2017年9月15日
【専門家が解説】「犬のブラッシング」嫌がる愛犬には工夫と継続を
監修にご協力いただきました!
トリマーライセンス取得後に、マーケティング・広報宣伝としてペット用品メーカーに勤務。
現在は愛犬をご自宅のような環境でストレスなく預かる“いぬのホームステイ”『Pet sitter & Doggy Daycare Lima Lima 』を運営。
ホームステイ中の犬のケア、ご自宅まで訪問するペットシッター、トリミングの知識を活かして自宅で出来るグルーミングレッスンなど飼い主様に合わせたプライベートサービスをを行ってます。
犬は長毛犬、短毛犬などの犬種に限らず日常のブラッシングが必要です。
愛犬を清潔にするだけでなく、健康で快適に暮らすためにブラッシングは役立つデイリーケアです。プロのトリマーによるトリミングでオシャレなカットスタイルを楽しむためにも日常のブラッシングは欠かせません。
ブラッシングが苦手な飼い主と愛犬のためにブラッシングの基礎知識をご紹介します。
もくじ [非表示]
- 1 ブラッシングは全ての犬種に必要なケアです
- 2 ブラッシングするメリットは盛りだくさん
- 2.1 抜け毛を取り除くことで、犬の皮膚の衛生状態を保つことができる
- 2.2 室内や屋外に毛が飛び散ることを防ぎ、生活環境を清潔に保てる
- 2.3 犬の身体全体に触れることで、健康の変化に敏感になれる
- 2.4 トリミング後の美しいスタイルをキープできる
- 2.5 トリミング時に仕上がりが早くて犬への負担を軽減できる
- 2.6 色んなカットスタイルにチャレンジしやすい
- 3 ブラッシングはマナーを守って行いましょう
- 4 ブラシ選びと使い方に迷ったらトリマーに相談することが近道です
- 5 愛犬をしっかり観察するとブラッシングのポイントが見えてきます
- 6 ブラッシング苦手の克服方法
- 7 まとめ
ブラッシングは全ての犬種に必要なケアです
ブラッシングが必要な犬種はプードルやヨークシャーテリア、ゴールデンレトリーバーなどの長毛種とは限りません。
スムースヘアーのチワワやビーグル、ラブラドールレトリーバーなど短毛種にも換毛期があり、毛の抜け替わる毛周期に不要な毛を取り除いてあげる必要があります。
犬種によってブラッシングの頻度や使用するブラシは異なりますが、全ての犬に必要なケアです。
不要な毛を取り除く事や、もつれのない毛並みを維持する事は、高温多湿な日本で暮らす犬達の被毛や皮膚を衛生的に保つ健康管理の基本です。
日常的にブラッシングをすることで、愛犬の身体により多く触れることになり、アレルギーや皮膚病、体にできた“しこり”などの早期発見にも繋がります。
ブラッシングするメリットは盛りだくさん
ブラッシングは、犬にも飼い主にも嬉しい事ばかりです。スキンシップの延長としてブラッシングを習慣化することで、犬の健康を保ち、長生きにもつながります。また、犬と共に暮らす生活環境も清潔で快適に過ごすことができます。抜け毛を取り除くことで、犬の皮膚の衛生状態を保つことができる
ブラッシングせずに抜け毛が犬の身体に残ったままの状態では、毛が絡み合い、もつれ、通気性の悪さから皮膚疾患の原因になることがあります。室内や屋外に毛が飛び散ることを防ぎ、生活環境を清潔に保てる
犬の身体から落ちた抜け毛が室内に舞ってお掃除に困る場合、掃除の頻度よりもブラッシングの頻度をアップした方が犬も室内も清潔に保つ事が出来ます。特に換毛期は念入りに抜け毛を取り除いてあげることで、ソファーや衣服、洗濯物への毛の付着を軽減できます。
犬の身体全体に触れることで、健康の変化に敏感になれる
犬が痩せてる、太っているなどの体型の変化や、触ると痛がる(嫌がる)などの違い、皮膚の状態(腫れ、ただれ、赤み、できもの)の変化に初期段階で気付くことができます。月に1度程度の間隔で定期的にトリミングに通っている犬の場合は、愛犬を良く知ってくれるトリマーから健康状態の変化についてアドバイスを受けたり、動物病院の受診を勧められる場合があります。
