2017年7月3日
【獣医師監修】犬の呼吸が早い(荒い)ときに考えられる原因と病気
監修にご協力いただきました!
中村匡佑先生
アイリス犬猫病院 院長
2009年 日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業、その後札幌市内の動物病院を経て
2015年 アイリス犬猫病院開院
[日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属]
犬は全身が毛に覆われているため、人のように汗をかいて体温調節をすることができません。
そのため“パンティング”といって「ハアハア」と口呼吸を早めることで体内の熱を外に出します。これは犬を飼っている方なら馴染のある光景ですよね。
しかし犬の呼吸が普段以上に速くなっている時、または荒い呼吸がなかなか収まらない時は“単なるクールダウンではない”ことを疑う必要があります。
もくじ [非表示]
- 1 愛犬の呼吸が早く(荒く)なる原因って?
- 2 犬のバイタルサインについて(呼吸数・心拍数など)
- 2.1 呼吸数の計り方
- 2.2 心拍数の計り方
- 2.3 脈拍数の計り方
- 3 「呼吸が早い(荒い)」以外の症状から病気を探る
- 3.1 「呼吸が早い(荒い)」「疲れやすくなる」「運動をしたがらない」「咳」
- 3.2 「呼吸が早い(荒い)」「嘔吐」「尿の量が増える」「食欲不振」
- 3.3 「呼吸が早い(荒い)」「しこりや腫れ」「食欲不振」「咳」「下痢」
- 3.4 「呼吸が早い(荒い)」「しこりや腫れ」「歩き方がかわる」「咳」「鼻水」「くしゃみ」「痙攣」
- 3.5 「呼吸が早い(荒い)」「下痢」「発熱」「痙攣」
- 3.6 「呼吸が早い(荒い)」「疲れやすくなる」「運動をしたがらない」「不整脈」
- 3.7 「呼吸が早い(荒い)」「咳」「異常呼吸音(ガーガー、ブヒブヒ)」
- 3.8 「呼吸が早い(荒い)」「腹囲膨満」「嘔吐」
- 3.9 癌(肺への転移)
- 3.10 「呼吸が早い(荒い)」「フラつき」「嘔吐」「下痢(血便)」「よだれ」
- 3.11 誤嚥(ごえん)
- 3.12 「呼吸が早い(荒い)」「咳」「チアノーゼ」※初期は無症状が多い
- 4 まとめ
愛犬の呼吸が早く(荒く)なる原因って?
・散歩や運動後のクールダウン
・呼吸器の異常
・痛み(ケガも含む)
・鼻炎
・発熱
・ストレス
・肥満体型
・病気(心臓疾患・呼吸器疾患・血液疾患・内分泌疾患)
・呼吸器の異常
・痛み(ケガも含む)
・鼻炎
・発熱
・ストレス
・肥満体型
・病気(心臓疾患・呼吸器疾患・血液疾患・内分泌疾患)
こうした原因により犬の呼吸が早くなりますが、犬は普段から体温調節のためパンティングを行うので、呼吸の異常に気づきにくいケースが多いのです。
特にパグやブルドックなどの短頭種は、よく開口呼吸(口を開けて呼吸をする)をすることが多く見極めが困難です。日常生活の中で愛犬の正常な呼吸状態を把握する必要があります。
犬のバイタルサインについて(呼吸数・心拍数など)
健康状態を普段からチェックしておくことで、犬が体調を崩した際も早めに、かつ正確に変化を把握することができます。呼吸数の計り方
犬の呼吸数は、起きている時で1分間に40回未満程度、ぐっすり眠っている時は25回未満くらいが正常値とされています。犬が横になって寝ているなど、リラックスした状態の時なら正確に測定することができるでしょう。
お腹の上あたり(肋骨が触れる部分)の上下の動きを約30秒カウントしその数の倍が愛犬の呼吸数です。
心拍数の計り方
犬の心拍数は、1分間に60拍~140拍程度が正常値とされています。仰向けで寝かせリラックスさせた状態で心臓側(胸の左)に手を当て15秒間計り4倍にしたのが愛犬の心拍数です。
脈拍数の計り方
その他に両後ろ足の付け根の部分に大きな血管が通っているので飼い主の親指、人差し指、中指で後ろ足の付け根を挟むように触ると脈が確認できます。正常な状態であれば心拍数と脈拍数は同じ数値になるため、同義語として使用されることもありますが、不整脈などの場合は数値に差が出て一致しなくなります。
緊急時を想定して、それぞれの測り方に慣れておくことが理想です。
次に犬の呼吸が早くなる病気を症状別に細かくご説明します。
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「呼吸が早い(荒い)」以外の症状から病気を探る
