2017年6月9日
【獣医師監修】犬の口臭がクサい!原因と対策法は?
監修にご協力いただきました!
岡田雅也先生
そら動物病院 院長
2007年帯広畜産大学卒
京都大学大学院医学研究科中途退学(在学中、臨床獣医師としてバイトを経験)
兵庫県内の動物病院で3年
愛知県内の動物病院で3年(副院長)
2015年11月8日そら動物病院開業
愛犬の口臭が気になりませんか?ある日突然、愛犬の口の匂いが気になるようになったという飼い主さんも意外と多いようです。
自分で歯磨きができないから、口臭は仕方がないというのは大間違い!まずは犬の口臭の原因がなんなのかを知ることから始めましょう。
もくじ [非表示]
- 1 口臭を放っておくのは危険!?
- 2 口臭の原因はさまざま
- 2.1 原因はどうやって見分けるの?
- 3 生活習慣が要因となる場合
- 3.1 食べ物によるもの
- 3.2 口内環境によるもの
- 3.3 歯周病の主な症状
- 3.4 歯周病になりやすい犬種も注意が必要!
- 3.5 歯周病になるとどうなるの?
- 4 病気が要因となる場合
- 4.1 腸内環境の乱れによるもの
- 4.2 病気の症状としてあらわれている場合
- 4.3 愛犬の口臭はどのタイプ?
- 5 原因別の対処法
- 5.1 食べ物が原因の場合
- 5.2 口内環境が原因の場合
- 5.3 腸内環境の乱れが原因の場合
- 6 歯磨きが苦手な愛犬にはサプリメントやスプレーもおすすめ
- 6.1 サプリメント
- 6.2 スプレー
- 7 まとめ
口臭を放っておくのは危険!?
犬の口臭には、実は重篤な内臓疾患が隠れていることがあります。口臭の原因が歯周病である場合、口臭を伴うばかりでなく、歯茎の腫れや歯のぐらつきによってドッグフードをよく噛むことができなくなってしまったり、将来的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。
口臭は口内や内臓トラブルのサインですので、見逃さずにしっかりと対処するようにしましょう。
愛犬の健康を守る上でも「歯」はとっても大切だということも覚えておきましょう。
口臭の原因はさまざま
犬の口臭には、大きく分けて2つの原因があります。歯垢や歯石が溜まっていて歯が汚れている場合と、内臓が原因の口臭です。
原因はどうやって見分けるの?
簡単な見分け方はガーゼで犬の歯を拭き、におわなければ歯が原因ではない可能性が高いといえます。その場合、胃や腎臓、肝臓の調子が悪いなどが考えられます。歯の汚れが原因の場合、そのほとんどは生活習慣が要因となっていることが多いので、まずは生活習慣の見直しからはじめましょう。
生活習慣が要因となる場合
食べ物によるもの
油分の多いドッグフードや、消化の悪い食べ物が口臭の原因になることがあります。ドッグフードに含まれている「合成油脂(脂肪分)」が口内で酸化し口臭を発生させます。人間の食べるものを犬に与えている場合も同じことがいえます。
トウモロコシや大豆などの穀物類が入ったフードも、犬にとって消化がしにくいため食べ過ぎると消化不良を起こします。
もともと、カリカリのドッグフードは水分が少ないため消化があまり良いとはいえません。
そこに、あまり噛まずに食べてしまう犬の習性も加わるため、さらに消化不良を招いてしまうのです。消化不良は胃腸に負担がかかり、次第に口臭の原因となるわけです。
他にも、ウエットタイプのドッグフードも歯に溜まりやすく落ちにくいため口臭の原因となります。
口内環境によるもの
もう一つ考えられるのが、歯に歯垢や歯石が溜まって細菌が繁殖し、臭いを発している場合があります。犬の歯をよく見て頂くと、歯の根元が黄色く変色していたり歯石がついていることがあります。
これを、そのまま放っておくと進行し歯周病に発展していくのです。
歯周病とは「歯肉炎」と「歯周炎」のことで、成犬の約80%がかかるといわれている歯の疾患です。
歯周病の主な症状
・歯茎が赤い、腫れている
・口臭がひどくなった(腐敗臭)
・歯茎から出血している
・歯がグラグラする
・歯茎が下がり、歯が長くなったように見える(歯肉の退縮)
・食べるのが以前より遅くなった
・涙、くしゃみ、鼻水がよく出る
・頭をよく振る
・口を気にして触っている、口を触ると怒るようになった。
・口臭がひどくなった(腐敗臭)
・歯茎から出血している
・歯がグラグラする
・歯茎が下がり、歯が長くなったように見える(歯肉の退縮)
・食べるのが以前より遅くなった
・涙、くしゃみ、鼻水がよく出る
・頭をよく振る
・口を気にして触っている、口を触ると怒るようになった。
上記のような症状がみられる場合は、獣医師へ早めに相談をしましょう。
歯周病になりやすい犬種も注意が必要!
