2017年9月29日

【専門家が解説】愛犬の「マッサージ」に必要な“スキンシップ”のヒケツ

監修にご協力いただきました!

トリマーライセンス取得後に、マーケティング・広報宣伝としてペット用品メーカーに勤務。

現在は愛犬をご自宅のような環境でストレスなく預かる“いぬのホームステイ”『Pet sitter & Doggy Daycare Lima Lima 』を運営。

ホームステイ中の犬のケア、ご自宅まで訪問するペットシッター、トリミングの知識を活かして自宅で出来るグルーミングレッスンなど飼い主様に合わせたプライベートサービスをを行ってます。

愛犬との毎日のスキンシップにマッサージを取り入れたいとき、何を用意して、何からはじめると良いのか迷いますよね。

マッサージは血流を良くし免疫力を高めることや、筋肉の疲労回復などに期待ができたり、手で触れることによる心の安らぎを与えてくれます。

自宅での愛犬とのスキンシップを中心にそのコツと注意点について紹介します。

マッサージ・スキンシップを始める前に知っておきたいこと

横になっておなかを触られる犬 どんな時も犬の体調を確認してから行いましょう。犬の体調が優れない時のマッサージは避けます。

また、慢性的な疾患や体に痛みを持つ犬の場合は、自己判断でマッサージをすることで症状を悪化させないよう、獣医師に相談してから家庭で出来るケアについて学ぶことが必要です。

まずは、犬が体に触れられることを平気で受け入れられるように毎日スキンシップを重ねることが大切です。

「背中やお尻は撫でさせてくれるけど、手足を触ると噛んでくる」「顔や口の周りを触ろうとすると逃げる」など一番信頼できるはずの飼い主に特定の場所を触らせてくれないといった場合、犬と長く暮らしていくなかで通院や治療、トリミング、老犬になった時の介護など色々なシーンで必要になる自宅でのケアが難しくなります。

犬の年齢にかかわらず、毎日のスキンシップは身体の何処を触っても安心して身体を預けてくれる信頼関係を築くように心がけましょう。

皮膚に炎症があったり、いつもなら平気のはずが痛がったり嫌がったりする部位がある場合、速やかに獣医師に相談しましょう。スキンシップは、病気や怪我の早期発見として最も有効な家庭でできる健康管理です。

マッサージ・スキンシップはいつ?どんなときに行えばよい?

仰向けで飼い主の膝の上に乗る犬 犬も飼い主もリラックスした状態で行いましょう。朝、お出かけ前の忙しい時や、子供やほかの動物が走り回る環境は避け、ゆっくり時間を気にせず犬と向き合える時間をつくるように心がけましょう。

犬は飼い主の焦りやイライラに敏感に反応します。リラックスできる音楽をかけたり、夜であれば柔らかなトーンの照明のなかで行うのも良いでしょう。

犬がゴロンと横になれるベッドやクッションを用意してあげるのも良いですし、大好きな飼い主さんの膝の上で行う場合は安定した体勢をとれるようにしてあげましょう。

犬の身体に覆いかぶさるような立ち位置では威圧感を感じてしまうため、なるべく犬に触れる時は犬の身体に沿うように座って行うと良いでしょう。

犬が気持ちよさそうに寝ている時でも、いきなり触れることは避け、声をかけながら優しく触れて様子を見ます。犬に触れている時、素直に身体の力を抜いてリラックスしていくのを確認しながらマッサージを始めましょう。

人間用のアロマオイルやマッサージクリームは原材料が天然由来の物であっても、なかには犬に向かない成分の物や、人間とは使用する濃度が異なるものもあるため、自己判断で使用することは避けましょう。

使用したい場合は、犬用として使用が認められている物を正しい用法に従うようにします。


犬が触られて嬉しいところから始めましょう。

体を撫でられる犬 リンパマッサージ、ツボ押し、アロママッサージなどそれぞれの目的や効果により触れ方は異なりますが、犬は大型犬でも小型犬でも皮膚はとてもデリケートです。

人間のマッサージのようにギューッと強く押したり、力を入れて揉みほぐす必要はありません。むしろ軽く手や指の腹で優しくさするだけでも血流は良くなります。温かい手で包み込んであげても良いでしょう。

