2018年2月15日

【獣医師監修】犬が頻繁におしりを舐める場合の原因とは?

監修にご協力いただきました!

北里大学獣医学部卒業

2016年 新座えのもと動物病院を設立、院長に就任(現任)

犬が自分の体を舐めるのはよく見かける行動です。

しかし、1ヶ所だけを頻繁に舐め続けているなど、通常とは違った行動を見せる場合は少し気になりますよね。

今回は、犬が頻繁に自分のおしりを舐めている場合に考えられる原因について、考えてみたいと思います。

原因①:虫に刺されたり回虫や条虫が寄生している

数頭の白い犬 おしりの付近は毛が短かったり、きちんとカットされていたりするので虫に刺されやすい部分です。

また、敏感な部分でもあるので、虫刺されのかゆみも強く感じてしまいます。

刺された直後はしばらく我慢するしか方法はありませんが、事前予防として、出来るだけ虫に刺されないようにしてやる配慮が必要です。

室外犬などの場合は、蚊帳などで虫刺されを防いだり、夏場だけ室内で飼うなど虫に刺されにくい環境を整えてあげるように配慮しましょう。

サナダムシや回虫は、肛門回りよりもウンチなどの中に虫を見つける事がありますが、寄生虫の判断は素人には難しいので、あまりにも痒がる様子が続くようなら、動物病院で診てもらうことをオススメします。

原因②汚れや肌トラブル

枝をくわえたゴールデン 気が付かない間に汚れがこびりついていたり、散歩の後おしりを洗ったけれど、洗い残しやシャンプーのすすぎ残しがあって肌がかぶれてしまったり、湿気の多い季節に乾かし残しがあり、それが原因で湿疹などの肌トラブルになることもあります。

皮膚トラブルはきちんと動物病院で診てもらった方が良いでしょう。


原因③排泄機能が衰えることでのトラブル

芝生で休む2頭の犬 犬も歳をとってくると、ウンチやおしっこの切れも悪くなってしまいます。

しっかりと切れないと気持ちが悪く、擦り付けて取ろうとしたりします。

皮膚の汚れは肌トラブルの原因になるので、出来るだけおしり回りの掃除をしてあげるようにしましょう。

原因④肛門のう炎の可能性

ボールで遊ぶポメラニアン 犬には肛門腺といわれる部分があります。

肛門の左右(4時と8時の位置)には袋状の臭腺が一対あり、ここには悪臭のする分泌物などが溜まっています。

この分泌物は、犬が自分のテリトリーにマーキングをしたり、犬同士のあいさつでお尻の臭いを嗅いでお互いを識別したりする時に役立ちます。

臭腺から続いている管が肛門括約筋の左右につながり開いていて、ここに溜まる分泌物はウンチと一緒に出たり、犬が興奮したときに出たりします。

通常、大型犬は自分の肛門筋でしっかりと押し出すことができるのですが、筋力の弱い小型犬や中型犬は肛門腺に溜まった排泄物を自分で排出しきれず肛門腺に老廃物が溜まってしまう場合があります。

この肛門腺に分泌物が溜まると犬は不快に感じ頻繁におしりを舐める行動を見せたりします。

そんな時は飼い主の方が定期的に指でつまんで押し出してあげる必要があります。

ひどくなると分泌物が溜まりすぎて「肛門のう破裂」が起こり皮膚に穴があき、血や膿が流れ出てしまいます。

肛門のう炎は、見た目では判断しにくく、破裂してビックリして病院に駆け込むという事態もよく見かけます。

肛門腺に分泌物が溜まりやすい犬は、日頃から注意して絞ってやることが必要になってきます。

原因⑤肛門周囲腺腫の可能性

遠くを見つめるジャックラッセルテリア 7~8歳以上の雄犬に多く見られる男性ホルモン依存性の良性腫瘍です。

最初は肛門付近の皮膚表面に小さなしこりのようなものが出来ますが、放置すると大きくなっていき、皮膚が裂けて腫瘍のようになってしまう事もあります。

外科手術で取り除いて、去勢をすると再発はほぼありません。

注意すべきこと

こちらを見つめるゴールデン 犬が頻繁におしりを舐める行動を取る場合には、肌トラブルなどの見た目でなんとなく分かるようなものから、素人には分かりにくいものまで、意外に多くのトラブルが隠されている可能性があります。

素人判断で決めつけるとそれが大きな問題に発展してしまう危険もあります。

まとめ

おしりを頻繁に舐める行為は、一見すると大した事がないように見えて、実は犬にとっては不快で辛い状態という事は十分に考えられます。

素人判断で犬に過度な不快感を与える事がないように、気になった場合は出来るだけ早めに獣医師の診察を受けるように心がけましょう。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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