2017年9月3日

【専門家が解説】犬の耳掃除は自宅ケアが肝心!やり方や頻度は?

監修にご協力いただきました!

氏原由佳理先生

トリマー 

トリマー歴9年。愛玩動物飼養管理士1級。ホリスティックケア・カウンセラー。

動物の専門学校を卒業後、ペットショップ、動物病院でトリマーとして勤務。

現在は自宅でサロンを開業し「心地よいトリミング」をテーマに、犬の気持ちに寄り添った負担の少ないトリミングを実践中。ちょっと大きめトイプードルと暮らしてます。

犬の耳は皮脂や湿気で汚れやすく、放置すれば外耳炎を発症することもあるため、こまめな耳掃除が欠かせません。

今回は、自宅でする耳掃除のやり方について解説します。適切な頻度で耳掃除を行い、愛犬の耳の中の健康を保ってあげましょう。

犬に耳掃除をする必要性

こちらを見る犬 犬には立ち耳の犬種と垂れ耳の犬種がいます。立ち耳の犬種は、耳の通気性が良く湿気がたまりにくいため、めったに汚れることはありません。

しかし垂れ耳の犬種は、耳の構造上湿気がたまりやすく、雑菌が繁殖して外耳炎を発症しやすいので注意が必要です。

立ち耳の犬種であっても、皮脂が出やすければ耳が汚れやすくなります。特に梅雨時期などじめじめとした季節は、耳の状態が悪化しやすくなります。

健康な犬の耳は薄いピンク色で、表面はサラッとしていてべたつきません。しかし耳が汚れてくると茶色く湿った耳垢が目立ち始めます。

犬はしきりに耳を痒がり、後ろ足を使って掻くため、耳の皮膚が傷つき真っ赤になってしまうこともあります。

耳の汚れを放置していると外耳炎に進行してしまいます。そのため耳が汚れやすい犬は、自宅で耳掃除をして清潔な状態を保たなければいけません。

犬の耳掃除を自宅でしてはいけないケース

犬の耳の穴 犬の耳掃除は大切ですが、自宅で耳掃除をしてはいけないケースもあります。また、以下の症状がみられたら動物病院で診察を受けましょう。

汚れていない健康な耳

汚れていない健康な耳の場合は、耳掃除をする必要がありません。耳掃除をすることでかえって耳の中を傷つけてしまうおそれがあります。

しかし、いつ汚れても対応できるように、定期的な確認は怠らないようにしましょう。

耳に触ると痛がる

犬の耳に触れたときに「キャン」と鳴いたり、噛んできたりする場合は、外耳炎を発症している可能性が高いです。

また、耳の表面が腫れていないかも確認してあげてください。これらの症状があるときに自宅で耳掃除をすると、余計に悪化させてしまいます。耳に触ると痛がる場合は、動物病院で適切な治療を受けてください。

黒くて乾燥した耳垢が出る

犬の耳から真っ黒でポロポロと乾燥した耳垢が出る場合は、耳ダニが繁殖している可能性があります。耳ダニとはミミヒゼンダニの略称で、直径0.3ミリほどのダニのことです。

耳ダニに寄生されると激しい痒みを引き起こすため、犬はひっきりなしに耳を掻きむしったり、突然頭を振ったりします。

また、耳ダニは他の犬にも移るため、感染犬との接触は避ける必要があります。取れた耳垢はビニール袋に入れ、密封してから処分しましょう。


犬の耳掃除で用意するもの

耳を拭かれる犬 犬の耳が少し汚れている程度であれば自宅での耳掃除が有効です。耳掃除に必要な道具をご紹介します。

イヤークリーナー

犬用のイヤークリーナーを用意しましょう。動物病院やペットショップで販売されています。慢性的な耳の病気を抱えている犬や、肌が弱い犬は動物病院にある低刺激のクリーナーを使いましょう。

コットン(カット綿)

化粧水用のコットンを用意しましょう。100円ショップやドラッグストアなどで販売されています。

イヤーパウダー

犬の耳掃除用のパウダーです。ペットショップなどに置いてあります。イヤーパウダーは犬の耳毛を抜くときや、耳の中を乾燥させるときに使います。耳の中に毛が生えている犬種は必ず用意しましょう。

犬の耳掃除の基本的なやり方

耳を拭かれる犬 ここからは基本的な耳掃除のやり方について解説していきます。

STEP1 耳毛を抜く(耳毛が生えている犬種のみ)

耳の中に毛が生えている犬種は、最初に耳毛を抜きます。まずは手のひらにイヤーパウダーを取り、適量を指でつまんで犬の耳の表面につけていきます。すると耳の表面が白っぽく乾燥した状態となり、耳毛が抜きやすくなります。

