2017年10月21日

【専門家が解説】「犬のトリミング基礎知識」頻度や必要性は?

監修にご協力いただきました!

氏原由佳理先生

トリマー 

トリマー歴9年。愛玩動物飼養管理士1級。ホリスティックケア・カウンセラー。

動物の専門学校を卒業後、ペットショップ、動物病院でトリマーとして勤務。

現在は自宅でサロンを開業し「心地よいトリミング」をテーマに、犬の気持ちに寄り添った負担の少ないトリミングを実践中。ちょっと大きめトイプードルと暮らしてます。

トリミングって何するの?うちの子はトリミングが必要?どれくらいの頻度でするもの?など、初めて犬を飼う方にとっては、トリミングの疑問は尽きません。

トリミングサロンを利用する前の方にも分かりやすく、トリミングの基礎知識について解説します。

犬のトリミングとは

カットされる犬
トリミングとは「毛を切りそろえること」です。

シザー(ハサミ)やクリッパー(バリカン)、ナイフなどを使い、犬の毛を刈ったり抜いたりしながら形を整えていきます。

犬のお手入れ全般のことを「グルーミング」と言いますが、「トリミング」はグルーミング作業の内のひとつになります。

犬種には、トリミングが必要な「トリミング犬種」と、グルーミングのみで良い「グルーミング犬種」が存在します。

トリミングが必要なのは「トリミング犬種」に分類されている犬種です。

トリミングの必要性

毛が長い犬と毛をカットされた犬 犬のトリミングには以下の役割があります。

犬の体を衛生的に保つ

トリミングが必要な犬種は、カットをしなければ永遠に毛が伸び続けます。犬の毛は人間の髪の毛の1/3程度しかありません。そのため毛を切らずに放置していると、もつれて毛玉になりやすい性質があります。

毛玉やもつれが出来ると皮膚に湿気がたまりやすく、かゆみや皮膚病を引き起こす原因となります。犬の体を衛生的に保つためにも、定期的なトリミングは欠かせません。

外部寄生虫を予防する

犬の毛を長く伸ばしていると、ノミやダニの温床と化すことがあります。ノミやダニは草むらなどに潜んでおり、犬が吐く息(二酸化炭素)に反応して体に乗り移ります。大量のノミに寄生されると激しいかゆみを引き起こします。

犬は体を掻きむしり、皮膚が赤くなったり出血する事があります。マダニはバベシア症などの様々な病気を媒介します。トリミングをすることで、ノミやダニなど外部寄生虫を発見しやすくなります。

犬の見た目を美しくする

犬種にはそれぞれ「スタンダード」があります。スタンダードとは、犬種らしさをあらわす指標のことで、犬種標準とも言われています。スタンダードに沿ったトリミングを行うことで、その犬のもつ犬種らしさを引き出すことができます。


トリミングが必要な犬種

トリマーと犬

メジャーなトリミング犬種

トリミングが必要な犬種は以下の通りです。

・プードル
・シュナウザー
・マルチーズ
・シーズー
・ヨークシャーテリア
・コッカースパニエル
・ビション・フリーゼ
・ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア
・ワイヤーフォックステリア etc

トリミングが必要かどうかを見分ける方法

最近ではグルーミング犬種とトリミング犬種のミックス犬が人気です。そのため、ミックス犬の飼い主さんはカットをしてあげた方が良いのか迷うと思います。

そんな方に、カットが必要かどうかを簡単に見分ける方法をご紹介します。

換毛期があるかどうか

一つめは、換毛期があるかどうかで見分ける方法です。

トリミング犬種は、下毛のない「シングル・コート」であることが一般的で、グルーミング犬種は、ふわふわの下毛をもつ「ダブル・コート」であることが多いです。

「ダブル・コート」の犬種には換毛期があり、季節の変わり目には大量に毛が抜けます。自分で温度調節ができるため、毛を刈り取る必要がありません。

逆に換毛期のない犬は、人間の手で短くカットしてあげないと体温の調節ができません。

顔の毛が伸びるかどうか

二つめは、顔の毛が伸びるかどうかで見分ける方法です。

トリミングが必要な犬種は、カットをしないでいると顔の毛が伸びて目にかぶさってしまいます。目が見えないまま生活するのは危険なので、トリミングですっきりとカットしてあげたほうが良いでしょう。

犬のトリミングの内容・手順

爪を切られている犬 犬のトリミングは、以下の手順で進めていきます。

・爪切り
・バリカン(足裏、お腹、肛門周り)
・耳そうじ(耳毛抜き)
・肛門腺絞り
・ブラッシング(もつれや毛玉の解消)
・シャンプー
・全身のカット
ちなみにお腹のバリカンは、 1 ミリのバリカンを使って犬の下腹部をツルツルに刈ります。

あまり短くしたくない場合や、お腹のカットが必要ない場合は、担当トリマーに伝えておきましょう。

犬のトリミングにかかる時間は?

