2017年10月14日

【専門家が解説】犬の肛門腺絞り(肛門絞り)のメリットやコツとは

監修にご協力いただきました!

山之内さゆり先生

トリマー 

動物病院で約10年トリマー兼動物看護士として勤務。

トリミングセミナー、動物看護セミナー、犬の老後ケアセミナー、パピーセミナー等を積極的に受講。

『ヒルズ フードアドバイザー』『ロイヤルカナン 栄養管理アドバイザー』を取得。


現場での経験とさまざまなセミナーで培った知識と合わせて、人とペットのQOL(Quality Of Life)=質の良い生活を提供できるようお手伝いできればと思っております。

犬は大切な家族の一員で、一緒にいるだけで毎日がすごく楽しいものになりますよね。そんな犬のケアのひとつとして肛門腺絞り(肛門絞り)があります。トリミングに連れて行くと必ずトリマーさんがしてくれる肛門腺絞りですが、実は自宅でも飼い主さん自身でケアすることができるんです。

そこで、自宅での肛門腺絞りのコツやメリット、注意点などについてお教えします。

肛門腺絞りとは?

パソコンと犬 肛門腺絞り、肛門絞りとも言いますがどちらも同じ意味で、犬の肛門を時計に例えたときに 4 時と 8 時の位置に肛門嚢(こうもんのう)という、分泌物が溜まる袋があります。その袋に溜まった分泌物を肛門腺と言い、月に 1 回程度溜まった分泌物を絞ってあげることを指します。

個体によっては、肛門腺が溜まりやすく 2 週間くらいすると溜まってしまう犬もいるので、肛門腺を絞ったはずなのに数週間したらお尻をこすっていたり、お尻周りからニオイがする、といったことがあったら肛門腺が再び溜まっていないかチェックしてみましょう。

また、溜まってしまった肛門腺を放置していると肛門嚢が破裂してしまい、肛門嚢炎を起こしてしまうことがあります。

肛門嚢炎は犬にとってすごく痛いものなので、そうならないためにも定期的に肛門腺絞り(肛門絞り)をしてあげる必要があります。

肛門腺絞りのメリット

花畑のゴールデンレトリバー 肛門腺絞りは必要なケアのひとつですが、肛門腺絞りをすることで得られるメリットもあります。

肛門周りのニオイを軽減できる

肛門腺が溜まると独特の肛門腺臭がします。分泌量が多い犬だと肛門腺がポタポタ垂れてきたりにじみ出たりすることも。しかし、定期的に肛門腺絞り(肛門絞り)をすることでニオイを最小限に抑えることができます。

肛門の状態をチェックできる

肛門を日頃意識して見る事は少ないと思いますが、定期的に肛門腺絞りをすることで、肛門やその周辺に異常がないかのチェックにもなります。

何かデキモノができていないか?お尻周りやしっぽの付け根が赤くなっていないか?など、目立った症状が出る前に気付くことができ、早期治療にもつながります。


肛門腺絞りをする前の準備(チェックポイント)

獣医師と犬 肛門腺絞りをしようと思った時に、いきなり絞るのではなくしっかりと準備することが大切です。そうすることでスムーズに肛門腺絞りを進めることができますし、もしものトラブルに対しても対処しやすくなるので是非覚えておいてください。

犬の体調や気分のチェック

肛門腺絞りと関係なさそうに感じるかも知れませんが、実はすごく大事なことです。肛門腺を絞ろうとしたときに、お尻周辺や腰や足などどこか身体を痛めていたり不調だったりした場合、人間と一緒で精神的にもすごくナーバスになっていることがあります。

そんなときにいきなりぐっと尻尾を持ち上げられるとすごくビックリしますし、どこかに痛みを抱えていると、痛くて激しい拒否を示します。このような状態のときは、肛門腺絞りは控えるようにしましょう。

肛門腺の溜まり具合のチェック

肛門腺が溜まっていなければ特に絞る必要はありませんので、肛門腺がどの程度溜まっているかチェックします。

・お尻を擦って歩く
・お尻を舐めることが多い
・肛門嚢( 4 時と 8 時の位置)が膨らんでいたり、軽く押すと何か溜まっている感じがする
・お尻周りからニオイがする
こうした様子が見られるときは肛門腺が溜まっている可能性が高いです。

