2018年6月2日

【行政書士が解説】Q.「亡くなったペットの遺体を自宅の庭に埋めたいのですが、問題になりますか?」

監修にご協力いただきました!

平成元年3月 法政大学法学部法律学科卒業

(司法試験浪人)
平成4年3月 株式会社市進(現、株式会社市進ホールディングス) 入社
平成25年1月 行政書士試験 合格
平成28年2月 行政書士齊藤学法務事務所 開設

心の拠りどころでもあった大切なペットが亡くなったのは、本当に辛いことです。

ペット霊園に埋葬するという選択肢もありますが、できればずっと傍にいて欲しいと願う気持ちから、自宅の庭に埋葬したいと願っておられるのでしょう。

法的な視点からご説明をさせていただきたいと思います。

※やむなく法律用語を使う場合に、飼い主の方の心情にそぐわない表現になることもありますので、ご注意ください。

3点まとめ
・庭にペットを埋葬することは法的に問題はない
・しかし、ペットの亡骸は法律上「一般廃棄物」とされる
・動物霊園事業においてのみ「一般廃棄物」ではなくなる

廃棄物処理法の検討

ペットのお墓に添えられたリード ペットの亡骸を自宅の庭に埋葬することは、細心の注意を払えば、法的には問題なさそうです。以下検討してみましょう。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃棄物処理法」という)」第二条一項に、「この法律において『廃棄物』とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のものをいう」とあります。

そして同条二項に「この法律において『一般廃棄物』とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう」と定めていますから、動物の亡骸は一般廃棄物ということになるのです。

そして廃棄物処理法は、土地や建物の占有者(使っている人)に次のような義務を課しています。

・土地や建物を清潔に保つ義務(五条)
・生活環境の保全上支障のない方法で容易に処分することができる一般廃棄物は、なる
べく自分で処分する義務(第六条の二)

以上から、ペットの亡骸を自宅の庭に埋葬できる可能性がありそうなのですが、更に、地域の条例なども検討しなければなりません。

多くの自治体の条例では、「動物の死体を自ら処分することが困難なときは、行政に連絡」とありますので、文言上は問題無さそうに思えます。

しかし、自宅の庭に埋葬する方法によっては、「清潔」・「生活環境の保全」という側面から問題になることもあるでしょう。

特に住宅密集地においては、問題が大きくなりかねません。火葬してからの埋葬の方が無難です。

とはいっても、廃棄物処理法では廃棄物の焼却を原則認めていません(第十六条の二)ので、ご自宅で火葬は厳禁です。

その他に、郊外では地下水の汚染という問題を引き起こす可能性などにも、十分注意する必要があります。

ペットの亡骸は、飼い主個人の考え方や取扱いにより“ごみ”でなくなる

お墓の側を歩く二匹の猫 大切なパートナーであるペットの亡骸は、法的には一般廃棄物となるため、その処理方法としての注意が求められました。

しかし場面が変われば、法律上も、大切なペットの亡骸はごみ扱いされなくなります。

その場面が、「動物霊園事業」です。いわゆる「ペット霊園」です。

「動物の死体を宗教的及び社会慣習等により埋葬及び供養等を行いたい」という心情に配慮し、動物霊園事業におけるペットの亡骸は「廃棄物処理法第二条第一項に規定する『廃棄物』には当たらず、同法の規制の対象とはならない(環境省)」としているのです。

ペット霊園にも問題がないわけではありませんが、適正な経営を行っている霊園を探し、そちらを利用されることをお勧めします。

大切なペットの亡骸が「一般廃棄物」扱いされるのは、できるだけ避けたいものです。

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文:齊藤 学
小学生時代は小説家、中学生時代には弁護士になる夢を持つ。高校生の頃に獣医学部を目指すも、数学が苦手で挫折。小説家と弁護士を天秤にかけ、弁護士の道を選んだものの、結果は見事惨敗。

東日本大震災をきっかけに、法律の勉強に再チャレンジ。家族を説得して脱サラし、行政書士事務所を開設。

日々持ち込まれるご相談やご依頼手続きに走り回りながら、ご縁に感謝する日々を送っております。


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