2017年6月21日

老犬(シニア犬)を飼う上で必要な基礎知識

どんなに元気な仔犬も、いずれ年を取ってシニア犬になります。

はしゃぎ回っている愛犬を見ると年老いた姿は想像できないかもしれませんが、犬は人間よりもずっと早く年を取るので、意外と遠い未来の話ではないのです。

だからこそ、早めにシニア犬のケアについて知っておくことが大切です。

何歳から老犬(シニア犬)になる?

エサを食べているシニアのミックス犬 シニア犬用のドッグフードは、7歳頃からの犬を対象にしているものがほとんどです。しかし犬はそのサイズや犬種によって成長の仕方に違いがあります。

大型犬は成長が緩やかで成犬になるまでに時間がかかりますが、老化のスピードは早いため小型犬や中型犬よりも若い年齢でシニア犬になります。

それに対して、小型犬はあっという間に成長するものの成犬でいる期間が長く、老化するスピードは中型犬や大型犬よりもゆっくりです。

人間でいう60歳からをシニア犬と仮定すると、小型犬であれば9~11歳からがシニア犬といえるでしょう。

中型犬であれば8~9歳、大型犬ではもっと早く7~8歳からです。

犬の老化のスピードは犬種にも左右されるため一概にはいえませんが、全体的に大きな犬ほど早く老化するといえるでしょう。

また、人間の平均寿命が延びているのと同じように犬の平均寿命も年々長くなっています。

一般社団法人ペットフード協会が行った調査の結果では、超小型犬の平均寿命は15.01歳、小型犬では14.09歳、中型犬および大型犬では13.73歳となっています。

シニア犬と一緒に暮らす期間が長くなっている今、飼い主がシニア犬の正しいケアについて知ることはますます重要になっているといえるでしょう。

犬の老化のサイン

人間とハイタッチしているシニアのチワワ 犬の老化が始まると、少しずつ変化が感じられるようになります。適切なケアを行うためには、老化のサインを見逃さないことが重要です。

睡眠時間

老化が始まると、睡眠時間が長くなります。また、雷などの大きな音が鳴ったり起こしたりしてもあまり反応しなくなります。

興味・関心

周りに興味を示さなくなるのも、老化のサインのひとつです。散歩中にほかの犬に出会っても絡みたがらなかったり、遊んでいてもすぐに飽きてしまったりします。

食事

食欲がなくなったり、逆に食事に執着するようになったりします。また、嗜好が変化して今まで与えていたフードを食べなくなることもあります。

排泄

排泄が我慢できずに、粗相をしてしまうことがあります。また、オシッコの量が減ったり、ウンチがなかなか出なくなったりすることもあります。

運動能力

体力が衰え、歩くスピードがゆっくりになります。段差が苦手になり、階段の上り下りに苦労するようになります。また、つまずく回数も多くなります。


シニア犬のケア

散歩中のビーグル 愛犬の老化が始まったら、様子を見ながら運動の方法や食べ物の与え方、生活環境などを整えていく必要があります。

運動量は身体の負担にならない形でキープ

シニア犬になると、それまでは大好きだった散歩や遊びも億劫になります。

しかし、何もしないでいると筋力が衰えてさらに老化が進んでしまいます。愛犬の負担にならないように気を使いながら適度に運動させましょう。

足腰が弱ってきたら、今までの散歩コースが負担になる場合があります。平坦で歩きやすいコースを選び、散歩の時間も短めにしましょう。

また、庭や室内を少し歩かせてから外に出かけると急な運動による体への負荷を和らげることができます。

外に出かけるときには、その日の気温にも注意しましょう。被毛で覆われている犬は、もともと人間よりも暑さに弱い生き物です。

地面に触って冷たく感じるくらいの気温がベストだといえるでしょう。

地面が温かい場合は、朝であればより早い時間、夕方であればより遅い時間に出かけることをおすすめします。

食事量は食欲に合わせつつ、肥満に要注意!

