2017年10月27日
【獣医師監修】犬のアレルギー性皮膚炎~症状や予防法について~
監修にご協力いただきました!
櫻井洋平先生
BiBi犬猫病院 院長
2008年3月 麻布大学獣医学部獣医学科卒業
2008年4月〜2013年11月 横浜市内動物病院勤務
2011年4月〜2015年3月 麻布大学附属動物病院 腎泌尿器科・外科 専科研修医として研修
2013年12月〜2015年5月 千葉県内動物病院勤務
2015年7月〜2016年2月 宮城県内動物病院勤務
2016年11月〜 仙台市にBiBi犬猫病院を開院
いつもは元気なのにある特定のタイミングで愛犬に異変が起きる、ということはありませんか?
体を異常に痒がったり、足を気にしてしきりに舐めたり、突然くしゃみをすることがあるようなら、それはアレルギーが原因かもしれません!
アレルギーは人間だけのものではなく、犬にも起こるものなのです。実際、犬のアレルギー検査を行う飼い主も増えてきています。
今回は、アレルギーから起こる「アレルギー性皮膚炎」について、どのように対処すべきか、またその予防法についてお話していきます。
もくじ [非表示]
犬のアレルギー性皮膚炎の症状ってどんなもの?
身体には、外部からの異物を排除しようとする「免疫」が備わっています。
普段は身体を守るための防御システムである「免疫」が過剰になり、害のないものにまで反応してしまうことを”アレルギー”といいます。
犬にもこのアレルギーがあり、原因となる物質(アレルゲン)を過剰に摂取したり、触れてしまうことで症状が起こります。
身体を痒がる
アレルギー性の炎症により、足や指をしきりに噛んだり、舐めたりするようになります。初期の頃は、季節の変わり目や梅雨などの特定の時期だけに起こっていたとしても、次第に一年中痒がるようになります。
まず皮膚が赤くなり、かゆみが出た後、その部分を掻くことで抜け毛の症状が起こります。
また、痒みが出やすい箇所としては以下が挙げられます。
・耳の内側
・目元
・口周り
・内股部分
・足の付け根
・足裏
・目元
・口周り
・内股部分
・足の付け根
・足裏
日頃からスキンシップをとる際には、このような箇所も注意してチェックするようにしましょう。
耳炎を起こす
耳が臭う、お手入れをしてもすぐに汚れる、耳の中が湿っぽいなどの症状がある場合は、アレルギーによる外耳炎を発症している場合があります。また、アレルギーによって外耳炎を繰り返すこともあります。
皮膚が黒ずむ
痒みにより掻くことで、皮膚が赤くなったり色素沈着により黒っぽくなるなどして、皮膚が厚くなります。症状が進むにつれ、脱毛や抜け毛がみられるようになります。
フケが出ている
犬のフケは主に背中で発生することが多いと言われています。毛色がベージュや白の場合フケの発生に気づきにくいのですが、ブラッシングをこまめにしておけば早期発見のきっかけとなる場合もあります。
犬のアレルギー症状は主に皮膚炎として表れることが多いですが、下痢や嘔吐、目や耳の異常、くしゃみなどの症状を引き起こすこともあります。
犬のアレルギーの原因とは
食事によるもの
食物に含まれる成分がアレルゲンとなって引き起こす症状を「食物アレルギー」と言います。<代表的なアレルゲン>
牛肉、鶏肉、ラム肉、小麦、乳製品、鶏卵、とうもろこし、大豆、米、添加物など【検査方法】
もし食物アレルギーが疑われる場合は、動物病院でアレルゲンが何なのかを特定する検査をします。検査方法は、血液を採取してどのアレルゲンに反応するかを測定します。
【治療法】
原因となる物質がおよそ分かったら、食べ物からそれらを排除します。2週間ほど様子をみながら経過を観察し、症状が改善、もしくは悪化したかで判断することができます。
アレルゲンは、1つとは限らず、いくつかの食材にアレルギー反応を起こすことが多いため、自己判断で食事を調整してしまうと、栄養面でバランスを崩すことがあります。
またアレルゲンとなる食物を使用しないで作られた、食物アレルギー用の療法食などに切り替えるのもおすすめです。
ただしこの場合、症状が改善するまでには1~2ヶ月ほどかかるので、すぐに効果が現れないからといってやめてしまうのではなく根気強く続けるようにしましょう。
痒みを抑えるために、ステロイドや抗ヒスタミン剤を同時に使用します。もし皮膚を掻いたことで二次感染がある場合は、抗生物質も投与します。
アレルゲンとの接触
「接触性アレルギー」といって、ある特定のものを触ることで起こるアレルギーがあります。
アレルゲンと接触した場合、被毛が薄い部分を中心に、全身どこにでも症状が現れることが特徴です。
<代表的なアレルゲン>