しかし、数ヶ月〜半年または、年に1度程度しかトリミングサロンを利用しない場合は、トリミングが必要ない犬であっても特に日頃から家庭でのブラッシングや、スキンシップを取ることが大切です。
トリミング後の美しいスタイルをキープできる
トリミングサロンでフワフワに仕上がったスタイルをいつまでもキープするためには、ブラッシングが必須です。トリミングサロンでは、シャンプー後のドライヤーは毛をまっすぐ伸ばしながら乾かしてブローし、カットスタイルを作り上げています。
特にプードルなど本来巻き毛の毛質は放っておくとクルクルとクセ毛同士が絡み合い、ボリュームもダウンすることもあります。
トリミング時に仕上がりが早くて犬への負担を軽減できる
定期的にトリミングサロンに通っている場合でも、日常的にブラッシングをしていると、サロンでの仕上がりが早くなります。サロンでは長時間トリミングテーブルの上で立った姿勢をキープしなければなりません。特に足腰の筋力が衰える老犬には大きな負担につながります。もつれがあるとトリミングの時間も長くなるため、ブラッシングはトリマーの方だけに任せずご家庭で行うことで犬の負担が軽くなります。
色んなカットスタイルにチャレンジしやすい
アフロヘアーや、ソフトモヒカン、足先太めのベルボトムスタイルなど、雑誌やスタイルブックに載っているようなオシャレなスタイルは、もつれが無く健康な被毛の状態であることが必須です。長めのスタイルを希望していても、犬の毛がもつれた状態であれば、オーダー通りに仕上げることが難しく、短くバリカンで剃らなければならない場合があります。様々なヘアスタイルにチャレンジしたい場合は、もつれ無く長く伸ばすことを目標にこまめにブラッシングをしましょう。
ブラッシングはマナーを守って行いましょう
ブラッシングは屋外(公園やベランダ、庭)では行わず、自宅の室内で行うのがマナーです。屋外では、飛び散った毛が近隣住民の洗濯物に付着する可能性もあり、アレルギーを持つ方が利用される可能性がある公共の場で毛を放置することは迷惑行為と言えます。
自宅でのブラッシングで抜け毛が多い場合は、ゴミ袋や掃除機をあらかじめ準備して行いましょう。毛が服に付着して困る場合は、綿やウール素材ではなく、ウインドブレーカーなど化学繊維の服を着て行うと服に付着した毛の処理がスムーズです。
ブラシ選びと使い方に迷ったらトリマーに相談することが近道です
ブラッシングで重要なのが、愛犬に合ったブラシの選び方と使い方です。トリマーが必ずもっておくべきアイテムとして「スリッカーブラシ」と「コーム(櫛)」がありますが、この針の多い剣山のようなスリッカーブラシ、“見た目にも痛そう”“愛犬が嫌がる”という理由からブラッシングを挫折してしまう飼い主さんが多いのが実状です。
実はスリッカーブラシの使い方は、人間の髪をブラッシングする方法とは異なります。
スリッカーブラシでブラッシングする場合、犬の皮膚にはピン先を当てないように注意しながら、ブラシは皮膚に並行に優しく撫でるように動かします。
長毛犬の場合、毛の根元(皮膚)を片手で押さえ、ブラシで皮膚を無理に引っ張って痛い思いをさせないように、毛先からもつれた毛を少しずつほぐすようにしてブラシをかけていきます。
毛にもつれが残ってないかを確認するために、優しくコーム(櫛)を通し、引っかかる場所があれば、コームは引っ張らず、丁寧にそのもつれた部分のみを再度スリッカーブラシでブラッシングします。
短毛種にはスリッカーの他、抜け毛を絡め取るラバーブラシや、毛に艶を与える獣毛ブラシもオススメです。