シニア犬になると、消化機能や代謝能力が低下するため成犬よりも食が細くなります。

そのため、少ない量でもしっかりと栄養を摂れるような良質なフードを与えることが大切です。

フードだけでは補いきれない場合は、サプリメントを上手に活用しましょう。

またシニア犬は運動量が少ないため、カロリーや脂肪が少なめのフードを与えるのがおすすめです。

肥満はシニア犬の大敵で、あらゆる病気のリスクを増加させます。フードの量やおやつはほどほどにし、太らせないように気を付けましょう。

フードの与え方を工夫することで、犬の食欲を増進させられる場合もあります。

消化機能が落ちている場合にはフードをお湯でふやかすとよいでしょう。

この方法は、喉の渇きを自覚しにくいシニア犬が脱水症状に陥ることを防ぐにも効果的です。

また、シニア犬になると急に嗜好が変化することもあります。愛犬が食事の時間を楽しめるよう、新しいフードを試してみるとよいでしょう。

「段差」や「滑り」は老犬の敵

老化が進んだ愛犬には、若いころと同じような能力はありません。

少しでも快適に過ごせるよう、生活環境を整えてあげましょう。年を取ると、徐々に足腰が弱くなってきます。

歩くときの負担を軽くするために、床を滑りにくい状態にしましょう。

フローリングの床であれば、絨毯を敷いたり滑り止めのワックスを塗ったりするのがおすすめです。

毛足の長いカーペットは爪がひっかかりやすく逆に負担となってしまう可能性があるので、敷物は毛足が短く線維が輪状になっていないものを選んで下さい。

また、家の中の段差を極力なくすことも大切です。特に、階段はシニア犬が怪我をする大きな原因となります。

可能であれば、フェンスを付けるなどして犬が階段を使わないようにしましょう。

そして、犬の生活スペースは飼い主の気配を感じられる場所に移しましょう。

犬は、年を取るごとに分離不安の傾向が強くなります。

ストレスを与えないためにも、できるだけ一緒に過ごす時間を作るように心がけましょう。

シニア犬は病気になりやすい

床に伏せている黒い毛並みのシニア犬(ミックス) 人間と同じように、犬も年を取るごとに病気になる確率が上がるので、その兆候を知っておくことが大切です。

病気を疑うべき症状としては、呼吸が荒い、咳をする、慢性的に嘔吐や下痢をする、舌の変色など口の中に異常がある、などがあります。

また、散歩を拒否する場合や食事をしない場合も要注意です。単に老化のせいだと決めつけるのではなく、注意深く様子をみるようにしましょう。

そして、シニア犬になると認知症を患うこともあります。昼夜が逆転する、無意味に徘徊する、夜鳴きがひどくなる、などの症状がある場合には、認知症を発症している可能性も考えられますので、かかりつけの動物病院に相談するなどしましょう。

いずれの場合にしても、病気のサインに早めに気付いて受診させることが最善策です。愛犬が年を取ったら、異常がないかこまめに観察してください。

シニア犬のための「ペット保険」の選び方

吠えているシニアのゴールデンレトリバー 最近ではペット保険の利用者も増えています。どんなに健康管理に注意していても、病気になる可能性を完全に排除することはできません。万が一愛犬が癌になったりすると、高額の医療費が必要になります。

愛犬が病気になったら最善の治療を受けさせてあげたいですよね。急な出費に対応できないという事態を避けるためにも、ペット保険の加入をおすすめします。ペット保険を選ぶときには、以下の点を確認しましょう。

加入可能年齢

最初に確認しなければいけないのは、各保険の加入可能年齢です。8歳未満であれば、ほぼすべての保険が加入可能です。

10歳を超えると加入できる保険が限られてくるので、遅くても10歳になる前に保険を検討するとよいでしょう。

継続可能年齢

ほとんどのペット保険は、終身保険となっています。また、上限が定められているものでも17歳未満、20歳未満などです。

犬の平均寿命を考えると、どの保険に加入しても途中で保険が切れる可能性は低いといえるでしょう。

保険料

保険料は、犬の年齢が上がるごとに高額になる傾向にあります。できるだけ保険料の上がり幅が少ない保険を選ぶと、月々の支払いの負担が減るといえるでしょう。

なお、人間の保険は積み立てと掛け捨てがありますが、ペット保険は掛け捨てのみになります。

免責金額

免責金額とは、自己負担しなければいけない最低金額のことです。治療費が免責金額を下回る場合は保険金が支払われません。

そのため、免責金額が低めに設定されている保険、あるいは免責金額そのものがない保険を選ぶことをおすすめします。

補償率

補償率は高いに越したことはありません。しかし、ペット保険のほとんどは補償率が50%に設定されています。

補償率の高い保険もありますが、保険料がやや高額になってしまいます。

保険料と補償率の優先順位を考えて選ぶとよいでしょう。

まとめ

シニアのブリタニ―スパニエル 愛犬が年を取ったと感じたら、それまで以上に気を使ってケアをする必要があります。

愛犬に健康な状態で長生きしてもらうためにも、日々の健康チェックを怠らずにしっかりとケアしていきましょう。

もちろん、シニア犬になってから病気にならないためには若いころの生活習慣も大切です。

仔犬や成犬のうちから、健康的な食事と十分な運動を心がけてくださいね。

元気に走り回っている愛犬も、時間が経つにつれて徐々に老いていきます。

少しでも健康に長生きしてもらうためには、適切なケアが欠かせません。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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