2018年6月20日

人と最も長く共存する「犬」その歴史とは?

犬は非常に多くの人たちに愛される「人気のペット」の代名詞だといえます。

人気のペットとして不動の地位を築いたといえる愛玩犬の歴史は古く、人間と犬との共存生活は約200万年前の旧石器時代には存在したといわれています。

狼を家畜化することが東アジア地域で始まり、日本にも伝承されたのではないかと考えられています。

今回は、私たち日本人と犬の共存の歴史を紹介します。

時代ごとに日本人が犬に求める役割は変化してきた?

こちらを向く柴犬

縄文、弥生時代

土器などを作り、人間の営みがある程度体系化してきたと考えられる縄文時代には、犬は狩猟犬として狩猟を行う人間を助けていたと考えられています。

出土する犬の骨の欠損状態が、現代の狩猟犬の歯の状態に酷似していることから獲物の追跡や捕獲のサポートをしていたといわれています。

農耕が盛んになった弥生時代は犬にとって受難の時代であったといえます。

もちろん狩猟は行われていたものの、タンパク源として犬に注目した弥生人は犬を食料の1つとして捉えていたようです。

実際に長崎県の弥生時代の遺跡からは食べられてしまった犬の骨がたくさん出土しています。

その一方で犬は農地を荒らす害獣避けの「番犬」として新たな役割も担うことになります。

紀州犬,秋田犬,北海道犬,四国犬,甲斐犬,柴犬など外国の犬の影響を受けていない純日本犬はこの時代に分岐したと考えられています。

飛鳥、奈良、平安時代

獣医師と犬 狩猟犬や番犬として活躍していた犬はこの時代になり、保護されるようになります。

675年には一定期間ですが犬食を禁じる通達が出されます。

当時の政府が犬を保護、活用したことで、「御犬飼」と呼ばれる現代の訓練師のような職種も出現し、最先端飼育訓練技術が研究されたといわれています。

鎌倉、室町時代

武士が勢力を伸ばした鎌倉、室町時代は狩猟犬、番犬としての役割と共に弓道の訓練から派生した「追物」という競技が発生しました。

武士のたしなみとされた弓の腕前を競うために、乗馬した武士に追われた牛や犬を的代わりに射るもので、犬などを殺してしまわないように矢は特別なものを使用したようです。

安土桃山、江戸時代

外国との交流が少しずつ始まったこの時代には大名たちが権威の象徴として多くの犬種を飼い始めます。

有力大名への献上品として座敷犬や大型犬が外国から持ち込まれたのもこの時代で、大型犬は大名行列の先触れ犬として活躍したといわれています。

多くの大名が競うようにして珍しい犬種を求め愛玩したことを象徴するのが、江戸幕府五代将軍の徳川綱吉が発した「生類憐みの令」です。

明治、大正時代

飼い主とボーダーコリー 江戸時代が終わり鎖国が解かれ新時代を迎えた明治の日本には洋犬が大量流入しました。

約20年間でペットとしての犬の存在は日本各地に広まったといえます。

狂犬病が大流行し、獣医学が大きく進歩したのもこの時期です。

明治43年には警察が警察犬を導入し、犬と人間の新しい共生の形が生まれ始めます。

大正時代には日本に輸入される洋犬の種類が増加し、ドッグショーの開催も活発になり益々愛玩犬熱が過熱します。

昭和時代

昭和3年に日本犬保存会が設立され洋犬の影に隠れていた日本犬にスポットライトが当たり、在来犬種である多くの日本犬が天然記念物に指定されたことなどから日本犬ブームが発生します。

愛犬団体やペット業界は活動の場を広め、愛玩動物としての犬の地位を高めていきました。

現代日本における人と犬の共存関係は?

蝶を鼻に乗せたビーグル 昭和の末期ごろから、愛玩犬としてのペットという立ち位置から「家族の一員」として犬を飼う飼い主が増加しています。

核家族化や少子化が進んだことなどが大きな要因だと考えられます。

従来愛犬を同伴して利用することが難しかった飲食店などにも「ドッグ・カフェ」などの新しいシステムを採用し、愛犬とカフェで飲食の楽しみを共有できる店舗も増加しています。

住宅環境などの問題から犬を飼うことができない愛犬家達もドッグ・カフェを利用することで犬からの癒しを手に入れることができるようで、どのカフェも多くの利用者で賑わっているといえるでしょう。


まとめ

トリミングされるシュナウザー 獣医学も進歩したことで犬の平均寿命も延びていますが、愛犬の長寿化が進むことで今までにはなかった加齢による疾患や痴呆の問題なども発生しています。

愛玩動物の1つであった犬の地位が、家族同然の扱いに昇格したことで多くの飼い主と幸せな生活を送っている反面、飼育放棄で捨てられる犬の頭数も増加傾向に有ります。

犬を飼うということは、犬と共に暮らす生活を選択するということです。

愛犬に対する責任は全て飼い主にかかって来ます。

「可愛らしいから飼いたい」気持ちは理解できます。

愛犬を選ぶ際には「本当にこの犬と共存していく覚悟ができているか」を自分に問いかけてみましょう。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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