2017年7月4日
【獣医師監修】犬の皮膚病は軽視NG!3大症状と対策について
監修にご協力いただきました!
奥田一士先生
ゆめ動物病院 院長
2003年 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後、都内動物病院、日本獣医生命科学大学動物医療センター研修医
2011年4月17日 ゆめ動物病院開設
[公益社団法人東京都獣医師会大田支部 大田獣医師会所属]
犬がしきりに身体をかいていたり、皮膚の一部が赤くなっている、脱毛がみられる場合。これは「皮膚病」のサインかもしれません。
また、犬の皮膚病は約100~200種類と多く存在し、発症すると長引きやすく再発しやすいので早めの治療が必要です。
もくじ [非表示]
- 1 犬の皮膚病でみられる症状
- 1.1 3大症状は「かゆみ」「できもの」「脱毛」
- 1.2 ある箇所をしきりになめる
- 1.3 幹部に噛みつくような行動を見せる
- 1.4 頻繁に身体をこすりつける
- 2 犬が皮膚病になる原因とは
- 2.1 免疫力の低下
- 2.2 寄生虫や細菌の感染
- 2.3 ストレス
- 2.4 アレルギー
- 2.5 皮膚病にかかりやすい犬種
- 2.6 食生活
- 2.7 内科疾患による皮膚病
- 3 犬の皮膚病の種類
- 3.1 1.アトピー性皮膚炎
- 3.2 2.膿皮症
- 3.3 3.皮膚糸状菌症
- 3.4 4.マラセチア皮膚炎(脂漏症)
- 3.5 5.内分泌性皮膚疾患
- 3.6 6.ノミアレルギー性皮膚炎
- 4 犬の皮膚病の予防法
- 4.1 定期的にトリミングへ
- 4.2 食事をみなおす
- 4.3 花粉症対策
- 4.4 生活環境をみなおす
- 5 まとめ
犬の皮膚病でみられる症状
3大症状は「かゆみ」「できもの」「脱毛」
犬が皮膚病になると、痒みがでるため頻繁に皮膚を足で掻くようになります。また、皮膚を触ってみると湿疹などのできものを確認することもできます。場合によっては毛の一部が脱毛している場合もありますので、まずは犬の皮膚の状態をよく観察しましょう。
ある箇所をしきりになめる
痒かったり、痛かったりすると犬は患部をしきりに舐めようとします。犬の行動としてはよくあることですが、一番多く考えられるのが膿皮症です。これは皮膚の細菌感染症で犬の皮膚に常菌しているブドウ球菌が異常に繁殖して引き起こす皮膚炎です。
主な症状としては皮膚が赤くなったり、発疹、脱毛、膿疱、かさぶたなどが見られます。足など特定の部分をよく舐めるなどの行動がみられた場合は、まず皮膚に変化が無いかをチェックしましょう。
幹部に噛みつくような行動を見せる
痒い場合によくみられる行動です。ノミなどが寄生していないか、皮膚にアレルギーなどの症状がないかをチェックしましょう。ノミは腰や背中など体の後ろに住み着くことが多く、症状もその周辺に起こることがあります。
また、ヒョウダニなどのイエダニがハウスダストの原因となり、アトピー性皮膚炎を引き起こすのではないかとも考えられています。これによって痒みを引き起こしているということも考えられます。
頻繁に身体をこすりつける
まずは、どの部分をこすりつけているかをよく観察しましょう。この場合、アレルギー性皮膚炎を発症している場合があります。皮膚が赤くなったり、カサカサしている、脱毛しているなどの症状はありませんか?酷くなると目や口の周りが赤くただれてしまうこともあります。
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次ページ:犬の皮膚病の原因について
犬が皮膚病になる原因とは
犬が皮膚病になるには様々な原因が考えられます。免疫力の低下
免疫力とは自己防衛システムのことで、免疫力が下がってしまうと病気に対する抵抗力も弱くなるため皮膚炎を起こすことがあります。自宅でできる対処法としては、以下のような方法が考えられますが、一度かかりつけの動物病院に相談した上で検討するようにしましょう。