「お尻を擦って歩く」「お尻を舐めることが多い」などは、肛門腺が溜まっているかどうかの判断基準にはなるのですが、つい最近肛門腺絞りをしたばかりなのにこういった様子が見られるときは、もしかしたら別の原因があるかもしれません。

肛門腺を絞ってみても溜まっている様子がなく、上記の行動が目立つようなら一度動物病院で相談してみましょう。

肛門腺絞りのコツ

ピンク色のタオルの上にいる犬 肛門腺絞り(肛門絞り)は自宅でケアすることもできます。自宅でお風呂に入れてあげるときに一緒に絞るか、ティッシュなどを数枚用意して肛門腺が飛び散らないようにティッシュ越しに絞ると良いです。

絞るときはまず優しく声をかけて、頭や体を撫でてあげながらゆっくり立たせてあげます。こうすることで座っている時よりも絞りやすくなりますし、「何をされるんだろう?」という不安感を和らげることができます。

そして、そのまま立たせた状態をキープし、片方の手で尻尾を持ち上げ、もう片方の手で 4 時と 8 時の位置を押し上げるようなイメージで肛門腺を絞ります。

もし嫌がって座ってしまう時は、尻尾を持つ方の腕をお腹に通し、腕でお腹を支えてあげながら尻尾を持ち上げ、もう片方の手で肛門腺を絞ると作業がしやすくなりますし、慣れないうちは支える人と絞る人の 2 人で肛門腺絞りをするといいでしょう。

結構量が溜まっていたら少し押しただけでも肛門腺が出てくるので、無理をしない程度に優しく絞るようにします。

あまり無理をすると、尻尾やお尻を触るだけで嫌がったり、怒るようになってしまうので気を付けてください。

せっかく良かれと思って絞ってあげようとしたのに、「逆に傷付けてしまい通院治療をすることになった」、「前は触られても嫌がらなかったのに触らせてくれなくなった」ということになったら可哀想ですし、触られるのを嫌がるようになると後々の治療や検診などでも大変な思いをしてしまいます。

プロであれば嫌がってもトラウマにならないようにする範囲も心得ていますし、嫌な思いも最低限で済ませてあげることができ、なにより無理をしてトラブルを起こすこともほとんどないため、遠慮せず動物病院や行きつけのトリマーさんにお願いしましょう。

肛門腺絞りの注意点

獣医に抱きかかえられる犬 肛門腺絞り(肛門絞り)をするときの注意点は次のようになります。

・月に 1 回を目安に絞る
・絞るときは優しく力を入れ過ぎないように絞る
・自宅でケアする際は無理をしない
・体調や機嫌はどうかを確認する(自宅で行なう場合)
・難しいと判断したらプロに頼む
肛門腺絞り自体はすごく簡単な作業であっという間に終わります。しかし、何度も言うように力加減を間違えたり無理をしてしまうとトラブルに繋がるため、その点は十分気を付けて行なうようにしましょう。

まとめ

こちらを見るポメラニアン いかがでしたか?「肛門腺絞りってなに?」「家でするなんて難しそう…。」と思っていた方も、コツさえつかめば自宅でも簡単に肛門腺絞り(肛門絞り)をすることはできます。コツをつかむまでには練習も必要なので、どうしても自信がないときは無理せずプロにお願いしましょう。

「肛門腺絞りくらいで行ってもいいの?」と思われる飼い主さんもいますが、もちろん大丈夫です。

むしろ、肛門腺絞りを定期的にお願いすることで同時に簡単な健康チェックもでき、それが異常の早期発見にも繋がるのでどんどん頼るようにしましょう。

山之内さゆり 文:山之内 さゆり

トリマー兼動物看護士
動物病院で約10年トリマー兼動物看護士として勤務。トリミングセミナー、動物看護セミナー、犬の老後ケアセミナー、パピーセミナー等を積極的に受講。『ヒルズ フードアドバイザー』『ロイヤルカナン 栄養管理アドバイザー』を取得。

現場での経験とさまざまなセミナーで培った知識と合わせて、人とペットのQOL(Quality Of Life)=質の良い生活を提供できるようお手伝いできればと思っております。

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