最初にも触れたように、犬の体調不良を呼吸だけで判断するのは難しいもの。呼吸の変化とともに次のような変化が現れていないかチェックしてみて下さい。「呼吸が早い(荒い)」「疲れやすくなる」「運動をしたがらない」「咳」
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は、心臓内にある僧帽弁が加齢と共に団子状に丸くなり、閉じなくなることで血液の逆流が起き、心臓に雑音が聞こえてくる状態をいいます。
僧帽弁閉鎖不全症は、主に左心室で起き7歳を過ぎた小型犬の高齢に好発犬種はマルチーズやシーズー、キャバリアに多いといわれています。
<治療法・対処療法>
初期段階から治療できるACE阻害薬(血管拡張薬)の投薬で心臓内の血液の流れをスムーズにさせる効果がある薬を投与する方法があります。まずは愛犬の状態を心臓エコー検査、レントゲン、心電図検査を検査等で確認してもらい症状に合った投薬から始めてください。
心臓病の症状は進行していくため、進行の状態に合わせて利尿剤や強心剤などが増えていく可能性があります。
対処療法や予防として高齢になるころから心臓に負担の少ない食事に切り替えると同時に三ヶ月から半年に一回は健康診断を受け獣医師による聴診を受けることで、心臓に僧帽弁閉鎖による雑音は無いか定期的に診てもらうのが早期発見早期治療に繋がり愛犬の負担も少なくなります。
初期の心臓病であった場合は食事療法や運動制限で進行を遅らせることも可能です。症状が進行してしまった場合は、酸素吸入が必要になり入院治療を余儀なくされることもあるでしょう。
犬の酸素吸入は人のようにおとなしくチューブを鼻にあてて治療することは困難で、酸素で充満させた部屋に入れて吸入することになります。
入院治療も犬の精神的に負担になるのである程度落ち着いたら自宅で酸素治療できる、酸素ボックスのレンタルが可能になりました。(レンタル業者が存在します)
在宅治療の際には最善の注意が必要とされるので獣医師と相談して行ってください。自宅では犬をなるべく興奮させず、散歩も普段の半分程度の時間に抑え、回数を減らして安静に過ごせる環境を整えてあげてください。
「呼吸が早い(荒い)」「嘔吐」「尿の量が増える」「食欲不振」
免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
免疫介在性溶血性貧血は、自己免疫性疾患といわれており免疫の病気のひとつです。
免疫とは、体内に入ってきた異物やウイルス細菌、腫瘍細胞などを「自己の物ではない」と判断し、体外に排除し体を守る役目をします。
また、免疫介在性貧血は「外因性のもの」「自己免疫介在性によるもの」の2つに分けられます。
外因性のものは、薬剤接種やワクチン接種や感染症などがあげられます。犬に最も多いのが「自己免疫介在性」です。
自己の細胞や血液を血管、脾臓、骨髄内で赤血球を破壊してしまい貧血を引き起こします。
自己免疫介在性は原因不明といわれていて犬の場合確定診断が難しい病気です。
<治療法・対処法>
一般的にステロイドや免疫抑制剤を使用して治療を行います。症状が進行していく場合には輸血をすることがあります。対処法や予防法などはなく、早期発見・早期治療が重要です。「呼吸が早い」「元気がない」など、少しでも愛犬の様子がおかしいと感じた場合は、早急に動物病院で診察を受けてください。
「呼吸が早い(荒い)」「しこりや腫れ」「食欲不振」「咳」「下痢」
リンパ腫(リンパ肉腫)
犬のリンパ腫は、体内のリンパ系が癌におかされることで発症します。犬のリンパ腫はどこのリンパ節が腫れ癌化されるかによって症状はさまざまです。
癌細胞はリンパ官を通り、癌細胞を増やしながら血液に流れ全身に広がっていく怖い病気であり、いわば「血液の癌」といわれています。
<治療法・対処法>
初期の頃はほとんど症状が現われないことが多く、徐々に進行してくると皮膚の下にしこりが現われてきます。多発性リンパ腫の場合はこのケースのみですが、他に内蔵型(肝臓や脾臓に形成されるもの)や腸管に発生するものもあります。
初期の段階で、飼い主がリンパ節のしこりに気づくことは困難な状況です。治療法は進行状況や症状によって変わりますが、一般的には化学療法でいわば抗がん剤治療となります。
抗がん剤治療中も、抗がん剤の効果や抗がん剤によって白血球の数が減ってないかなどの細かな検査が必要になりますので、必ず獣医師の指示に従って治療を行ってください。
