2024年10月22日

【獣医師監修】愛犬の嘔吐の原因と対処法|緊急性の判断と応急処置

監修にご協力いただきました!

2009年 日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業、その後札幌市内の動物病院を経て

2015年 アイリス犬猫病院開院
[日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属]

愛犬が突然嘔吐を始めたとき、飼い主さんは大きな不安を感じるものです。「すぐに病院に連れて行くべき?」「家で様子を見ても大丈夫?」多くの方がこのような判断に迷われることでしょう。
本記事では、犬の嘔吐の種類から原因、そして適切な対処法まで、獣医師の監修のもと詳しく解説していきます。


「嘔吐は、単なる一過性の症状から重篤な疾患のサインまで、原因は様々です。特に24時間以内に2回以上の嘔吐がある場合は、要注意です」

嘔吐の種類と見分け方


1-1. 嘔吐と吐き戻しの違い

まず重要なのは、「嘔吐」と「吐き戻し」を見分けることです。

■嘔吐の特徴

・げーげーという前触れがある
・腹部の収縮を伴う
・消化の進んだ食べ物や胆汁が含まれることが多い
・吐く直前に唾液の分泌が増える

■吐き戻しの特徴

・突然起こる
・ほとんど消化されていない食べ物が出てくる
・比較的容易に出てくる

「吐き戻しは食道の問題である場合が多く、嘔吐は胃や腸など、より深刻な問題を示唆することがあります。見分けることで、適切な対処が可能になります」

1-2. 嘔吐物の性状による分類

①食べ物が含まれる嘔吐

・最も一般的な形態
・食べ過ぎや消化不良が主な原因

②胆汁性の嘔吐(黄色や緑色の液体)

・空腹時に多い
・朝一番で見られることが多い

③泡状の嘔吐

・胃の粘膜刺激を示すことが多い
・ストレスが原因のことも

④血液が混ざった嘔吐

・消化管に損傷がある可能性
・最も注意が必要

「血液が混ざった嘔吐を見つけたら、必ず緊急で受診してください。消化管出血の可能性があり、生命に関わる場合があります」

犬の嘔吐の主な原因

2-1. 食事関連の原因

①早食い

・食べ物を十分噛まずに飲み込む
・空気も一緒に飲み込んでしまう

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②食べ過ぎ

・一度に多量の食事を摂取
・消化不良を引き起こす

③不適切な食べ物の摂取

・人間の食べ物
・腐敗した食べ物
・犬に有害な食材

「早食い防止食器の使用は、嘔吐予防に非常に効果的です。ただし、急に変更すると戸惑う子もいるので、徐々に慣らしていくことをお勧めします」

2-2. 疾病が原因の場合

①胃腸炎

・ウイルスや細菌による感染
・食欲不振や下痢を伴うことが多い
・発熱を伴うことも

②異物誤飲

・おもちゃの破片
・小石や棒
・靴下や紐状のもの

③膵臓疾患

・急性膵炎
・慢性膵炎
・腹痛を伴うことが多い

「異物誤飲は、特に若い犬に多く見られます。異物が腸閉塞を起こすと生命に関わる可能性があるため、普段から危険物の管理を徹底してください」

2-3. その他の原因

①乗り物酔い

・移動中の嘔吐
・よだれの増加
・落ち着きのなさ

②ストレス

・環境変化
・見知らぬ人や動物との接触
・大きな音

「乗り物酔いには、獣医師処方の酔い止めが効果的です。長距離移動の際は、事前に相談することをお勧めします」

緊急性の判断基準


3-1. すぐに病院に行くべき症状


■絶対に受診が必要な状況

・血液を含む嘔吐
・24時間以内に2回以上の嘔吐
・元気消失
・発熱(39.0度以上)
・激しい腹痛
・異物誤飲が疑われる場合

「夜間や休日であっても、これらの症状が見られた場合は、迷わず救急病院を受診してください。数時間の差が予後を大きく左右することがあります」

3-2. 要注意な併発症状

①下痢を伴う場合

・脱水のリスクが高まる
・感染症の可能性

②食欲不振

・24時間以上続く場合は要注意
・水分摂取も減少する可能性

③脱水症状のチェック方法

・皮膚の弾力低下
・歯茎の乾燥
・元気消失

「皮膚を軽くつまみ上げた時、すぐに戻らない場合は脱水のサインです。特に子犬や高齢犬は、脱水が進行しやすいので注意が必要です」


家庭でできる応急処置


4-1. 初期対応の手順

①嘔吐直後の対応

・2時間程度は水も与えない
・安静を保つ
・体を冷やさない

②水分補給の再開

・少量の水から始める
・氷をなめさせる
・経口補水液を活用

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「一度に多量の水を与えると、再び嘔吐を誘発する可能性があります。小さじ1杯程度から始めて、様子を見ながら徐々に増やしていきましょう」

4-2. 食事の再開方法

①絶食のタイミング

・軽度の場合:6-12時間
・重度の場合:12-24時間
※獣医師に相談の上で判断

②食事再開時の注意点

・消化の良い食事から
・少量ずつ与える
・常温の食事を与える
推奨食材:
・茹でた鶏ささみ
・茹でたジャガイモ
・白米のおかゆ

「子犬や高齢犬、持病のある犬の場合は、長時間の絶食は危険です。必ず獣医師に相談してから実施してください」

予防対策


5-1. 日常的な予防法

①食事管理

・適切な量と回数
・決まった時間に給餌
・食器の清潔維持

②環境管理

・危険物の撤去
・適度な運動
・ストレス軽減

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「予防が最も重要です。特に食事管理は、多くの嘔吐の原因となるため、量や時間、食材選びには十分注意を払いましょう」

よくある質問(FAQ)


Q1. 市販の制吐剤は使用しても良いですか?
A1. 人用の制吐剤は犬には適していません。必ず獣医師に相談してください。
Q2. 嘔吐後、どのくらいで病院に行くべきですか?
A2. 24時間以内に2回以上の嘔吐がある場合や、元気消失、血液混入がある場合は、すぐに受診してください。
Q3. 予防接種後の嘔吐は正常ですか?
A3. まれに起こることがありますが、心配な場合は接種した病院に相談してください。

「自己判断での投薬は危険です。症状が悪化したり、診断が遅れたりする可能性があります」

まとめ


愛犬の嘔吐は、その原因や症状によって対処法が異なります。重要なポイントは:

嘔吐の種類と原因を見極める
緊急性の判断を適切に行う
状況に応じた適切な初期対応
予防対策の実施
定期的な健康管理

「心配な時は、必ず獣医師に相談してください。飼い主さんの “おかしい” という直感は、多くの場合正しいものです。早期発見・早期治療が、愛犬の健康を守る最も確実な方法です」

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