2017年12月4日

犬の殺処分の現状と殺処分を減らす取り組みが盛んな国・日本国内の自治体

現在ペットブームとなっている日本では、3世帯に1世帯はペットを飼っているといわれています。

しかし、その一方で見逃せないのが殺処分の問題です。

ここでは犬の殺処分を減らすために行われている日本及び海外での取り組みをご紹介します。

犬の殺処分について

こちらを見つめる子犬 日本では、驚くほど多くの犬が殺処分されています。

環境省が発表した、平成28年度の犬の殺処分数は10,424頭で、猫と合わせると55,000頭余りにも上ります。

とはいえ、10年前の犬の殺処分数は112,690頭と現在の10倍以上でした。

これほど犬の殺処分数が減っているのは、一重に各自治体の努力の結果だといえるのではないでしょうか。

参考:環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室
統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

海外で行われている犬の殺処分を減らすための取り組み

飼い主に抱かれる犬 海外では、犬の殺処分を減らすために日本ではない様々な取り組みが行われています。

犬の殺処分ゼロの国、ドイツ

ドイツは犬の殺処分ゼロの国として知られています。

ドイツは欧米諸国の中でも特に動物愛護が進んでいることで有名で、そもそも犬の殺処分をする施設が存在しません。

捨てられた犬を保護しているのは民間団体が運営している「ティアハイム」という施設で、ここで保護された犬はその9割が新しい飼い主に譲渡されるそうです。

また、残りの1割もティアハイムで一生を遂げています。

また安易に犬を飼わないようにするための対策も徹底されており、飼い主になるためには飼育環境等の厳しい審査を通過しなければいけません。

さらに「犬税」も導入されており、飼育する犬の頭数が増えると税金も増える仕組みになっています。

イギリスでの犬の殺処分

イギリスでは、日本と同様に犬の殺処分が行われていますが、大きな違いは新しい飼い主が見つかる犬の割合です。

イギリスでは保護された犬のほとんどが新しい飼い主に譲渡されています。

また、イギリスの殺処分では犬を安楽死させています。

日本ではガスを使用した窒息による殺処分が主流となっており、この点も大きな違いだといえるでしょう。


犬の殺処分を減らす取り組みがさかんな日本国内の自治体

カーペットの上でくつろぐゴールデン ドイツをはじめとした国々と比べると動物愛護は遅れているといわれる日本ですが、犬の殺処分を減らすために積極的な取り組みを行っている自治体もあります。

ここでは、特に注目すべき自治体をご紹介します。

神奈川県

犬の殺処分に対する対策において特筆すべき自治体は神奈川県です。

神奈川県では、平成25年度から平成28年度まで4年連続で犬の殺処分ゼロを達成しました。

また、猫の殺処分ゼロも3年連続で達成しています。

神奈川県で行っている主な取り組みは、保護している犬の譲渡および返還の推進です。

動物愛護センターにいる犬の飼い主を見つけることによって保護数を減らし、結果として殺処分をゼロにすることに成功しました。

この活動にはボランティア団体が協力しているとのことです。

また、動物愛護センターに持ち込まれる犬は正当な理由がない限りは引き取らないようにしているそうです。

こうすることで、収容される犬の数が増えることを防いでいます。

神奈川県では今後も犬の殺処分ゼロを継続することを目標にしており、飼い主が最後まで責任を持って犬を飼うことの大切さを提唱しています。

札幌市

札幌市では3年連続で犬の殺処分ゼロを実現しました。

札幌市では、神奈川県と同様に譲渡の推進や正当な理由のない場合の受け取り拒否を行っています。

また、収容期間も7日間から無期限へと変更しました。

熊本市

熊本市では2014年に犬の殺処分を達成し、大きな反響を呼びました。

熊本市では、場合によっては飼い主が殺処分に立ち会うそうです。

賛否両論あると思われる対策ですが、無責任な飼い主を減らす一つの方法ではあるのかもしれません。

まとめ

こちらを見つめる茶色い犬 犬の殺処分は非常に難しい問題ですが、日本でも海外でもこの問題には積極的に取り組んでいます。

不幸な犬をこれ以上増やさないために私たちが個人でできることは、やはり責任を持って犬を飼うということなのではないでしょうか。

殺処分される犬が少しでも減ることを願うばかりです。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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