大学法学部法律学科卒業

(司法試験浪人)
平成4年3月 株式会社市進(現、株式会社市進ホールディングス) 入社
平成25年1月 行政書士試験 合格
平成28年2月 行政書士齊藤学法務事務所 開設

2017年1月末をもって突然廃業したペット霊園のニュースが、日本中で話題になりました。

きっと覚えておられる方が多いでしょう。

この霊園では、利用者に十分な説明がないままに、墓の掘り起しなどが進められました。

このようなトラブルに巻き込まれないようにするには、どうすればよいのでしょうか。

そのための小知恵について、ご紹介しましょう。

「動物の死体火葬・埋葬業者」は動物愛護法の網の外。

山積みになった書類 動物愛護法第十条は、登録の必要な動物取扱業について定めていますが、「動物の死体火葬・埋葬業者」はその中に含まれていません

環境省は条文解釈での対応も検討したようですが、悪徳業者撲滅のために法改正を求める業界の声を尊重したようです。

そのため法改正前の現在は、「動物の死体火葬・埋葬業者」は動物愛護法の網の外に位置しているのです。

まずこのような業者さんを利用される場合には、「信頼」以前の「信用」から疑ってかかるべきでしょう。

信用・信頼できる業者さんもたくさんあるのですが、ごく少数の悪徳業者が紛れ込んでいるため、十分な注意をもって情報収集することをお勧めします。

【ポイント①】長期的な経営の基盤があるのか

テレビの前でくつろいでいるヨーキー 大阪府枚方市のペット霊園閉鎖事件では、経営実態はほぼ個人でした。経営者のご子息も経営に絡んでおられたような報道もありましたが、それでも親子二代の家族経営です。

霊園というものは、基本的に半永久的に存在するものという認識が一般的だと思います。

なので、このような霊園の経営スタイルについては、あまり良い印象を持てません。

2017年12月15日現在、この閉鎖された霊園のホームページをまだ確認できますが、経営・運営の母体については一切触れられていません(http://www.hou-tou.com/index.htm)。

このあたりが、怪しいと疑うポイントだったのでしょう。

会社経営ならばよいのか、という結論でもありませんのでご注意ください。

“どういう方々”が“どのような規模”で経営・運営されているのかは、少なくとも確認しておいた方が良いということです。

人のお墓の場合もしっかりとしたところは、きちんと霊園・墓地が清掃されており、雑然とした印象は受けないはずです。

そういうところも複数の現地を訪問して、比較し検討された方がよいと思われます。


【ポイント②】自然葬を正しく理解しましょう

人・ペット関係なく最近注目を集めている自然葬ですが、骨が自然(土)に還るのは、そんなに簡単なことではありません。

たかだか10年前後で土に還ることはありません。条件が揃っても数十年はかかります。

海洋散骨の場合のように、微細粒にする工程を経れば、多少その期間は短くなるのでしょうが…。

このように、本当に愛するわが子たち(ペット)を想って、自然葬を選択するならば、霊園には半永久的な経営・運営母体が必要だという結論に至るのです。

【ポイント③】条例を確認しましょう

パソコンを操作している女性と、そばに座る愛犬の様子 動物愛護法を待たずに、各地方自治体が「動物の死体火葬・埋葬業者」について条例で規制をかけている場合があります。

たとえば、ペット霊園の設置や移動火葬を禁止する地域が決められているところもあります。

またペット霊園の設置等や移動火葬業を行うに当たって、首長の許可が必須という地域もあります。

このような条例は、お住まいの自治体のホームページを検索すれば見つかるでしょうし、総合案内に電話して担当部署につないでもらい、簡単に確認することができます。

検討中の霊園が条例違反でないことは、確認しておきましょう。

問題になったペット霊園のその後

大阪府枚方市のトラブルは、霊園利用者などからなる「宝塔霊園遺族の会」の手で解決策を模索してきました。

そして2017年9月30日、行き場を失った子たちは無事に、「ひらかた動物霊園」へ移動して法要・納骨が行われたようです。

合掌。

まとめ

こちらを見ているパグの子犬 動物やペットに関しての業者を無条件に信頼してしまうケースがありますが、なかにはそういう人の好いところにつけ込む人たちもいるのです。

みなさんにとって一番大事な家族(ペット)たちのことを最優先に考え、業者さんをすぐには「信頼」しないで、経営・運営基盤と条例について、納得がいくまで確認していただきたいと思います。

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文:齊藤 学
小学生時代は小説家、中学生時代には弁護士になる夢を持つ。高校生の頃に獣医学部を目指すも、数学が苦手で挫折。小説家と弁護士を天秤にかけ、弁護士の道を選んだものの、結果は見事惨敗。

東日本大震災をきっかけに、法律の勉強に再チャレンジ。家族を説得して脱サラし、行政書士事務所を開設。

日々持ち込まれるご相談やご依頼手続きに走り回りながら、ご縁に感謝する日々を送っております。


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