2017年9月23日
【獣医師監修】犬も便秘になる?気になる症状や原因と解消法について
監修にご協力いただきました!
奥田一士先生
ゆめ動物病院 院長
2003年 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後、都内動物病院、日本獣医生命科学大学動物医療センター研修医
2011年4月17日 ゆめ動物病院開設
[公益社団法人東京都獣医師会大田支部 大田獣医師会所属]
「最近、愛犬の排泄回数が減った」「お散歩中にポーズはとるけど排泄ができない」
それは、もしかしたら「便秘」かもしれません。犬が便秘になること自体知らなかったという飼い主に、犬の便秘の原因と解消法をご紹介します。
もくじ [非表示]
- 1 犬の便秘で見られる症状
- 1.1 いつもより硬く、コロコロした便が出る
- 1.2 何度も排泄のポーズをとるが出ない
- 1.3 食欲がおちる、嘔吐
- 1.4 お腹が張る、おならが出る
- 1.5 腸に便がたまることで、下腹部がゴツゴツとした手触りになる
- 1.6 腹部を触られるのを嫌がる
- 1.7 お尻を床に擦りつける
- 2 犬の便秘の原因
- 2.1 誤飲
- 2.2 水分不足(硬い便が出る)
- 2.3 肛門や直腸の異常(痛みが伴い排便がし辛い)
- 2.4 骨盤、後ろ足などの骨折(痛みが伴い踏ん張れない)
- 2.5 ストレス(環境の変化、気候の変化などによる負担)
- 2.6 老犬や子犬が便秘になる理由は?
- 3 犬の便秘を解消する方法
- 3.1 食餌療法
- 3.2 下剤、浣腸など
- 3.3 基礎疾患の治療
- 3.4 生活環境の改善
- 3.5 マッサージ
- 3.6 オリーブオイル
- 3.7 乳酸菌
- 4 <まとめ>
犬の便秘で見られる症状
いつもより硬く、コロコロした便が出る
硬くコロコロした便が出る原因として考えられるのは、運動不足、食事が合っていない、食事の量が足りていない、水分不足、腸内環境がよくない、などです。便が腸内に長く留まっていると水分が吸収されるため、硬くなりコロコロとした便になります。
何度も排泄のポーズをとるが出ない
「散歩途中や自宅のトイレで排便のポーズをとるが出てこない」というときは、肛門を手で摘まむようにやさしくマッサージをしてあげると、その刺激によって出る場合もあります。食欲がおちる、嘔吐
便秘は、腸内に便が溜まっている状態です。そのため胃で消化されたものも腸内に停滞してしまうことから、胃の動きも悪くなります。胃の動きが鈍くなることによって、空腹を感じなくなり食欲が落ちます。
また、ご飯を口にしたとしても、容量オーバーとなっている胃が受け付けず嘔吐することもあります。
お腹が張る、おならが出る
人間と同じで、犬も腸内環境が悪化することで腸にガスが溜まります。それによって、お腹が張り、臭いおならが出るようになるのです。大腸では食べ物の残りカスから、たくさんの細菌が発生します。これが、いわゆる悪玉菌です。
この悪玉菌によって便秘になり、腸に便が停滞することで、悪臭の元となる腐敗ガスを発生します。
ガスが溜まったり、臭いおならが出るのは、便秘による悪玉菌の増加が原因です。
腸に便がたまることで、下腹部がゴツゴツとした手触りになる
腸の中に便が溜まっている場合、犬の下腹部の左下辺りがゴツゴツとして便が溜まっているのが分かります。その場合は、必ず獣医師へ相談をしましょう。腹部を触られるのを嫌がる
便やガスが溜まることでお腹に違和感を感じ、お腹の辺りを触られるのを嫌がります。この場合は、便秘や消化器の疾患の可能性があるので見逃さないようにしましょう。
お尻を床に擦りつける
