2018年1月1日

世界中で注目されるがん探知犬とは?実用化を目指す際の問題点などご紹介

がんは日本人の2人に1人がかかるといわれている、誰にとっても身近な病気です。

そして、がんを治すために大切なのはやはり早期発見・早期治療です。

ここではがんの早期発見に役立つと期待されている「がん探知犬」についてご紹介します。

※写真はイメージです。

がん探知犬とは?

犬が水の中からあがってくる様子 最近の研究で、がんには特有の匂いがあるということが明らかになりました。

がん探知犬は、受診者の呼気や尿の匂いを嗅ぐことによってがんの有無を判断します。

以前は非科学的だと否定的な意見もありましたが、現在では世界的に認知され研究が行われています。

がん探知犬が発見できるがんは内臓がんや皮膚がん、血液がんなど全ての種類のがんで、早期発見が難しいすい臓がんを見つけたというケースも報告されています。

ただし、がん探知犬はがんがあることを探知できるのみです。

がん探知犬は身体のどこにがんがあるかまでは見分けることができないので、がんの疑いがあると判断された場合には病院で内視鏡やCTなどの検査を受けることになります。

がん探知犬の第一号は元水難救助犬であるマリーンで、20mも沈んでいる水死体から発せられる匂いをかぎ分けられるという天才的な嗅覚をもっていたことからがん探知犬として育成されました。

現在いる5頭のがん探知犬は、マリーンを含めて全てラブラドールレトリバーです。

がん探知犬を使った検査の正確率は99.7%と非常に高い数字となっています。

また、病院の検査で発見できなかったがんをがん探知犬が見つけたという例もあるようです。

山形県金山町でがん探知犬を使った健康診断を導入

がん探知犬を使った健康診断をさっそく導入したのが、山形県金山町です。

金山町では胃がんの死亡率が高いことが問題となっており、特に女性の死亡率は全国1位となっています。

この状況を改善するため、がん探知犬を取り入れるという新たな試みに挑戦しました。

同町ががん探知犬を使った検査のために用意した予算は1,100万円で、2017年5月2日には町民説明会が開催されました。

40歳以上の町民1,000人の検査実施を目標としており、自己負担はなしだそうです。

がん探知犬を使った検査は受診者に負担がかからないため、高齢者をはじめとした多くの人が注目しています。

がん探知犬の問題点

2011年にはがん探知犬に関する論文が医学誌に掲載されて以来、世界中ががん探知犬に注目しています。

がん探知犬が広く普及されるようになれば、今までの医療を大きく変えることでしょう。しかしながら、がん探知犬にはいくつかの問題点があります。

まず、がん探知犬が疲れたり飽きたりすると検査の精度が落ちてくるということです。

これはがん探知犬が生き物である以上仕方のないことかもしれません。

そのため、1頭のがん探知犬が1日の行える検査数は5~6回ほど。

現在日本に5頭しかがん探知犬がいないことを考えても、全国的に普及できるのはまだまだ先だといえます。

またどんな犬でもがん探知犬になれるわけではなく、非常に優れた嗅覚を持っていなければいけません。

現在いる5頭のがん探知犬は、すべてがん探知犬第一号であるマリーンの血を受け継いでいます。

このように遺伝的な条件があるため、がん探知犬の育成は思うようには進みません。

さらに、がん探知犬を1頭育てるためにはおよそ500万円かかるといわれています。

海外ではがん探知犬の研究等を国が支援していますが、日本では財源が限られています。

がん探知犬の実用化のためには、これらの問題を解決していく必要があるといえるでしょう。

がん探知犬についてまとめ

犬が飼い主のほうを見つめている様子 がん探知犬が全国的に普及されるまでには、多くのハードルがあります。

しかし、がん探知犬が実用化されれば多くの人の命が救われることになります。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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