耳毛を指でつまんで抜いていきましょう。このとき、たくさんの毛を一気に引き抜こうとすると犬は痛みを感じます。少量ずつ抜いてあげてください。

耳毛を抜く範囲は、犬の耳を折り返した内側の部分までが目安です。

STEP2 イヤークリーナーを耳に入れる

イヤークリーナーを耳の中に入れます。犬の耳からあふれるくらいタップリと入れてください。このときに犬が頭を振って耳の中の液が飛び出ることがあります。頭が動かないようにしっかりとおさえておきましょう。

液を入れ終わったら耳の付け根をもち、クチュクチュと音を立ててもみます。こうすることで耳の中の汚れを浮き上がらせることができます。

STEP3 犬にブルブルさせる

手を離すと犬はブルブルと頭を振ります。その拍子に耳の中の汚れが表面まで飛ばされて出てきます。

ちなみに、犬にブルブルをさせたときにイヤークリーナーが飛び散って部屋の中が汚れてしまいます。犬の耳の外側にタオルを当てておき、飛び散りを防止しましょう。

STEP4 出てきた汚れをふき取る

出てきた汚れをコットンでふき取ります。汚れが取りきれていないようなら、もう一度同じ作業を繰り返します。

犬の耳掃除で注意するポイント

ベッドの上でこちらを見る犬 自宅で犬の耳掃除をするときに注意しておくべきポイントを紹介します。

ゴシゴシこすらない

犬の耳はとてもデリケートです。そのため、コットンでゴシゴシと強くふき取ってしまうと、耳の中が傷ついて炎症を起こしてしまいます。耳掃除で出てきた汚れは、すくい取るような感覚でやさしくふき取ってあげましょう。

耳毛を抜く犬、抜かない犬

耳毛を抜く必要があるのは、プードルやシュナウザー、シーズーやマルチーズなど、換毛期のないシングル・コードの犬種です。柴犬やダックスフント、チワワなど換毛期のあるダブル・コートの犬種は耳毛が生えていません。耳の周りの毛を抜くと炎症の原因にもなります。耳毛抜きが必要な犬種のみ耳毛を抜いてあげてください。

犬の耳掃除の頻度

こちらを見る犬 自宅での耳掃除は1週間~2週間に1回を目安にチェックしてあげると良いでしょう。犬の耳の汚れ具合は個体差があります。耳の中を確認して汚れていなければ耳掃除の必要はありません。

しかし、シーズーやコッカースパニエル、ヨークシャーテリアなど皮脂の出やすい犬種は、耳も汚れやすい傾向にあります。その場合は1週間に1回程度のこまめな耳掃除で耳の中の健康を保ってあげましょう。

犬が耳掃除を嫌がる場合は?

両手で顔を触られる犬 犬は耳掃除をするだけなら嫌がることはありません。耳掃除を嫌がるとすれば、耳毛を抜くときや、ふき取るときの痛みが原因でしょう。耳の中に炎症が起こっている可能性もあります。

まずは耳の中で炎症が起こっていないかを確認しましょう。耳が真っ赤になっていたり、腫れていたりする場合は、動物病院で診察してもらいましょう。

また、耳掃除の際に犬が痛がっていないか等、やり方を見直すことも大切です。大量の耳毛を一気に引き抜くと痛みを感じやすいので注意してください。また、毛先の方を引っ張ることで痛みが大きくなります。耳毛は根本から少量ずつ抜いていきましょう。

また、耳の汚れをふき取るときはこすらないように気を付けてください。それでも嫌がるようなら、耳掃除をするときに犬の頭を誰かにおさえてもらうと良いでしょう。

ただし、首を持つと暴れた拍子に締まる可能性があります。ポイントは犬のあごの骨と後頭部を同時におさえることです。

我慢ができたらおやつなどのご褒美をあげて、耳掃除に対して良いイメージを与えてあげましょう。

まとめ

緑の芝の上で空を見上げる犬 汚れやすい犬の耳は、こまめな耳掃除が必要です。耳毛抜きは少し大変ですが、耳掃除はそれほど難しくないので安心してください。

耳の汚れは1~2週間に1回のペースで定期的にチェックし、必要であれば耳掃除をして清潔な状態を保ってあげましょう。

氏原由佳理 文:氏原 由佳理

トリマー歴9年。愛玩動物飼養管理士1級。ホリスティックケア・カウンセラー。

動物の専門学校を卒業後、ペットショップ、動物病院でトリマーとして勤務。現在は自宅でサロンを開業し「心地よいトリミング」をテーマに、犬の気持ちに寄り添った負担の少ないトリミングを実践中。ちょっと大きめトイプードルと暮らしてます。

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