スキンシップに慣れていない犬は、まずは飼い主との信頼関係を築くことを目的にして、犬が「触れられると気持ちが良くて安心できる」と感じてもらうことから始めましょう。

臆病な犬には「気持ち良い?良い子ね。お利口さんね」と優しく声をかけてあげましょう。

犬は手足の先や尻尾、マズルなど身体の先端やお腹や桃の内側などをいきなり触られることが苦手です。

胸、背中、お尻など広い部分は比較的触れられることへのハードルは低いため、犬が気持ち良いと感じる部位から少しずつ触れていきます。

この時、犬が安心して身体の力が抜けてリラックスしているかどうか触れながら、筋肉の硬さを確かめながら行うのがコツです。体を硬くして触られることを我慢している様子があれば、無理に続けることはやめましょう。

犬の身体に触れている時間は犬に任せて、犬が望んでないのに長時間触れ続けることはかえってストレスになるので良く様子を見て短時間から少しずつ時間を増やしますが、長くても 5 〜 10 分位にとどめておきましょう。

足先などの身体の先端まで触れるための手の動かし方は以下の通りです。少しずつ触れている範囲を広げていくのがコツです。

・胸を撫でる手をそのまま軽く力を抜き前足の付け根から足先へ
・背中を撫でる手を少しずつ身体の左右側面に移動させながらお腹へ
・背中からお尻を撫でる手を軽く力を抜き、後ろ足の付け根から足先へ
・頭や耳を優しく撫でながら頬や顎を撫でる
毛が生えている方向と同じ向きに(毛並みに沿って)手や指を動かしましょう。お尻や腿など普段筋肉を良く使う部分は指の腹を使用して優しくクルクルと小さな円を描くように撫でてあげるのも良いです。

シニア犬にオススメのマッサージ

顔を触られるゴールデンレトリバー 犬も高齢になると身体も少しずつ若い時ほど思うように動かなくなりますが、マッサージすることで快適に暮らせるケアもあります。

食事の前に頬をマッサージ

食事を与える前に軽く両手で頬の皮膚を優しく撫でてマッサージしてあげましょう。この時に、歯周病など痛がるようであれば、歯の健康もしっかりチェックして適切なケアをあげましょう。

お散歩前のウォーミング

寝ていることが多くなるシニア犬にとって、楽しみのお散歩も起きてすぐ動き出すのは辛いもの。「そろそろお散歩に行こうか?」と声をかけながら優しく手足を温めるようにこれから使う筋肉をほぐしてあげましょう。

寝たきりにならないためにも、毎日元気に歩いて筋肉を落とさないように工夫してあげましょう。

市販のケアグッズでマッサージ

ピンクのシリコン製ブラシ

肉球クリームやジェル

犬も足裏には代謝を良くするツボがあります。カサカサになりがちな肉球のケアするのと同時に優しくクリームやジェルを塗りこんであげることで軽く刺激を与えることもできます。

肉球用のクリームやジェルはペット用品の専門店やトリミングサロン等で手に入ります。

シリコン製やラバー製のブラシ

柔らかく弾力のあるシリコンやラバー素材のブラシはマッサージにも最適です。強く力を入れず体全体を毛並みに沿って撫でると全身の血流を良くできます。

また、シリコンやラバー素材のブラシは換毛期の細い抜け毛も絡め取ってくれるので、毛が生え変わるダブルコートの犬には1個持っていると便利です。手にはめるグローブタイプもオススメです。

まとめ

トリミングサロンや動物病院には、犬のマッサージやツボを勉強したスタッフが居るところもあります。

またカルチャースクールなどでは、犬同伴などで参加できるセミナーを開催されていることもあります。難しい資格を取得しなければと意気込む必要はなく、まずは気軽に愛犬と参加できるセミナーに参加してみましょう。

犬の年齢や身体の悩み、生活環境に合わせたマッサージの方法をプロから直接教わることもできるのでオススメです。アロマ、ツボ、リンパそれぞれに手法が異なるため、無理なく続けられてご自分と愛犬に合うものを選んで試してみてくださいね。

マッサージは、病気や怪我の回復に即効的な効果を得られるわけではありませんが、毎日愛犬に触れることは犬の健康管理に欠かせません。

また、スキンシップは愛情を伝える大切な手段でもあります。愛犬の心を満たしてあげられる大切なコミュニケーションですから、ぜひ毎日続けてください。

櫛部優子 文:櫛部優子(くしべゆうこ)

トリマー、愛玩動物飼養管理士、ペットシッター士
トリマーライセンス取得後に、マーケティング・広報宣伝としてペット用品メーカーに勤務。
現在は愛犬をご自宅のような環境でストレスなく預かる“いぬのホームステイ”『Pet sitter & Doggy Daycare Lima Limam』を運営。ホームステイ中の犬のケア、ご自宅まで訪問するペットシッター、トリミングの知識を活かして自宅で出来るグルーミングレッスンなど飼い主様に合わせたプライベートサービスをを行ってます。

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