便が腸内や肛門付近で停滞している場合、お尻を床に擦り付けるような仕草をすることがあります。肛門付近で停滞している場合は、肛門周辺をマッサージしてあげると出てくることもあります。
犬の便秘の原因
誤飲
犬がおもちゃで遊んでいて、誤飲をしてしまったというケースがあります。これは特に大型犬に多く起こっています。おもちゃは、飲みこんですぐに症状が出るわけでなく、胃から腸を通っていくため1~2日程度時間がかかります。
大きさによっては便から排出されることもありますが、腸内で停滞してしまうと「腸閉塞」を起こし死に至ることも少なくありません。
腸閉塞の症状としては、腹痛、嘔吐、便秘、下痢などが挙げられます。
腹痛…背中を丸めて痛みをこらえている。震えているなどの症状がみられます。
下痢…異物が完全に腸を塞いでいない場合、下痢になることもあります。
嘔吐…腸閉塞になることで、胃や腸が異物を排出しようと動き出します。それによって嘔吐をすることがあります。
便秘…異物が腸に詰まってしまっているため便秘になります。
下痢…異物が完全に腸を塞いでいない場合、下痢になることもあります。
嘔吐…腸閉塞になることで、胃や腸が異物を排出しようと動き出します。それによって嘔吐をすることがあります。
便秘…異物が腸に詰まってしまっているため便秘になります。
便秘の他に、腹痛、下痢、嘔吐などの症状が見られる場合は、腸閉塞の可能性がありますので、至急、動物病院で診てもらいましょう。
また、口に入ってしまうような大きさのおもちゃは与えない、おもちゃで遊ぶときは飼い主の監視下で遊ばせる、誤飲をしたかどうかがすぐに分かるように、おもちゃの管理をしっかりしておくなど、日頃から心がけましょう。
水分不足(硬い便が出る)
水分の量が少ないと、腸内で便が硬くなるため便秘を引き起こします。水分をあまり摂らない犬の場合は、ドックフードをお湯でふやかして与えたり、ササミの茹で汁を少し薄めて与えるなどして水分をできるだけ摂るようにすると良いでしょう。
また、お皿から上手く飲めない犬もいるようですので、高さを変えてみたり、ペットボトル状のお皿にする等の容器の形状を変えるのもお勧めです。
ちなみに1日の水分摂取量の目安は、体重5kgで300ml程度です。
肛門や直腸の異常(痛みが伴い排便がし辛い)
肛門腺炎、肛門腺がんなどの肛門トラブルがある場合、排便時に痛みを伴うため排便がし辛くなります。また、直腸の一部が膨らんで便が溜まってしまう直腸憩室などの場合や、他にも消化器に腫瘍などがある場合も便が通りにくくなり便秘を起こすこともあります。
オスの場合は、前立腺炎や前立腺肥大などが原因で前立腺が大きくなることで、直腸を圧迫され、排便がしにくくなっているなどの原因も考えられます。
いずれも痛みを伴っているような場合は必ず診てもらいましょう。
骨盤、後ろ足などの骨折(痛みが伴い踏ん張れない)
骨盤や後ろ足などの骨折は、小型犬に多い疾患です。痛みが伴うために踏ん張れず、便秘になってしまうことがあります。この場合は、まずは病気(骨折など)の治療を行いつつ、薬を処方してもらったり、浣腸をしてもらうなどして対処しましょう。
身体の故障が治ってないうちは、無理に排便をさせないように注意が必要です。
ストレス(環境の変化、気候の変化などによる負担)
排便ができる時間が限られている、または落ち着かない環境で排便を我慢する。上記の様な行動を繰り返すうちに、ストレスによって腸の「ぜんどう運動」を司る自律神経のバランスが崩れ、その結果として便秘を引き起こす場合があります。
これは引っ越しなどによる突然の環境の変化や、急激な気候の変化などで体がストレスを感じた場合も同様に起こり得ます。
犬が排便をしやすいような環境作りや、お散歩や遊びの時間をしっかり確保してストレス発散の機会をつくってあげるなどの工夫をしましょう。
老犬や子犬が便秘になる理由は?