予防や対処療法としては、定期検査で獣医師の触診を受けたり、日常から愛犬の体を触り、異変が無いか観察してください。
リンパ節は首・肩・腹腔内・鼠径(仰向けになった時の後ろ足の付け根あたり)・後ろ足のアキレス腱の上にあります。腹腔内のリンパ節は腫瘍が大きくならない限り触れることはできません。他の部位は外から触ると異変に気づくことができます。
リンパ節は癌で無くても腫れることがありますが、自己判断せずに少しでも様子がおかしいときには獣医師の診察を受けてください。
「呼吸が早い(荒い)」「しこりや腫れ」「歩き方がかわる」「咳」「鼻水」「くしゃみ」「痙攣」
クリプトコッカス症
クリプトコッカス症とはカビの一種で、真菌が引き起こす人畜共通の感染症です。人畜共通とはいえ、健康で抵抗力を持った大人が発症することはほとんどないといわれています。
幼い子供や免疫の疾患、高齢者など免疫力の弱い人に発症する可能性が大きいので注意は必要です。
原因として自然界に多く存在し、特に野鳥や鳩の糞に多く含まれていることが知られています。
鼻炎に似た症状が多く、くしゃみ、ドロドロした鼻水をだします。また鼻腔内に肉芽腫という腫瘍ができて腫れ上がり、鼻の穴がふさがれてしまうことによって息苦しくなってしまいます。
病状が進行すると目の周りにも肉芽腫ができ、そのまま放置すると網膜に炎症がおき、最悪の場合失明してしまします。
さらに気管などに感染が進むと重篤な肺炎をも引き起こす怖い病気です。
<治療法・対処療法>
クリプトコッカス症の治療には抗真菌薬を使います。完治までには数ヶ月から数年かかります。病状が進行した場合には数年から障害の投薬療法が必要です。予防や対処療法としては、鳩が多く存在する場所、公園や神社などに行かないようにしたり、ベランダなどに鳩の糞を放置しないことです。
次ページ:「呼吸が早い(荒い)」「下痢」「発熱」「痙攣」
「呼吸が早い(荒い)」「下痢」「発熱」「痙攣」
犬トキソプラズマ症
トキソプラズマ症とは、一般的に猫や野生のキツネに多い病気だという認識があると思います。
しかし、犬や人を含め哺乳類全般に感染リスクがあるトキソプラズマという寄生虫によって起こる人畜共通の感染症です。
感染経路はさまざまですが、トキソプラズマの寄生虫を持った動物の生肉を口から摂取したときに感染するケースが多いといわれています。
感染した犬が成犬で免疫力の高い場合は無症状でいることが多く、子犬や老犬など免疫力の低い犬が感染すると肺炎や肝炎、内臓に炎症が起きます。
<治療法・対処療法>
犬のトキソプラズマ症の治療には一般的に抗生剤の投与を行いますが、発熱などの症状を引き起こしている場合は症状に合った治療法を行います。予防としては生肉などを犬に食べさせないことが一番です。その他にノラ猫の糞などに近寄らせないことも予防法の一つです。
公園や道路などにある排泄物をしきりに嗅ごうとする犬は多いですが、それがトキソプラズマに感染した野良猫・野良犬のものであれば感染する可能性があります。
糞の匂いを嗅いでいる際に犬の鼻についた物を舐めたり、直接舐めなくても糞に接触した四肢を舐めても感染します。散歩の後は四肢を綺麗に洗うなど対策が必要です。
少しでも愛犬の様子がおかしい時は、動物病院で獣医師の診察を受けてください。
「呼吸が早い(荒い)」「疲れやすくなる」「運動をしたがらない」「不整脈」
拡張型心筋症
拡張型心筋症とは、心臓の心筋(筋肉)に異常が起きたときに心臓機能が低下した状態をいいます。
心筋症には大きく分けて3つ型があります。拡張型・肥大型・拘束型の3つです。
原因はいずれもわかっておらず心臓内の右心房・右心室・左心房・左心室の4つの部屋の中で、一番拡張型心筋症の発症率が高いのは左心室であることがわかっています。
発症すると左心室や左心房の壁の役割である筋肉が薄くなり、十分な血液を全身に送り出すことができなくなります。
症状が進行すると食欲不振や呼吸が早くなり腹水が溜ることがあります。
犬の拡張型心筋症は珍しい病気ですが、遺伝的なもので発症することもあります。ドーベルマン・ボクサー・グレートデン・セントバーナード・アフガンハウンドなど大型犬から超大型犬に多い病気だといわれています。
<治療法・対処療法>
症状によって様々ですが、心臓病の治療を行います。利尿剤や血管拡張薬、症状が重い場合は入院治療を行う場合もあります。腹水や胸水などが溜り呼吸が苦しいときは医療用の器具を使い胸やお腹に溜った水を抜く処置が施されます。