腸内環境を整える
サプリメントなどを上手に取り入れるようにしましょう。乳製品、ヨーグルトなどは犬によってはアレルギーがあったり、下痢をする場合もありますので、獣医師に相談した上で検討するようにしましょう。
ドッグフードの見直し
毎日の食事は体を形成する上で、とても重要です。お肉などから良質なたんぱく質を取り入れ、できるだけ無添加のものを選びましょう。また、症状に応じてまずは獣医師に相談の上、検討していくようにしましょう。
適度な運動
免疫力が低下する最大の敵はストレスです。毎日、適度に運動をすることでストレスが解消され健康のバランスを保つことができます。また足腰が鍛えられ、骨や筋肉の形成にも繋がりますし、ダイエットにもなります。寄生虫や細菌の感染
ノミ、ダニが寄生している場合や、細菌性皮膚炎といったものまであります。ノミやダニは予防薬を使うことで予防することが可能です。また細菌性皮膚炎は免疫力が低下した老犬や、もともと免疫力の低い子犬が特にかかりやすい疾患です。ストレス
ストレスが溜まることで免疫力が低下し、本来持っている免疫力が低下することで、皮膚炎を起こしやすくなる場合があります。規則正しい生活、適正な食事、スキンシップは足りているか?お散歩は十分か?愛犬の住環境を見直すなど、思い当たることがあれば改善しましょう。
アレルギー
アレルギー症状によって、激しい痒みを引き起こすことがあります。アトピー性皮膚炎は遺伝的になりやすい犬種もいます。また若年層に罹りやすい傾向にあります。他にもノミアレルギーや、花粉症などひと口にアレルギーといっても種類はたくさんあります。
床や壁に体を擦りつけて痒がる、顔を搔きむしる、皮膚が赤くなる、発疹が見られるなどの症状が見られたらアレルギーを疑いましょう。花粉症の場合は人間同様、くしゃみが出たり、眼が充血することもあります。
皮膚病にかかりやすい犬種
ブルドック、パグ、ボストンテリア、ゴールデンレトリーバー、ヨークシャテリア、シーズー、プードル、柴犬、ミニチュアシュナウザー、フレンチブルドック、サルーキ、ボルゾイ、ミニチュアダックスフント、ダルメシアンなどは遺伝的に皮膚が弱く、皮膚炎やアトピーを起こしやすい犬種もいます。食生活
ドックフードによる、食物アレルギーが皮膚病の原因となる場合があります。たんぱく質や炭水化物、添加物はアレルギー反応を引き起こすことが多く、それらが原因となっている場合は、ドックフードを見直す必要があります。内科疾患による皮膚病
肝臓や腎臓の異常、内分泌疾患(副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、性ホルモン失調)、ホルモンの異常などによって皮膚炎が起こります。その場合、ほとんどが「脱毛」という形であらわれ、かゆみなどは見られないケースも多く気付きにくいのが特徴です。脱毛を見つけたら、動物病院で血液検査やホルモン検査をしてもらいましょう。
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次ページ:犬の皮膚病の種類について
犬の皮膚病の種類
犬の皮膚病は約100~200種類とたくさんありますが、その中でも一般的な疾患6つと、その治療法をご紹介します。治療法は病気によって様々ですが、獣医師の診断のもと、適切な対処をしていきましょう。1.アトピー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎の中で、最も多い割合を占めるのが「アトピー性皮膚炎」です。生後6ヶ月~3歳くらいまでの子犬や若い犬に発症することが多いのが特徴です。柴犬、シーズー、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、シェットランドシープドックなどは、生まれつきアトピー性皮膚炎にかかりやすい犬種と言われているので注意が必要です。