子犬の場合
母乳→離乳食→ドライフード、と食べ物が変わる過程で起こりやすいのが特徴で、これは水分不足による便秘です。このような場合はフードをお湯でふやかすなど、できるだけ水分を摂りやすくなるよう工夫をしましょう。
それでも改善が見られなければ、早めに動物病院で診察を受けてください。
老犬の場合
腸内に腫瘍や疾患があるため便秘を起こしている、老化によりドックフードの成分が合わなくなってきた、足腰が弱り踏ん張ることができない、など、色々な原因が考えられます。シニア期に入ると小さなことでも体調を崩しやすいので、自己判断はとても危険です。
排便のサイクルに変化があったと感じた時点で、まずは動物病院で診てもらい、ちゃんと原因を特定しましょう。
犬の便秘を解消する方法
食餌療法
ドックフードが合っていない場合、下痢や便秘を起こすことがあります。愛犬がどんなドックフードを食べているのかを改めて確認してみましょう。
既に便秘気味の犬に、とうもろこし、小麦、大豆などの穀物類が主になっているフードはおすすめできません。
さまざまなルーツを経て雑食となった犬ですが、もともとは肉食のため、でんぷん質である穀物類を消化することが苦手な個体もいます。
特に、老犬やお腹の弱い犬は消化器に負担をかけることにもなりますので、肉類の割合が多いものに変えてあげましょう。
下剤、浣腸など
筋力が衰えてしまい、自力で排便できない犬の場合、下剤や浣腸で排便を促すことも有効です。回数や方法は、必ず獣医師の指示に従って行ってください。基礎疾患の治療
消化器系の疾患による便秘の場合は、原因となる疾患の治療も同時並行で行っていく必要があります。便秘に関しても獣医師の指示に従い、下剤や浣腸などで治療を行います。
腫瘍など、疾患によっては浣腸を行ってはいけない場合などもありますので、自己判断で行わないようにしましょう。
生活環境の改善
まずは犬のトイレスペースを確保し、いつもキレイな状態を保ちましょう。また、犬が安心して排泄できる場所を選ぶことも大切です。リビングなど人の出入りが激しい場所は避けること、寝床とトイレは少し離して設置することも重要です。
犬はキレイ好きですので、寝床とトイレが同じ場所にあることを嫌がる傾向があります。
少し離れた場所へトイレを設置してあげることで、しっかりと認識することができます。
マッサージ
足腰が弱く、いきむことができなくなった老犬や、頑固な便秘の犬におすすめなのが“お腹のマッサージ”です。おへそ(大腸)の辺りを大きく円を描くようにやさしくマッサージをします。
便秘のときは、お腹を触られることに敏感になっている犬もいますので、無理のない範囲で行います。
お腹が触って冷たい場合は、タオルで巻いたホッカイロなどを当ててあげる方法もおすすめです。(ただし低温火傷を起こすことがありますので、必ず温度はこまめにチェックしましょう)
オリーブオイル
腸内で便が大きく固まってしまい、なかなか出づらいという場合はオリーブオイルをティースプーン一杯くらいドックフードに混ぜてあげると、腸内に油膜ができるためスルリと出るようになります。乳酸菌
便秘といえば腸内を悪玉菌から善玉菌にしてくれる乳酸菌も欠かせません。整腸のためには、オリゴ糖、乳酸菌、ビフィズス菌などが有効です。プレーンヨーグルトをスプーン一杯程度や、ビフィズス菌のサプリ、整腸剤を飲ませてあげるのも効果的です。
ただし、サプリや整腸剤は人間用と動物用では処方が違いますので、与えるときは獣医師に処方してもらうようにしましょう。
<まとめ>
知っているようで意外と知らない、犬の便秘についてまとめてみました。たかが便秘と思わずに「便が出てないな」「便秘気味かも?」と思ったら、すぐに獣医師へ相談しましょう。
文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。
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