2017年7月20日

犬の膵炎とは?症状、原因、治療法について

監修にご協力いただきました!

小竹正純先生

多摩獣医科病院  院長

2002年麻布大学獣医学部獣医学科卒業

2006年多摩獣医科病院 勤務

2016年多摩獣医科病院 院長就任(現在に至る)

[川崎市獣医師会、日本小動物歯科研究会、再生医療研究会所属]

「愛犬にも美味しいものを食べさせてあげたい!」

質の良い食事やおやつが増えたことにより、飼い主の食事管理に対する意識の差が愛犬の体型にあらわれやすくなったように思います。

犬にも糖尿病や高脂血症、高コレステロール値の上昇などで現代病になりそこから引き起こる病気もあります。

犬の膵炎で見られる症状とは?

顔を伏せる犬 犬の膵炎は、多臓器不全や重篤な感染症、膵機能障害を引き起こす病気です。

膵臓は血糖値を下げるホルモンの分泌をして生きていく上で大切な臓器の1つで、膵臓が炎症によって機能を果たせていない場合、糖尿病のリスクも高まります。

犬の膵炎には人も同様、「急性膵炎」「慢性膵炎」の2つ存在します。次の項目の中で当てはまる症状があれば膵炎の可能性が高いと診断されます。

急性膵炎

・腹痛
・腰痛
・発熱
・食欲の低下
・元気がなくなる
・嘔吐
・下痢

<重症の場合>

・浅速呼吸(呼吸が荒くなる)
・血圧の低下
・脱水症状
・粘膜の黄疸

急性膵炎の場合、突発性であることが多く、腹痛・発熱・食欲の低下・嘔吐・下痢・浅速呼吸・血圧の低下などといった症状がみられ、下痢や嘔吐を繰り返すことによって脱水症状を引き起こし、重症の場合にはショック症状に陥り命に関わる病気です。

慢性膵炎

・腹痛
・腰痛
・下痢
・嘔吐
・食欲の低下
・粘膜の黄疸

慢性膵炎は急性膵炎に見られる症状が断続的に続き常に下痢や嘔吐といった症状を繰り返します。治療を行わず放置してしまうと、重症化してしまい命に関わる怖い病気です。

膵炎は、激しい腹痛を伴い犬は猫背のような体勢で丸まったり震えたり、お腹の激痛で横になって眠れないといった症状がでます。

次に、犬の膵炎の原因について細かく説明します。

犬の膵炎は何が原因で起こる?

テーブルのクッキーを食べようとするラブラドールレトリバー

クッシング症候群などの病気

クッシング症候群とは、副腎皮質亢進症という病気で副腎皮質ホルモンが過剰に体内に分泌されることで引き起こる病気です。

代表的な症状は多飲多尿、食欲の増幅、左右対称な脱毛、お腹の膨らみなどになります。

食事をよく食べて、しっかり水分をとるので、飼い主は病気だと気づかないことがあります。

病気が進行すると徐々に元気がなくなり、免疫力の低下によってさまざまな感染症(皮膚炎・膀胱炎)にかかりやすくなり、ホルモンの分泌異常により、後ろ脚だけでなく前足の靭帯にも影響が出ます。

<クッシング症候群になる原因>

・脳下垂体に腫瘍ができる
・副腎皮質にできる腫瘍
・薬物の過剰摂取(皮膚の治療で長期にわたりステロイド剤を飲み続けた場合)
・肥満
・遺伝的要素

高脂肪食品の摂取

ドッグフード以外におやつも与えているという飼い主はたくさんいらっしゃると思います。

犬用のおやつでも美味しくするためにたくさんの脂肪分を使用しています。過剰に摂取してしまうと脂肪分が蓄えられてしまいます。

人の食べ物は味付けも濃くおいしいので、犬も味を覚えてしまうと欲しがるようになり、味気ないドッグフードを食べなくなるといった悪循環に陥ります。

愛犬に見つめられると「パンの耳くらいなら」と与えたくなりますよね。

特に油分の多い食べ物は、油の分解・代謝が苦手な犬の体には致命的です。膵臓に大きな負担をかけてしまいます。

肥満

人と同様、犬にとっても肥満は”百害あって一利なし”です。

肥満は膵炎だけではなく、クッシング症候群や糖尿病、肝臓脂肪など肥満が原因で引き起こされる病気はたくさんあります。肥満にさせないためにも食事管理が重要です。

高血圧

犬の高血圧は人と違い、無症状な性質がある病気であるため診断が難しいといわれています。心不全や腎不全などの病気で血圧があがることもあります。

細菌感染

ゴミ箱をあさるなどして拾い食いをした場合や、ウイルス・寄生虫感染によって引き起こされます。クッシング症候群などの病気により膀胱炎や皮膚炎などの細菌感染に弱くなってしまうので、膵炎の発症率が高いといえるでしょう。