時計と手 犬のトリミングにかかる時間は、小型犬で 2 ~ 3 時間、中型犬で 3 ~ 4 時間を目安にしておきましょう。

ただし、トリミングの頻度が空いたことで汚れが溜まっていた場合や、もつれがあると目安以上に時間がかかります。

また、サロンによっては素早く仕上げるところや、長く預かってじっくりと仕上げるところなどがあり、トリミングにかかる時間もそれぞれ違います。

初めてのサロンに連れて行くときは、かかる時間を事前に確認しておくと良いでしょう。

犬のトリミングにかかる料金は?

犬とお金 トリミングの料金は、5,000~10,000円が相場です。ただし、犬種や体重、毛質やもつれ、地域、サロンによっても変わります。

たとえばプードルなどの特殊な毛をもつ犬種は、トリミング料金も高い傾向にあります。そして犬の体格が大きいほど、トリミング料金は高くなっていきます。

また、汚れがひどかったり、抜け毛やもつれがあったりする場合は別途料金が発生します。状態にもよりますが、500円~2,000円がトリミング料金に上乗せされる事があります。

また、サロンの立地によっても料金が変わります。地方よりも都会のサロンのほうが料金は高く設定されています。

犬をトリミングに出す頻度はどれくらい?

バリカンでカットされる犬 犬のトリミングは 1 ヶ月に 1 回くらいの頻度で連れていきましょう。

毛を短くカットすると 2 ~ 3 ヶ月は持ちますが、 1 ヶ月に 1 回の頻度にしておくことで病気の早期発見にもつながります。

トリミングでは、耳の中や皮膚の状態など、犬の体の細かい部分までチェックしていきます。そのため腫瘍や皮膚病など、体に起こる異常を早くに見つけることができるのです。

またトリミングの頻度が空くと、爪や足裏の毛が伸びてきます。爪が長いと歩きにくく、足裏の毛が長いとフローリングで滑って関節を痛めてしまいます。ひどい場合は骨折することもあります。

もしもカットをするほど体の毛が伸びていなければ、間にシャンプーをはさみつつトリミングサロンを利用すると良いでしょう。

トリミングサロン利用時の注意点

こちらを見るトイプードル

混合ワクチン・狂犬病ワクチンを接種しておく

トリミングサロンは不特定多数の犬が来店するため、ワクチン接種が欠かせません。トリミングに連れて行く前に、混合ワクチンと狂犬病ワクチンの接種を終わらせておきましょう。

ワクチンは 1 年に 1 回のペースで接種します。サロンによっては毎年のワクチン証明書の提示が義務付けられているところもあります。

子犬の場合は 3 回目の混合ワクチン接種が終わったあと、約 1 ヶ月の期間を空けて狂犬病ワクチンを接種します。狂犬病ワクチンの接種が無事に終われば、約1週間でトリミングができる状態となります。

ノミやダニを駆除しておく

トリミングサロンでは、ノミやダニが大量に寄生しているのを発見した場合、他の犬にうつる危険性があるためトリミングを中止することがあります。トリミングサロンに連れて行く前に、ノミやダニの駆除を済ませておきましょう。

トリミングは体調の良い日に連れて行く

犬の体調が悪い状態でトリミングを行うと、余計に悪化させてしまいます。トリミングに連れて行く前に、食欲はあるか、下痢をしていないかなど普段とは違う様子がないかをチェックしておきましょう。

トリミングから帰ったあとは犬を休ませる

トリミングは犬の体力を消耗します。特に初めてトリミングをした場合は、家に帰ってからぐったりと寝込んでしまうことがあります。そのため、トリミングが終わったあとは家でゆっくりと休ませてあげましょう。

まとめ

頭の毛をカットされる犬 愛犬の飼い主になるまで、トリミングについての知識は無い方が大半です。こんなはずではなかったのに…とガッカリしないためには、トリミングの基礎知識をつけておくことが大切です。

犬の健康を保って過ごしやすく生活していくためにも、月に 1 度のトリミングは欠かさないようにしておきましょう。

氏原由佳理 文:氏原 由佳理

トリマー歴9年。愛玩動物飼養管理士1級。ホリスティックケア・カウンセラー。

動物の専門学校を卒業後、ペットショップ、動物病院でトリマーとして勤務。現在は自宅でサロンを開業し「心地よいトリミング」をテーマに、犬の気持ちに寄り添った負担の少ないトリミングを実践中。ちょっと大きめトイプードルと暮らしてます。

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