2017年11月4日

犬の盗難(連れ去り)対策について

かわいい愛犬が突然いなくなるなんて、想像したくもないですよね。しかし、実際には犬の盗難事件は決して珍しいものではないのです。

大切な愛犬を守るためには、事前に盗難防止の対策をすること、そして盗難に遭った際には素早く対処することが大切です。

犬を盗む目的

男性のつま先と犬の前足 人が大切にしているペットを盗むことは、どんな理由があっても許されることではありません。

盗難防止に取り組む前に、まずは犬の盗難を起こす側の心理について考えてみましょう。

理由を理解したうえで対策に取り組めば、“どんな点を警戒すべきか”が具体的に見えてきます。

人の犬と知らずに連れ帰る

首輪が抜けた状態で歩いていたため「野良犬だ」と勘違いをして、人のペットだと知らずに犬を連れ帰る人もいます。

本人は盗難ではなく保護する意図で犬を連れているので、この場合は自分から情報を積極的に発信していけば再会できる可能性が高いでしょう。

気に入ったから自分で飼いたくなった

あまりの可愛さに自分で飼いたいという身勝手な理由で人のペットを盗む人もいます。

有り得ない話のようにも聞こえますが、こうしたケースは実際に起きているようです。小さくて可愛らしい小型犬、または人気犬種は特に要注意です。

空き巣による盗難

金品を狙って空き巣に入った人間が、ペットも連れ去っていくケースもあります。金品だけでも相当な被害ですが、さらにペットもいなくなっていたと知ったときの喪失感は相当なものでしょう。

「空き巣経験者の多くが犬のいる家は避けると答えた」という調査結果などもありますが、犬がいるからといって空き巣の被害がなくなるわけではありません。

むしろ実際はその番犬さえも“価値がある”として連れていかれる可能性があることを知っておきましょう。

飼い主への嫌がらせ

飼い主に嫌がらせをするためにペットを連れ去り、盗んだペットは捨ててしまうというケースもあります。信じられないようですが、実際に起こっている犯罪です。

人間関係でトラブルが起きている方は、自身だけでなく愛犬に矛先が向けられないよう警戒しておきましょう。

飼い主から謝礼金をもらうことが狙い

「迷子になっていたペットを保護した」という体を装い、謝礼金をもらおうとする例もあります。飼い主のペットへの愛を逆手に取った悪質な例です。

もちろん盗難ではなく善意で保護してくれる人の方が多いわけですから、ここの線引きはほぼ不可能ですよね。

犬の転売が目的

盗んだペットをペット市場で転売してお金を得ようとするケースもあります。

また、去勢(避妊)手術を行っていない犬がパピーミルと呼ばれる子犬を繁殖する業者に転売される場合もあります。

>あなたの愛犬は大丈夫?盗まれやすい犬の4つの特徴

盗まれやすい犬の4つの特徴

プードルと女性 盗まれやすい犬には、いくつかの特徴があります。愛犬が当てはまると思ったら、特に注意する必要があります。

子犬

転売などを目的としている場合、子犬が狙われやすいようです。成犬でも盗まれる可能性は大いにあるので安心できませんが、やはり若い犬ほど警戒の必要性が上がることは間違いありません。

小型犬

中型犬や大型犬よりも、小型犬の方が盗まれやすい傾向にあります。これは、サイズが小さいと連れての移動がしやすいことが主な理由だといえるでしょう。

ボストンバックやトートバックなどにすっぽり収まってしまえば、目撃されるリスクも非常に低くなります。

まったく吠えない犬

まったく吠えない犬は、周囲も事態に気づきにくくなってしまう傾向があります。

逆に、警戒心が強く見知らぬ人に対して吠える犬は盗まれにくいといえますが、普段の生活を考えると吠え癖は問題なので難しいところです。

人懐っこい犬

大型犬でも、ラブラドールレトリバーなどの人懐っこい犬種は盗まれやすいようです。

愛犬が誰にでもすぐ心を許すタイプなのであれば、十分に注意する必要があります。

>知らないと危ない!愛犬が盗まれた時の対処法


愛犬が盗難に遭ったときの対処法

迷い犬の張り紙 愛犬がいなくなったことに気付いたときには、頭が真っ白になることでしょう。しかし、大切なのは1秒でも早く対処をすることです。

速やかに対応できれば、愛犬を取り戻せる確率も高くなります。

警察に届け出を出す

ペットを盗むことは、立派な犯罪です。盗難に遭ったと気が付いたら、すぐに警察に届け出ましょう。警察も、状況に応じて犯人探しに動いてくれるはずです。

保健所に届け出を出す

窃盗なのか脱走なのかを瞬時に判断するのは困難ですし、仮に窃盗だったとしても、その後犯人が手放す可能性も少なからずあります。(さらった後に転売が難しいと気づく、足がつくリスクを減らそうとする、など)