膵臓の損傷(交通事故など)

交通事故や高所からの落下などで膵臓に外部からの損傷を受けた場合、膵炎を発症する可能性があります。

遺伝

ミニチュアシュナウザーは遺伝的に脂肪代謝の異常が多い犬種で、膵炎にかかりやすいといわれています。

好発犬種

・ミニチュアシュナウザー
・トイ・プードル
・コッカー

上記の犬種は遺伝的要素から膵炎の好発犬種といわれています。

遺伝的要素にだけに関わらず、肥満や日常的に高脂肪の食事の過剰摂取によって発症しやすいといえるでしょう。

腹部の外傷(過去の手術)

過去の腹腔内の腫瘍などを取り除く手術によって、内臓(腸)の癒着や、胆管などの詰まり、膵液などの逆流が原因で膵炎が引き起こることもあります。

次に犬の膵炎の診断方法や治療法について細かく説明します。

犬の膵炎の診断・治療法

獣医師に抱きかかえられるダックスフンド

診断方法

・血液検査
・レントゲン検査
・腹部エコー検査

膵炎はその他の消化器疾患と似ているため、見た目などでの診断は難しく、一般的には血液検査で”膵酵素量“の測定を行い、レントゲン検査や腹部エコー検査などと照らし合わせながら診断を行います。

膵炎を確定診断するためには、外部の検査センターに採取した血液の検査を依頼したり、院内で簡易的な”膵炎検査キット”を用いて検査することもできます。

治療方法

内科療法

一般的に、嘔吐や下痢などを抑える薬や、痛みが酷い場合には鎮痛剤、抗生剤などを使う内科療法が主になります。膵炎の治療薬は現時点ではありません。

治療によって膵臓の炎症が自然に治まるのを待つしかありません。

軽度の場合は自宅で投薬などの治療は可能ですが、症状が酷い場合や脱水症状を起こしている場合は、入院して、絶食・絶飲の治療や点滴での補液治療も合わせて行います。

食事療法

軽度の場合は、自宅での食事療法も重要です。

低脂肪や低塩分などの食事で膵臓に負担の少ない食事を与えましょう。

外科手術

腹腔内で過去の手術や腸管などの目詰まり、腫瘍などによって膵炎を発症している場合は、外科的手術によって切除する方法もあります。

犬の膵炎を予防するために気をつけたいポイント

ごはんを食べる犬

食生活

一番大切なのは、肥満にしないことです。低脂肪の食事を選び体重に合った分量を与えましょう。

すでに愛犬が肥満気味の場合は、現体重の分量では無く、愛犬の理想体重の分量で与えてください。犬は与えれば与えるだけ食べてしまいます。

クッシング症候群などの病気が隠れている場合は、食べても食べても更に要求してきます。その時は、量を少なくして与える回数を増やし、空腹の時間を短くすることで改善されることもあります。

おやつを与えたい場合は、市販のおやつではなく、一日のドッグフードをおやつ分と主食分とに分けておやつとして与えるのもよいでしょう。

市販のドッグフードも低カロリー、低脂肪のものはありますが、更にカロリーを抑えるなら療法食を選ぶことをおすすめします。

適度な運動

散歩するポメラニアン 適度に運動をすることによって腸の動きが活発になります。運動は肥満予防にも繋がるので適度な運動は必要です。

もともと散歩が苦手な犬は、自宅でボール遊びなどを取り入れてみる方法もあります。運動をさせるときに注意してもらいたいのが、食後すぐに激しい運動をしないようにすることです。

食後すぐに激しい運動を行うと胃にある食べ物が消化されないまま嘔吐し、誤嚥したり、体質によっては、胃捻転などを起こしてしまう場合があります。

最低でも30分から1時間は空けて運動する始める事をお勧めします。

まとめ

犬にも生活習慣病と言われる病気が増加している傾向にあります。人も同様に生活習慣病は日常の食事管理が重要です。

膵炎は命に関わる怖い病気です。飼い主の判断で経過を見たりせずに、どんな些細なことだったとしても、愛犬の様子がおかしい時はかかりつけの動物病院で診察を受けてください。

文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。

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