2018年1月23日
【獣医師監修】狂犬病ってどんな病気?~人間と犬、それぞれの症状と予防法~
狂犬病は噛み傷などから感染するウイルス感染症です。すべての哺乳類が感染する病気で、犬だけの病気ではありません。
発症すると神経症状が起こり、治療法がなく致死率は100%です。
今回は狂犬病にかかった際に見られる症状、予防法について解説します。
もくじ [非表示]
犬が狂犬病にかかった時に見られる症状
狂犬病のウイルスを保有する犬に噛まれることでほかの犬から狂犬病が感染します。犬が狂犬病を発症したら、次のような症状がおこります。
・普段と異なる行動をとる(隠れる、友好的な態度をとらなくなる など)
・激しく興奮する
・石や土、木などの異物をむやみに食べる
・周囲に衝動的に噛みつく
・飲食物が呑み込めなくなる
・歩けない、立てない
・痙攣
・昏睡
・激しく興奮する
・石や土、木などの異物をむやみに食べる
・周囲に衝動的に噛みつく
・飲食物が呑み込めなくなる
・歩けない、立てない
・痙攣
・昏睡
人が狂犬病にかかった時に見られる症状
狂犬病にかかった動物に人が噛まれたり、舐められる、唾液の飛まつが粘膜面に付着する、などの経路で人は感染します。人が狂犬病を発症したら次のような症状がおこります。
・情緒不安定になる
・一時的な錯乱がみられる
・恐水症になる(水を怖がりけいれんなどを起こす)
・恐風症になる(風邪を怖がりけいれんなどを起こす)
・高熱
・運動失調
・全身けいれん
など
・一時的な錯乱がみられる
・恐水症になる(水を怖がりけいれんなどを起こす)
・恐風症になる(風邪を怖がりけいれんなどを起こす)
・高熱
・運動失調
・全身けいれん
など
狂犬病にかかる原因(感染経路)
狂犬病はラブドウイルス科のリッサウイルスに属する狂犬病ウイルスの感染症です。狂犬病ウイルスを保有する犬や猫、コウモリなどの野生動物に噛まれたり、引っ掻かれたりすることで生じた傷からウイルスが侵入して感染します。
このウイルスは唾液腺で増殖しますので、唾液に多く含まれます。
傷口位外でも目・鼻・口などの粘膜面から侵入することもあり、狂犬病のウイルスを保有している動物に舐められることも感染原因になります。
狂犬病を媒介する動物は国によって多少異なります。
アジア
イヌ南アメリカ
マングース、コウモリ、イヌヨーロッパ
キツネ、コウモリ中東
イヌ、オオカミ、キツネアフリカ
コウモリ、マングース、イヌ、キツネ、ジャッカルこのように、地域によって媒介する動物が異なり、イヌだけではなく身近な野生動物が媒介することもあります。狂犬病は“動物から人”に感染しますが、狂犬病に感染した“人から人”へ感染することはありません。
体内に侵入したウイルスは咬傷部位から末梢神経や脳や脊髄へと広がり、神経障害、脳炎などの神経障害を引き起こします。
咬傷部位が中枢神経に近いほど発症が早くなります。
人の狂犬病の発生状況
狂犬病は日本、英国の一部、アイルランド、アイスランド、スウェーデン、オーストラリア、ニュージーランドでは発生が見られません。しかし、その他の国では人の狂犬病の発生があり、WHOの報告では年間の死亡者が55,000人とされています。
日本でもかつては多くの犬が狂犬病と診断され、人も狂犬病に感染し死亡していました。
現在日本国内では狂犬病の発生はゼロですが、2006年にはフィリピンで狂犬病の犬に噛まれた日本人が帰国後狂犬病を発症して亡くなっています。
このことからもわかるように現在でも油断することができない病気で、発症すると助かる見込みは100%ありません。
狂犬病の予防にはワクチン(予防接種)が有効
狂犬病は犬にとって致命的な病気で、有効な治療法がありません。さらに狂犬病は公衆衛生上の影響が非常に大きく、人獣共通感染症であるため、発症した動物は安楽死が選択されます。
狂犬病を臨床症状(見た目の症状)から診断することは難しく、神経症状が起こる他の病気と見分けることは非常に難しいのが現状です。
人の場合、狂犬病ウイルスに感染してから発症するまでが長く(平均3~8週間)、この間は血液検査(抗体・抗ウイルス検査など)などで検出することができません。
一方、犬が狂犬病に感染した場合は1~2週間の短期間で発症します。
狂犬病ウイルスは神経系に感染するので、確定診断は死亡後、脳や脊髄から採材した組織を検査しないといけません。
このように狂犬病は「生前の確定診断が難しい」「治療法が無い」「発症したら100%死亡する」など、非常に恐ろしい病気です。
そのため、ワクチン接種を行い予防することが一番大切です。
WHOの勧告では、「社会の犬の70%以上が予防接種を打たないと、ウイルスが入り込んだときに流行を抑えることができない」といわれています。
日本国内では「1956年の犬の発症を最後にして狂犬病は撲滅された」といわれていますが、隣国では狂犬病はいまだ珍しくなく動物や人の発症、死亡の報告が多くされています。
日本における狂犬病予防接種の接種率は40%を切るといわれています。
万が一、日本にこのウイルスが侵入した際には流行を防ぐことは難しいと思われます。
犬のみの病気ではなく人を含むすべての哺乳類が感染する病気で、発症すれば治療法がなく死亡率が100%であることを忘れてはいけません。
狂犬病は現在日本での発症はありません。しかし、かつての日本では実際にあった病気で、努力の末に撲滅宣言にいたりました。
狂犬病予防法では1年に1回予防接種を受けることが飼主に義務付けられています。
発症すると治療法がなく100%死亡します。
国内で撲滅されていたとしても、外交がなされている以上、どのような経路で再び感染が起きるかは予測できません。
狂犬病の予防は、飼い主の方がしっかり行いましょう。
文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。
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