2019年2月12日
【獣医師監修】愛犬のいびき、可愛いけどこれって病気じゃないの?犬がイビキをかく原因や理由とは?
愛犬が「ガー、ガー」といびきをかいていたら、心配になることってありませんか?
愛くるしい姿ではありますが、大きくなってから突然いびきをかくようになった子であれば病気が隠れている可能性だってあります。
いびきについて正しい知識をつけておきましょう。
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犬がいびきをかくメカニズム

その空気は気管を通って肺に入っていき、再び、気管を通って口や鼻から出ていきます。
この空気の通り道を“気道”と言います。
この気道が何らかの原因で狭くなり、狭くなった気道を空気が通った時に「いびき」が生じます。
犬がいびきをかく原因となる5つの要素
メカニズムのところでもお話ししたように、原因は「気道が狭くなること」です。ここでは、気道が狭くなる原因を5つお話します。
肥満体型

気道の周りに脂肪がつくことで、気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
生活環境
犬のそばでタバコを吸っている人がいたら、それが愛犬のいびきの原因になっているかもしれません。タバコは、粘膜に刺激を与える物質です。
タバコにより分泌物が過多になり、それが原因でいびきをかくケースもあります。
短頭種
パグ、フレンチブルドック、ボストンテリア、ペキニーズ、シーズーなどの鼻が短い犬種を「短頭種」といいます。短頭種気道症候群という、外鼻孔狭窄(※1)、軟口蓋過長(※2)、反転喉頭小嚢(※3)を原因とする呼吸器に異常をきたす病気があります。
これらは、短頭種に好発し、いびきの原因となります。
(※1)外鼻孔狭窄…鼻の穴とそれに続く鼻腔が狭くなっている状態です
(※2)軟口蓋過長…口腔天井あたりから鼻腔に向かって伸びている、口腔と鼻腔を分けている部分「軟口蓋」が、通常の犬よりも長い状態です
(※3)反転喉頭小嚢…喉頭小嚢という部分が外に反り返ってしまう状態です
「短頭種」以外の好発犬種
「いびきをしやすい犬種」としては、短頭種が一番多く挙がります。しかし、短頭種以外にも、ポメラニアン、トイプードル、ヨークシャテリアでもみられることもあります。
これらの犬種は、気管虚脱などの好発犬種であり、それらが原因でいびきをかくことがあります。
病気
病気の症状のひとつとして、いびきがでているケースもあります。下記はいびきの原因となりやすい病気です。
各病気の詳細や治療法については後述しますので、病気の可能性を疑う方はそちらを参考にしてください。
<考えられる病気>
・短頭種気道症候群
・気管虚脱
・気管の低形成
・腫瘍
愛犬のいびきが「病気か否か」を見分けるポイント

