2018年4月18日

【獣医師監修】犬も花粉症に注意!鼻ではなく皮膚に症状が出るの?

監修にご協力いただきました!

小竹正純先生

多摩獣医科病院  院長

2002年麻布大学獣医学部獣医学科卒業

2006年多摩獣医科病院 勤務

2016年多摩獣医科病院 院長就任(現在に至る)

[川崎市獣医師会、日本小動物歯科研究会、再生医療研究会所属]

実は、花粉症は犬も発症するってご存知でしたか?

犬の花粉症の場合、鼻水やくしゃみよりも別の症状が目立つため気づかないままの方もたくさんいらっしゃいます。

犬の花粉症の症状は「人間とは違う」!

花を見つめる犬 人間の花粉症というと、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の症状などが一般的ですよね。

そのメカニズムは以下のようになっています。

人間の花粉症で「くしゃみ」「鼻水」が目立つ理由

1.花粉が鼻や目から入り込む
2.リンパ球が花粉を侵入者と認識し、それによりリンパ球がIgEという抗体を作る
3.この抗体ができた後、粘膜に特定の花粉が付着することで肥満細胞の中から炎症を引き起こす物質(ヒスタミンなど)が分泌される

花粉をできる限り体外に排出しようとするため、くしゃみ、鼻水、涙などの症状が出るのです。

犬の花粉症は「皮膚」に表れる

犬の花粉症の場合、くしゃみや鼻水などの呼吸器症状が出ることはほとんどありません。

犬の花粉症の症状は、主に“皮膚症状(アトピー)”としてあらわれます。

なぜ犬は鼻炎のような症状があまり起こらないのでしょうか。

犬の鼻の粘膜には“肥満細胞”の分布が少ないため人間のような呼吸器症状を起こすことはほとんどないという説や、犬の鼻は色々なものに対し過剰に反応しない仕組みになっているとも言われています。

しかし、その理由については未だ明らかになっていません。

人間の花粉症といえばスギ花粉が大半を占めていて、ヒノキ、イネ科など複数の花粉に反応することが多いようですが、犬は主にイネ科、キク科の植物に反応します。

そのためお散歩で草むらを歩いたあとに、目の周りが赤みを帯びて痒みが出たり、お腹に湿疹ができたりすることがあります。

花粉症になる犬は「皮膚疾患」にかかりやすい?

目の周りを拭かれるチワワ 犬の花粉症は、花粉をアレルゲンとした「アレルギー性皮膚疾患」が主になります。

よって花粉症である犬は、花粉に限らずほかの様々なアレルゲンに反応することが考えられます。

なぜならアレルギー症状は単体でなく、複数のアレルゲンによって引き起こされるものだからです。

つまり言い換えると、花粉症になる犬=アレルギー性皮膚疾患になりやすい犬、となるのです。

花粉症になりやすい主な犬種は、ウエストハイランドホワイトテリア、フレンチブルドッグ、ワイアーフォックステリア、柴犬、シーズー、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、Gシェパード、マルチーズ、プードルなどが発症しやすい犬種と言われています。


犬の花粉症7つ対策法

朝の散歩は控える

花粉の飛散は昼前後と日没が多いようです。

お散歩の前には、必ず花粉の飛散情報をチェックして花粉が多く飛んでいる日や時間帯はお散歩を控えるようにしましょう。

草むらに立ち入らないようにする

落ち葉の上でコチラを見つめるチワワ 犬の花粉症は、キク科(ブタクサやヨモギなど)、イネ科(カモガヤ、オオアワガエリなど)の草むらに多く生えている植物に反応することが多いため、むやみに草むらに立ち入らないようにしましょう。

犬用の服を着せて外出する

こちらに向かってくるチワワ お散歩のときには洋服を着せて、帰って来たら脱がせるのも予防策の一つです。

特に化学繊維素材のものは花粉を通しにくいのでおすすめですが、逆にウール素材は静電気によって花粉が付着するので避けるようにしましょう。

洋服に覆われていない部分は軽くブラッシングをして花粉を払います。

また犬用アレルギー対策の服も市販されていますので、そのようなものを用いるのもおすすめです。

外出時に来ていたコートは玄関で脱ぐ

黄色い服を着たチワワ 犬も人間も、外出時に着ていたコートは部屋へ花粉を持ち込まないためにも外でブラシやぬれタオルなどを使って、一度払ってから玄関で脱ぐようにしましょう。

空気清浄機を運転しておく

スギ花粉はハウスダストの中でも特に大きくPM2.5の12倍の大きさと言われており、重量もあるため室内では空中に漂うよりも床近くに溜まりやすくなります。

花粉対策として空気清浄機を使用するなら“床近くのハウスダストを吸引する力が強いタイプ”を選ぶのがおすすめです。

新たに購入するのであれば、販売員に相談するのがよいでしょう。

床掃除はこまめにする、カーペットを敷く

こまめに床をぞうきんで水拭きしましょう。

掃除機を使用する場合は、必ず空気清浄機を併用し花粉が部屋に舞わないように注意します。

カーペットは敷くだけで空気中のほこりや花粉を吸着させる効果があるのでおすすめです。

こまめに洗うようにしましょう。

食事を見直す

花粉症には“亜鉛や乳酸菌が有用”と言われています。

しかし過剰摂取は悪影響となる場合もありますので、かかりつけの病院に相談の上取り組むようにしましょう。

また花粉アレルゲンと似たたんぱく質を持っている果物や野菜などに反応する場合もあります。

これを口腔アレルギー症候群と呼び、口やのどに症状が現れます。以下のような食べ物をはじめて与える際には十分に注意しましょう。

リンゴ、桃、イチゴ、キウイ、バナナ、メロン、梨、トマト、人参、きゅうり、なすなど。

花に囲まれたチワワ 犬の花粉症は人間のように循環器症状ではなく、皮膚に現れるため、気付かない飼い主さんも多いようです。

また、花粉症を一度発症してしまうと完治は難しくなります。

症状が出ていない子も、できるだけ花粉が体に触れないように対策をしてあげましょう。

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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。


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