予防法は無く、少しでも状態がおかしい時には動物病院でエコー検査やレントゲンで心臓の状態を診察して、愛犬の症状に合った治療を受けてください。
愛犬は心臓疾患という自覚はなく、少しでも体調がいいと過剰な運動をしたり興奮したりします。
長距離の運動は避け、安静にできる環境を整えてあげるといった飼い主側でのコントロールが重要となります。
次ページ:「呼吸が早い(荒い)」「咳」「異常呼吸音(ガーガー、ブヒブヒ)」
「呼吸が早い(荒い)」「咳」「異常呼吸音(ガーガー、ブヒブヒ)」
気管虚脱、気管支炎
気管は本来丸い形をしていますが、気管が何らかの原因で平らに変形し気管の周りが石灰化して空気の通りが悪くなっていくことがあります。
これを「気管虚脱」といい、「気管支炎」は細菌やウイルスによって気管に炎症が起きていることを指します。気管虚脱は、中高齢の小型犬や肥満の犬などに多く見られる病気です。
<治療法や対処療法>
気管虚脱は、遺伝的な要素や老化によるものなので完全な予防方法などはないのが現状です。朝や夜など気温が下がるときに症状は出やすい傾向にあるためハンカチやタオルなどで首の回りを温めてあげることで咳が和らぐことがあります。その他に肥満体型にしないようにすることも大事な予防効果といえるでしょう。
しかし近年の獣医学医療の発展により気管虚脱の手術をしている動物病院もあります。症状や状態によって手術できない場合もありますし、高齢犬の場合はリスクが大きいのでかかりつけの動物病院で相談しましょう。
気管支炎については、抗生剤や炎症止めなどを投薬して安静に過ごすことが一番です。咳が頻繁にでて愛犬が眠れていない、元気がない、などの症状がある場合には早急に動物病院で診察を受けてください。
「呼吸が早い(荒い)」「腹囲膨満」「嘔吐」
胃拡張胃捻転症候群
胃が何らかの原因で拡張して胃捻転を突然発症することをいい“胃拡張・捻転症候群”といわれています。
原因は明らかにされていませんが「食事の一気飲み」「遺伝的要素」「「食後の激しい運動」などが関係しているといいます。
症状としては食後数時間(約二時間~四時間)の間に散歩に行き、急に呼吸が乱れ始めるといったケースが多くみられています。
また、犬の落ち着きが無くなり何度も吐く仕草を繰り返したり、胃にガスが溜ることでお腹が膨らんできます。
そしてさらに進行した場合、呼吸が早く(荒く)なりフラフラとし始め意識を失い命に関わるとても危険な病気です。特に大型犬に多く見られる病気です。
<治療法・対処療法>
早急に動物病院での治療が必要です。多くの場合病院に到着する頃には意識が無くショック状態の事が多いため緊急の処置となるでしょう。胃穿刺という胃に体の外から針を刺しガスを抜く処置や鼻や口からチューブを入れガスを抜く処置が施されます。
ショック状態が落ち着いたら外科的手術で胃の捻れなどを戻し再発防止を兼ねて胃を固定します。
予防のために食後の激しい運動は避け、一気飲みをさせないような食器を使うなどして工夫をしましょう。
胃拡張胃捻転症候群の場合は早急に動物病院に行くことが重要です。常日頃から愛犬の様子を観察して異変に気づけるようにしてあげてください。
癌(肺への転移)
肺に転移してすぐの初期症状では症状がなく、見た目元気に過ごしていることが多いでしょう。
肺に転移した場合は残念ながら“予後不良” と診断されることが多いのです。
<治療法・対処療法>
癌の治療は主に抗がん剤治療となりますが、抗がん剤も効く癌、効かない癌とあります。肺への転移はレントゲン検査でわかります。
自宅での対処療法としてサプリメントの投与や、心臓疾患の在宅治療のように酸素吸入機のレンタルで愛犬の生活の質(QOL)を上げてあげることが最優先となります。
余命を宣告されたとしても、余命を遙かに超えている犬もいます。慣れ親しんだ環境で飼い主と一緒に過ごすことも治療の一環です。
少しでも状態が悪化した場合は、獣医師の診察を受けてください。
次ページ:「呼吸が早い(荒い)」「フラつき」「嘔吐」「下痢(血便)」「よだれ」
「呼吸が早い(荒い)」「フラつき」「嘔吐」「下痢(血便)」「よだれ」
熱中症
冒頭に説明したように犬は発汗による体温調節ができないため、体内に熱がこもりやすく内蔵機能まで悪影響を与えてしまいことがあり、これを「熱中症」といいます。