そのため愛犬がいなくなった時点で保健所に連絡し、現段階で愛犬が届いていないかも確認しましょう。

ちなみに、保健所での保護期間は非常に短く3~7日ほどです。保健所に保護されても、誰からも連絡がなければ犬の身元がわからず、そのまま対処を進める可能性もあります。後回しにせず、すぐに連絡することが大切です。

管轄の清掃局に問い合わせ

迷子になったペットは交通事故に遭うリスクが高くなります。そして、動物が交通事故に遭った場合には管轄の清掃局に連絡がいきます。

愛犬が車に轢かれる姿は想像したくもありませんが、念のため問い合わせてみましょう。

SNSで拡散する

FacebookなどのSNSを使えば、愛犬の情報を一気に拡散することができます。これなら、張り紙よりもスピーディーに広範囲をカバーすることができます。

投稿をみた友人も、愛犬探しを手伝ってくれるかもしれません。

張り紙を張る

いなくなった愛犬が近くにいる可能性は十分にあります。愛犬の写真を張った張り紙を用意し、近所の人の協力を仰ぎましょう。

SNSは拡散力がありますが、利用する年齢層が多少固定されます。SNSを利用しない年齢層の目撃情報が得られない可能性があるので、デジタルとアナログの両方で情報を拡散することをおすすめします。

>誘拐?絶対に許せない犬の盗難は違法?

犬の盗難で問われる罪

椅子のひじ掛けに顎を乗せているパグ 犬の盗難は立派な犯罪です。犬を盗んだ犯人は、法律上では「誘拐」ではなく別の罪に問われることになります。

窃盗罪

他人の犬を故意に無断で連れ去った場合、刑法第235条の窃盗罪にあたります。

住居侵入罪

家の中に侵入して犬を盗んだのであれば、窃盗罪に加えて住居侵入罪にも問われます。

占有離脱物横領罪

いわゆる「ネコババ」です。ノーリードの犬などを飼い犬と思わずに連れ帰った場合は、この罪にあたります。

>愛犬を盗難から守るために出来ることを紹介

愛犬の盗難を防ぐためにできること

鑑札付きの首輪をしているジャックラッセルテリア 飼い主と別れた以上、愛犬の安否などはまったくわからなくなってしまいます。

「今どんなところにいるんだろう」
「もしかして辛い思いをしているのでは……」

深く悩みながら事態の進捗を待つしかない飼い主さんの心情は、想像を絶するものでしょう。

ここでは、愛犬が盗難にあわないよう、事前に取り組めることについてお話していきます。

短い買い物でも目が届かない場所に置いていかない

「ちょっと目を離した隙にペットがいなくなっていた」という例は少なくありません。買い物で外に犬をつないでおくときも、こまめに愛犬の様子をチェックすることをおすすめします。

店頭のポールなどに簡単に繋がれている状態なら、サッとリードをはずされ連れていかれても周囲もすぐには気づけません。

迷子札や音の鳴るチャームをつける

迷子札をつけておけば、誰かが保護してくれたときに飼い主を探し手掛かりになります。すぐに連絡がもらえるように、電話番号を書いておくといいでしょう。

しかし、迷子札が役に立つのは愛犬が逃亡したときのみです。残念ながら、盗難に遭ったときには捨てられるだけなので役に立ちません。

犬にはあまり馴染みのないアイテムですが、猫のように音が鳴るチャームをつけておくと犯人も連れて移動することが困難になるでしょう。

マイクロチップを埋め込む

愛犬の身体にマイクロチップを埋め込むと、迷子札よりも捜索の精度が高くなるのでおすすめです。

これがあれば、愛犬の飼い主は自分だということを簡単に証明できます。犯人が自分の犬だと主張してきた際にも非常に役に立ちます。

決まった周期で長時間の留守番をさせない

長時間飼い主に放置されている犬は、犯人にとって格好の標的になってしまいます。留守番の時間などは、極力短くできるようにしましょう。

また、定期的に家を留守にすると「この日は飼い主が家にいない」と把握されやすくなってしまいます。たまに留守中も照明をつけておくなど、生活リズムを外から把握され難いようにする工夫も必要です。

去勢(避妊)手術をする

去勢手術にはメリットとデメリットがあるので、した方がいいとは一概にはいえません。しかし、盗難防止という観点であれば去勢(避妊)手術は非常に有効となります。

去勢手術さえしておけば、少なくともパピーミルへの転売目的で盗まれることはありません。

愛犬の情報を拡散しすぎない

面識のない人から愛犬について詳しくきかれても、上手く濁すことをおすすめします。

SNSをやっている人は、ネット上で愛犬についての情報を漏らし過ぎないように注意しましょう。

留守番の項目でも触れたように、生活リズムが把握できる家庭ほど、盗難のための下調べがしやすくなります。

リードを付けた状態で道路に座っているビーグルの後ろ姿 他人の愛犬を盗むという卑劣な行為をする人は、残念ながら少なからず存在します。大切な愛犬を守るためにも、他人事と思わずにしっかりと対策を行いましょう。

いざ事件に巻き込まれてから後悔しないように、今からでも盗難防止対策を始めてくださいね。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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