遺伝的要因の他にも、ノミやダニ、ハウスダスト、カビ、花粉などのアレルゲンによって起こることもあります。
主な症状としては、激しい痒み、発疹やただれ、患部が乾燥して変色する、患部の皮膚が荒れます。
犬にアトピー性皮膚炎の症状がみられる場合は、まず病院でアレルギー検査(血液検査、抜毛検査など)をし、アレルゲンを特定しましょう。
【治療法】
抗アレルギー剤やステロイドの投薬、シャンプー、ドックフード、生活環境の見直し、皮膚の保湿などがあります。
2.膿皮症
膿皮症は、犬の皮膚病の中で一番多い疾患です。背中、お腹、足の付け根、脇、耳の裏、肉球の間、指の付け根どこにでも発症します。また一度発症すると広がるスピードが早いのも特徴です。赤い発疹がある、じゅくじゅくして膿が出ている、ポロポロとフケのようなものが毛についている、皮膚の色が黒ずんで色素沈着を起こしているなどの症状がみられます。
初期段階では皮膚の浅い部分にできる「表面性膿皮症」、毛の根元に達している「表在性膿皮症」、皮下組織まで進行した「深在性膿皮症」と症状の進行により3段階に分けられます。
膿皮症は、皮膚を不衛生にしていたり、雨の日が続いたり、梅雨の時期など湿気が多くブドウ球菌が繁殖しやすい時期にも多く発症します。
他にもアトピーや糖尿病、肝臓病などの内臓疾患などの場合や、ニキビ、マダニが寄生して起こる場合もあります。
【治療法】
抗生物質などの投薬、塗り薬、薬用シャンプーをこまめにするなどの方法があります。
3.皮膚糸状菌症
真菌(カビ)の一種である皮膚糸状菌が、皮膚や爪の根元に寄生し広がることで起こる皮膚炎のことです。症状は赤くて大きな湿疹(丘疹)ができ、その部分が円形状に脱毛、フケやかさぶたがみられます。痒みは強い場合、弱い場合と両方あります。通常、健康な犬は発症することが少なく、子犬や老犬、免疫不全の犬、全身疾患の犬に主に多く発症します。一般的には皮膚糸状菌に感染している、保有している犬や猫と接触することで感染します。
【治療法】
抗真菌薬の投薬、塗り薬、薬用のシャンプーを使用します。部屋の掃除や洗浄を徹底的に行うのも効果的です。
4.マラセチア皮膚炎(脂漏症)
マラセチアも真菌(カビ)の一種で、犬の皮膚、口、外耳道、指間、肛門周辺にいる常在菌です。増殖するためには脂肪を必要とし、何らかの原因で皮膚の状態が悪くなったり、皮脂が異常に分泌すると増殖します。
皮膚に炎症や、べたつきを感じたり、悪臭、脂漏、フケなどがみられます。マラセチアは強い痒みが特徴で、主に口唇、鼻、脇の下、指間、内股、肛門周辺に症状を引き起こします。
【治療法】
抗真菌薬の投薬、専用のシャンプーなどを使用します。油脂が栄養源となるため皮膚の表面の油脂はよく洗い流しましょう。週に1~3回程度シャンプーをする必要があります。皮膚の乾燥が心配であれば、保湿をしっかりとしましょう。
湿気は大敵ですので、シャンプーの後はしっかりとタオルで拭き取り、乾かしましょう。その際に指の間もお忘れなく。マラセチアは再発率の高い疾患ですので、治療は継続して行うことが大切です。
5.内分泌性皮膚疾患
内分泌性皮膚疾患とは、ホルモンの異常分泌により起こる疾患のことで「甲状腺機能低下症」「副腎皮質機能亢進症(クッシング)」などが挙げられます。また、不妊手術をしていない犬の場合、性ホルモン関連性皮膚疾患で脱毛することがあります。疾患によって、できる場所は様々ですが症状としては脱毛がみられます。
【治療法】
血液検査をし、分泌異常を起こしているホルモンを特定します。不足している場合は、ホルモンを補ったり、過剰の場合は投薬治療などを行います。
いずれもホルモンの数値が安定したからといって、すぐに皮膚が良くなるわけではないので、改善には時間がかかる場合があります。