犬は人よりも地面に近い目線を歩きます。熱を吸収したアスファルトなどの照り返しや、湿度の上昇によって人より遙かに暑さを感じています。
<治療法・対処療法>
犬は普段からパンティングして熱を逃がしているので熱中症を見分けるには難しいかもしれません。上記の症状に当てはまる場合は熱中症の疑いがあるので、早急に動物病院を受診してください。対処療法・予防としては夏場の散歩は、早朝の日が昇る前の涼しい時間帯や夕方などは、日が落ちた夜など地面が熱くない時間帯がお勧めです。
意識もありパンティングが落ち着かない場合は自宅で水を犬の体にかけてクールダウンさせると初期の段階であれば落ち着くでしょう。
その他に体温計があると便利です。動物用が売ってなければ人用でかまわないので1本犬用で常備してください。
犬の体温は直腸体温で計るのが基本なので肛門から体温を計って37.5度から38度前半であれば平熱です。39.5度以上から40度あるのは異常なので動物病院で診察を受けてください。
誤嚥(ごえん)
誤嚥とは何らかの原因で食べ物や水が食道では無く気管に入ってしまうことで、それによって引き起こされる病気が「誤嚥性肺炎」です。原因はさまざまですが、一番多いといわれているのが嘔吐した際に嘔吐物が出切れず、飲み込む際に気管に入ってしまうというケースです。
気管に玩具などが詰まることもあるので飲み込めない大きさの玩具を与えるなど注意が必要です。
食事中に興奮して慌てて食べたり、老化によって飲み込む力が弱まってきていたり、ということが要因となる場合もあります。
誤嚥性肺炎になると咳が続いて元気がなくなり重症になると呼吸困難になります。処置が遅れると命に関わる病気です。
誤嚥の可能性がある場合は早急にかかりつけの動物病院でレントゲン検査などを受けてください。
<治療法・対処療法>
早食い防止の工夫がされた食器があるので、早食い癖のある犬にはそれを利用するとよいでしょう。飲み水もガブガブと飲めないように少しずつ与えるのも予防の一つです。その他に、愛犬の食事中は興奮させたりしないように注意してください。
「呼吸が早い(荒い)」「咳」「チアノーゼ」※初期は無症状が多い
心室中隔欠損症
心室中隔欠損症とは、生まれつき心臓の右心室と左心室の壁に穴があいたままの状態をいい、先天性心臓奇形の一種です。
心室中隔欠損症は犬の先天性の病気として発症率が高く、小型犬や中型犬に多いといわれています。
正常の犬であっても生まれる前、生まれてすぐの頃は壁に穴は開いたままの状態が多く、成長と共に穴はふさがるのが一般的です。
その穴が何らかの原因でふさがらず成長してしまうことでさまざまな症状を引き起こす病気です。
小さな穴だけでは症状が出ないことが多いでしょう。しかし穴が大きい場合、右心室から左心室に流れないといけない血液がうまく流れていかず、左心室から右心室へと逆流して右心室・肺に負担を与えます。
症状としては、疲れやすく運動を嫌がり呼吸困難(チアノーゼ)や、咳などを引き起こします。
症状が進行してしまうと肺に大きな負担となり肺に水が貯まる肺水腫になってしまいます。
<治療法・対処療法>
心室中隔欠損症の治療は、一般的に、利尿剤や強心剤などの投薬療法や運動制限、食事療法などがあります。毎日の食事には十分注意してください。心臓の負担にならないように塩分制限や肥満になると心臓に大きな負担がかかります。
しかし子犬のうちは成長に必要な栄養素を取り入れなければならないため、食事については獣医師と相談の上調節していきましょう。
その他に極度の興奮は避けるようにしましょう。正常な心臓であれば問題ない興奮でも、この病気の場合、興奮することで心臓の動きが早くなりポンプ機能がついていけなくなります。
心臓疾患の場合、夜中に急変することが多いので夜間で救急に診てくれる病院を探しておくこともお勧めします。
まとめ
普段から犬は呼吸を早めることで体内の温度を調節してクールダウンするため、呼吸数が正常なのか異常なのかの見分けが難しいかもしれません。
健康な状態の呼吸数や心拍数など(バイタルサイン)を把握しておくようにすれば、診察時に正確な状況を伝えることもできて、病気の早期発見につなげることができますよ。
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文:Qpet編集部
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