短頭種(フレンチブルドック、パグ、シーズーなど)
短頭種は、他の犬種よりも比較的歯並びが悪いために注意が必要です。高齢犬
唾液の分泌低下により口の中が乾燥しネバつきやすくなります免疫力が低下した犬
内臓疾患により免疫力の低下がみられる場合歯周病率が高い犬種
小型犬、特にイタリアングレーハウンド(イタグレ)は歯周病がもっとも多く、トイプードル、ダックスフントは他の犬種に比べて歯周病率が高い犬種なので、特に注意する必要があります。愛犬が該当するようであれば、こまめにチェックをしてあげましょう。
歯周病になるとどうなるの?
初期症状としては歯茎が赤く腫れあがります。そこからさらに進むと歯茎が痩せてきて歯がグラグラとし始めます。噛むと痛みを感じるため、ご飯を食べるのが遅くなったり上手く噛めなかったり、噛むおもちゃや、硬いおやつなどを嫌がるようになります。
さらに進行すると、歯周病菌による歯肉の炎症が起こり(歯周病)、その炎症を起こした歯肉組織から細菌が容易に血管に侵入します。
その細菌によって、腎臓や肝臓、心臓といった内臓の疾患に発展していくのです。
それ以外にもグラグラした歯が抜け落ちてしまい、頬から膿が出てきたり、最悪下顎の骨折を招くこともあります。
病気が要因となる場合
腸内環境の乱れによるもの
腸内環境が乱れることで便秘や下痢が起こり、腸内で悪臭のするガスが大量に発生します。この悪臭のするガスが腸壁から血液内に取り込まれ体内を巡るため口臭が発生します。
口臭の原因となる悪臭ガスを減らすためには、腸内環境を整えることが大切です。
与えるドッグフードなどによって影響が出ている可能性もありますので、フードの見直しを検討する際は一度、獣医師に相談するようにしましょう。
病気の症状としてあらわれている場合
消化不良により胃腸の調子が悪かったり、腎臓、肝臓が悪い場合や、糖尿病の場合にも口臭が発生します。特に糖尿病の場合は、免疫力の低下から歯周病も引き起こしやすく、歯周病の影響により糖尿病のコントロールがしにくくなるとも言われています。
タオルで口内を拭いてみて、においがしない場合は腎臓や肝臓などの内臓疾患からくる口臭の可能性が高いです。動物病院で一度診てもらいましょう。
愛犬の口臭はどのタイプ?