6.ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎も、アトピー性皮膚炎と同じくらい多い皮膚疾患です。犬の体に寄生するノミに対してアレルギー反応を起こすため、外飼いの犬や猫と一緒に飼っている場合、お散歩の際に野良猫などと接触することでもらう場合もあります。ノミが寄生しやすい場所は、背中、お尻、尻尾の付け根などで、赤くて小さな発疹がみられた場合はノミアレルギー性皮膚炎の可能性があります。
ノミアレルギーはノミの唾液にアレルギー反応を起こすばかりでなく、糞や死骸が体内に入ることで起こる場合もあります。黒い点のようなノミの死骸や糞が皮膚についていたら注意が必要です。
【治療法】
経口のノミ駆除薬や皮膚に垂らして使う駆除薬を使用して、犬の体に寄生しているノミを駆除します。駆除薬は即効性があり24時間でほとんどの成虫を駆除することができます。
ノミの他にもダニ、疥癬、毛包虫症といった寄生虫性の病気もあり、かゆみを引き起こす皮膚病です。疥癬は特に痒みが強く、人に感染することもあるので早期に動物病院での診察を受けるようにしましょう。
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次ページ:犬の皮膚病の予防法について
犬の皮膚病の予防法
定期的にトリミングへ
カットやシャンプーをすることで、皮膚を清潔にしておくことはもちろんのこと、トリマーさんが皮膚の異常(しこりなど)に気付いてくれることも多いので、トリミングが必要な犬種は1~2ヶ月に1回程度行うことをおすすめします。トリミングがあまり必要のない犬種でも、シャンプーをして皮膚を清潔に保つことが予防にも繋がりますので、定期的にプロの方にお願いするとよいでしょう。
食事をみなおす
皮膚や被毛は主にたんぱく質からできていて、健康を維持するためには良質なたんぱく質が必要です。ドックフードだけでなく、おやつやジャーキーなど犬が口にするものを一度見直しましょう。健康でなければ外部からの刺激や病原体に対して抵抗できなくなり、皮膚トラブルを起こしやすくなります。
牛肉、鶏肉などのお肉類や、大豆、卵、乳製品、小麦、添加物は食物アレルギーを引き起こす原因となることがあります。
ドックフードにこれらが入っている場合、アレルゲンを特定することはとても難しいですが、愛犬がアレルギー体質の場合は、できるだけ控えるようにしましょう。
花粉症対策
人間の花粉症の症状というと、くしゃみ、鼻水、目が充血して痒いなどの症状が挙げられますが、犬は主に皮膚疾患となって現れます。(一部、人間同様の症状がみられることもあります)しかし、飼い主さんの40%以上が愛犬の花粉症に気付いていないというデータもあるくらい、犬の花粉症は気がつきにくいものでもあります。
まずは動物病院で血液検査をし、花粉がアレルゲンであった場合は薬物投与がメインとなります。その他できることとしては、花粉を室内に持ち込まない、犬が使用するものは花粉の飛散時期は外に干さないようにするなどして対策をしましょう。
生活環境をみなおす
生活スペースで原因となるものがないかをチェックしましょう。例えば、ベッド、クッション、カーペットなどにダニ、ハウスダスト、ほこりなどアレルゲンとなるものはないか?清潔にしているか?などを確認したり、室外犬の場合は、スギ、ヒノキ、ブタクサなどが近辺に飛散していないかなども確認しましょう。
まとめ
愛犬が体を痒がっていたり、ある部分をしきりに舐めていたり、脱毛がみられる場合は皮膚炎が疑われます。犬の皮膚炎は、悪化すると治療も長引きますし、犬にとってもストレスとなりますので、早めに動物病院で診てもらいましょう。
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文:Qpet編集部
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