植物、腐葉土、うるし、シダーチップ、織物、敷物、じゅうたん、プラスチック、ナイロン、ゴム、皮革製品、金属、コンクリート、石鹸、洗剤、ワックス、脱臭剤、除草剤、肥料、駆虫薬、首輪、ノミ取り首輪、外用薬、シャンプーなどこうしてみると、私たち人間が普段使用するものがたくさん含まれています。
【検査方法】
動物病院で血液採取によるアレルギーのテストを行い、その原因を見つけます。
【治療法】
原因が特定されたら、それを生活環境の中から排除します。同時に、痒みを抑えるステロイドや抗ヒスタミン剤を使用します。
もし皮膚を掻いたことで二次感染がある場合は、抗生物質も投与します。皮膚を清潔に保つためにも、定期的にシャンプーをするのもおすすめです。
免疫機能の異常
免疫機能の異常によって、ダニやカビ等のアレルゲンに対して過剰に反応し起こるアトピー性皮膚炎や、異物や薬物が体内に進入してきたことで起こる免疫の過剰反応「アナフィラキシー」などもあります。
アナフィラキシーは摂取してから発症までが非常に早く、重症になると「アナフィラキシーショック」を起こし死亡する場合もありますので早期に対処する必要があります。
<代表的なアレルゲン>
ダニ、カビ、ハウスダストなど【検査方法】
動物病院で血液採取によるアレルギーのテストを行い、原因を見つけます。
【治療法】
まずは生活スペースを徹底的に掃除し、生活環境の改善を行いましょう。
同時にステロイドや抗ヒスタミン剤などの投薬などで症状の軽減をはかります。
こまめにシャンプーをして、皮膚や被毛にまとわりついたアレルゲンを洗い流し、しっかりと乾かします。皮膚が乾燥して痒みを起こす場合は、保湿剤を塗って保湿をしましょう。
ノミなどの寄生虫
ノミや、ニキビダニ、疥癬などといった、皮膚の内部に侵入する寄生虫が原因となってアレルギーを引き起こすこともあります。
【検査方法】
動物病院で、痒みや炎症のある部分を診てもらいましょう。
このときノミやダニなどの場合は目で確認することができますが、ニキビダニや疥癬などの場合は、目視することができません。そのため顕微鏡を使ったり、抜毛検査、皮膚テープ法検査などを行うことになります。
【治療法】
原因が特定されたら、原因となる寄生虫に適した駆除薬を投与して様子をみます。
痒みがある場合は、痒み止めの軟膏を使用する場合もあります。また定期的にブラッシングなどをして、原因となる寄生虫を徹底的に排除しましょう。
遺伝による体質
一部のアレルギーには、遺伝による体質も大きく影響しています。
<代表的な犬種>
ボストンテリア、ダルメシアン、ブルドック、ミニチュアシュナウザー、パグ、ゴールデンレトリバーなど【検査方法】
動物病院で、血液採取によるアレルギーのテストを行い、原因を見つけます。
【治療法】
初期の場合は抗ヒスタミン剤を投与し、薬用のシャンプーを使用するなどしてまずは様子をみます。
重症の場合はステロイドを使用することもあります。アレルギーの原因が分かっている場合は、漢方やサプリメントを用いて体質改善をする方法もあります。
犬のアレルギー性皮膚炎を予防するためにできる3つの事
【予防法①】アレルゲンとなりやすい食材を避ける
アレルギー体質の犬には、アレルゲンとなりやすい食材を避けることがおすすめです。アレルゲンとなる食材には、牛肉、鶏肉、ラム肉、小麦、乳製品、鶏卵、とうもろこし、大豆、米などがあります。
また、市販の安いフードはおいしそうに見せるための着色料や、長期保存できるような添加物が含まれている場合があり、それらがアレルギーの原因となることもありますのでご注意ください
【予防法②】
薬用シャンプーで清潔な状態をキープ
アレルギー症状を起こしている場合、まずは皮膚を清潔に保つことが大切です。掻き壊したところから、二次感染を防止するためにもシャンプーは重要です。ただし、シャンプーをしたらしっかりと乾かし、保湿もしましょう。
予防のためのシャンプーは週に1回程度が理想ですが、肌の状態によっては逆効果にもなりますので、回数や使用する保湿剤などは獣医師と相談しながら決めるようにしましょう。
【予防法③】
カーペットやカーテン、クッションも念入りに手入れする
室内犬の場合、ハウスダストや、ダニ、ノミの糞や死骸からアレルギーを発症することが多いため、犬のベッドや、カーペット、クッションなどは念入りの手入れをして清潔に保つように心がけましょう。まとめ
アレルギーは「体質」であることから、完治させることは難しいといえます。アレルギー性皮膚炎の治療は、症状を抑えながら上手に付き合うことですので、獣医師に相談した上で適切な対処をしていきましょう。
文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。
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