発症している病気によっても口臭の臭いは違ってきます。犬の口臭が「生臭い」
口臭が生臭い場合のほとんどは歯周病が原因です。歯磨きを怠ったり、食べカスなどの汚れを放置してしまうと、歯の表面に付着した細菌が歯垢となります。
歯石は細菌のかたまりなので、生臭いにおいの原因となります。
また犬の歯垢は3~5日で歯石化し、歯石によって歯肉炎を起こすこともあります。
歯肉炎を起こすことで歯茎が炎症を起こし、さらなる口臭の原因となります。
犬の口臭が「アンモニア臭い」
アンモニアのような臭いがする場合、腎臓病が疑われます。腎臓は本来、尿の血液をろ過して老廃物や塩分を尿として体外へ排出させ、カラダに必要なものは再吸収する働きをします。
しかし腎臓病になってしまうと、尿を体外へ排出するのが困難になり尿毒症になる可能性が高くなります。
尿毒症になってしまうと、老廃物や毒素が体内に溜まるため口臭がアンモニア臭になるのです。
腎臓病の症状としては、口臭のほかにも、食欲がなく体重が減少する、水をよく飲むようになった、おしっこの回数が増えたなどが挙げられます。
犬の口臭が「甘い」
果実が腐敗したような甘いにおいがする場合は、糖尿病の可能性があります。糖尿病とは、血糖を下げる働きをするホルモンである「インスリン」が不足したり(1型糖尿病)、効きにくくなったり(2型糖尿病)することで血糖値が上がってしまう病気です。
この病気にかかると、カラダは糖を分解してエネルギーが作れなくなるため、脂肪やたんぱく質を分解してエネルギーを作り出すようになります。
このときに作られる物質が果物が腐敗したような甘いにおいを発するため口臭が甘い臭いになるのです。
原因別の対処法
食べ物が原因の場合
まずはドッグフードの見直しをしましょう。鶏脂、動物性油脂などの油脂を使用したドッグフードは、食べかすが口内で酸化し、臭いを発するため口臭の原因となります。
その場合は、植物性油を使用しているものに変えてみるのもおすすめです。
また頻繁に下痢や嘔吐をする、便の回数が多い犬は、愛犬の消化器があまり強くない可能性があります。
消化器の弱い犬にトウモロコシや大豆などの穀物類の入ったフードは、胃腸に負担をかけてしまい口臭の原因となります。
できれば穀物不使用、もしくは比率の少ないドッグフードに変えてみるとよいでしょう。
口内環境が原因の場合
まずは歯茎が赤く腫れていないか歯周病のチェックをし、歯石がどのくらい付着しているかも併せて確認してみましょう。口内環境が原因の場合は「歯磨き」をすることが大切です。理想は毎日歯磨きすることですが、難しい場合は、歯磨きガムを代用するなどして工夫しましょう。
もし歯石が厚くなってしまっている場合は、歯石除去の処置をする方法がありますが、基本的に全身麻酔をした処置が必要となります。
無麻酔での処置を受け付けているサロン等もありますが、抜歯や止血処置は医療行為になるので違反行為になりますし、何より強い痛みを伴う処置ですので、犬に大きな負担がかかることを考えるとお勧めはできません。
歯石除去を検討する際には、まず獣医師へ相談し、正しい対応をするようにしましょう。
腸内環境の乱れが原因の場合
ご家庭でできる対策としては、人間同様にヨーグルトを食べることで腸内環境を改善する方法です。人間用の無糖ヨーグルトでも代用できますが、お腹の弱い犬は下痢をすることがありますので犬用のヨーグルトや整腸剤がおすすめです。
インターネットでも簡単に購入ができるものがありますが、愛犬の状態に応じて、専門知識を持った獣医師からのアドバイスや説明をしっかりと受けた上で購入することが大切です。
歯磨きが苦手な愛犬にはサプリメントやスプレーもおすすめ
犬の口臭対策には、サプリメントや歯石除去スプレーなども効果的です。口臭はもちろんのこと歯石の除去や腸内環境の改善にも役立ちます。
サプリメント
有効成分によって、口内環境が原因の口臭や、腸内環境が原因の口臭どちらにもアプローチすることができます。ご飯に混ぜるものや、直接歯に塗るものなど様々なタイプのものがあります。
愛犬の健康を考えて原材料や成分が天然由来のものや、添加物、着色料不使用のものなどを選ぶようにしましょう。
スプレー
歯に直接スプレーをするものや、スポイトで歯に垂らして使うものなどがあります。どちらもお手軽ですが即効性はありませんので1~2ヶ月くらいは使い続ける必要があります。
こちらも天然成分100%のものを使用するのがおすすめです。
まとめ
犬の口臭が強くなる原因と対処法についてまとめてみました。愛犬の口臭には原因があります。最近、口がにおうなと思ったら、まず何が原因なのかを知ることが大切です。
そして食事の改善や歯石処置を検討する際には、愛犬にとって本当に正しい処置かどうかを見極めることが必要です。
まずは、獣医師へ相談し、正しい対応をしていくことが大切です。
文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。
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