ブラシの選び方や使い方については、犬種とブラシについて最も精通しているトリマーに相談することがブラッシング上達の早道です。売れているブラシが必ず愛犬の毛質に合うとも限りません。
勉強熱心なトリマーは最新のブラシなど情報を把握しているため、犬に合わないブラシを購入して失敗するよりも購入前に専門家に相談してみましょう。
愛犬をしっかり観察するとブラッシングのポイントが見えてきます
換毛期で夏毛・冬毛に生え変わる体質の犬は、換毛期が始まる頃からいつもより念入りにブラッシングをします。そうすることで、いつまでも抜け毛で部屋や服を汚すことなく愛犬の衣替えがスムーズに行えます。長毛の犬の場合、耳の後ろや尻尾、内ももや脇など摩擦が多い部分がもつれやすいポイントです。
普段からもつれやすい部位を把握してチェックできると毎回のブラッシングが楽になります。
ブラッシング苦手の克服方法
ブラッシングが苦手な犬には無理をさせず、少しずつ慣れることからはじめましょう。多くの犬は足先や尻尾、耳、マズルなど触れられることに敏感です。まずは、背中や胸、お尻など手のひらで優しく撫でるスキンシップから始めましょう。犬とのスキンシップがリラックスして行えるようになったら、手のひらに収まる程度の小さな柔らかいブラシでマッサージしていきます。
この時、少しずつ足先や顔周りに無理なく触れることも練習してみましょう。
既にブラシへの恐怖心や苦手意識がある場合は、おやつを与えながらのブラッシングも効果的です。ガムやアキレスなど、愛犬が食べるのに時間がかかるおやつを片手に握り締め、少しずつ与えながらブラッシングします。
この時はかならず、おやつは飼い主が手で持っておくことです。少しずつ囓らせ、「賢いね」など優しく褒めるのもコツです。
犬が逃げ回ってじっとしていない場合、犬の脇や足の付け根を優しく保持しますが、それが難しい場合はリードを着けて飼い主の近くから離れていかないようにリードを足で踏んでおくと良いでしょう。
台など高い所に乗せることも効果的ではありますが、飛び降りたり、落ちて怪我の無いよう犬の性格をしっかり観察し、ブラシを持たない片手は必ず犬を支えるようにしましょう。
ブラッシング後に必ずご飯が食べられたり、いつもより美味しい特別なおやつが貰えるなど工夫を積み重ねるとブラシ嫌いの克服に繋がります。
まとめ
愛犬が清潔で健康になるブラッシングを、毎日のスキンシップの習慣として是非初めてみてください。愛犬に触れるブラッシングのコミュニケーションは、パートナーとしての信頼関係の絆もより深まります。愛犬のお手入れの悩みや自宅での正しいケア方法は、専門家であるトリマーの方に積極的に尋ねてみてください。
文:櫛部優子(くしべゆうこ)
トリマー、愛玩動物飼養管理士、ペットシッター士
トリマーライセンス取得後に、マーケティング・広報宣伝としてペット用品メーカーに勤務。
現在は愛犬をご自宅のような環境でストレスなく預かる“いぬのホームステイ”『Pet sitter & Doggy Daycare Lima Limam』を運営。ホームステイ中の犬のケア、ご自宅まで訪問するペットシッター、トリミングの知識を活かして自宅で出来るグルーミングレッスンなど飼い主様に合わせたプライベートサービスをを行ってます。
トリマー、愛玩動物飼養管理士、ペットシッター士
トリマーライセンス取得後に、マーケティング・広報宣伝としてペット用品メーカーに勤務。
現在は愛犬をご自宅のような環境でストレスなく預かる“いぬのホームステイ”『Pet sitter & Doggy Daycare Lima Limam』を運営。ホームステイ中の犬のケア、ご自宅まで訪問するペットシッター、トリミングの知識を活かして自宅で出来るグルーミングレッスンなど飼い主様に合わせたプライベートサービスをを行ってます。
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