もし、以下に当てはまる項目がある場合は早めに診断を受け、治療をスタートしてあげることで病状の悪化を防ぐことができます。
・以前はなかったのに急にはじまった
・シニアになってからいびきをかきはじめた
・いびきの音が大きい
・小さい頃から多少いびきをかいていたが、最近ひどくなった
・呼吸が辛そうな様子がみられる
・興奮した時に呼吸が辛そうな時がある
・シニアになってからいびきをかきはじめた
・いびきの音が大きい
・小さい頃から多少いびきをかいていたが、最近ひどくなった
・呼吸が辛そうな様子がみられる
・興奮した時に呼吸が辛そうな時がある
犬のいびきで考えられる病気とその治療法
愛犬のいびきの原因が病気であるのであれば、治療することで緩和できる可能性があります。短頭種気道症候群
いびきの原因となっているケースが一番多い病気です。短頭種気道症候群とは、外鼻孔狭窄、軟口蓋過長、反転喉頭小嚢を原因とする呼吸器に異常をきたす病気です。
先天的に外鼻孔狭窄と軟口蓋過長があると、呼吸による空気の刺激で、反転喉頭小嚢を引き起こし、さらに進行すると喉頭麻痺や気管虚脱を引き起こすこともあります。
症状
・呼吸音が大きい
・いびきをかく
・口呼吸が頻繁
・疲れやすい
・興奮時に呼吸困難になる
・チアノーゼになりやすい
・水を飲む時に「ゲーゲー」と言う など
・いびきをかく
・口呼吸が頻繁
・疲れやすい
・興奮時に呼吸困難になる
・チアノーゼになりやすい
・水を飲む時に「ゲーゲー」と言う など
好発犬種
好発犬種は、パグやフレンチブルドックのような鼻先が短い犬種です。全ての短頭種が、短頭種気道症候群を患っているわけではありません。
しかし、短頭種の中には症状がひどくなる犬もいるので、要注意です。
診断方法
外鼻孔狭窄は、正面から犬の鼻の形を観察して判断します。正常な犬の鼻の穴は綺麗なコンマ(,)型をしていますが、狭窄している犬の鼻は、潰れてしまっています。
軟口蓋過長はレントゲンで検討はつけることはできますが、麻酔をかけて肉眼的にきちんと確認をして診断します。反転喉頭小嚢も同様、麻酔下で観察します。
治療方法
これらは、全て外科的に治療します。外鼻孔狭窄に対しては、鼻孔を広げる手術を行います。
軟口蓋過長は、過長して気道を狭くしている軟口蓋部分を切除します。また、反転喉頭小嚢も外反した部分を切除します。
短頭種気道症候群の場合、症状が軽度の時に手術を行った方が良いとされているので、短頭種の場合、若齢時に行う避妊手術や去勢手術の時に、合わせて行うのが良いかもしれません。

気管虚脱
気管虚脱とは、気管が押しつぶされて扁平化し、空気の流れが悪くなってしまう状態です。気管とは、喉と肺を結ぶ管で、様々な原因でその管の構造が保てなくなった結果、虚脱という状態になります。
症状
・首をのばすような姿勢で「ゼエ、ゼエ」という
・ガチョウが鳴くようなガーガーという咳やいびき
・咳が止まらない時がある
・呼吸困難
・時にチアノーゼがみられる
・ガチョウが鳴くようなガーガーという咳やいびき
・咳が止まらない時がある
・呼吸困難
・時にチアノーゼがみられる
好発犬種
チワワ、ポメラニアン、トイプードル、ヨークシャテリアなどが挙げられます。これらの犬種は「気管軟骨の成分がほかの犬種より少なく気管が潰れやすい」という性質から気管虚脱が起こりやすいと考えられています。
若齢でみられることもありますが、ほとんどの場合が中高齢以上でみられます。
診断方法
診断は、吸気(空気を吸った時)と呼気(空気を吐いた時)でレントゲン撮影を行い、気管が一部分細くなっていることを確認します。治療法
・内科療法
気管支拡張剤、鎮咳剤などを用います
・外科療法
気管内にステントを挿入する手術を行います
気管虚脱は、夏に悪化する傾向がありますので、要注意です。
また、散歩時に首輪をしていて、それが気管を圧迫することで悪化するケースもあるので、好発犬種は胴輪を用いるなどの工夫が必要です。
気管低形成
気管が本来の大きさまで発達しない、先天的な病気です。気管虚脱は呼吸時に気管が狭窄するのに対し、気管の低形成は常に気管が狭くなっています。
具体的に言えば“気管そのものが細い”状態で、常に鼻をつままれて呼吸しているような感覚になります。
症状
・首をのばすような姿勢で「ゼエ、ゼエ」という
・苦しそうに息をする
・いびき など
・苦しそうに息をする
・いびき など
気管虚脱と似た症状が見られますが、気管低形成の場合は咳があまり出ません。
(しかし、気管虚脱の場合は咳が伴う場合、伴わない場合の両方が認められています)
好発犬種
―診断方法
内視鏡による検査となります。治療法
治療は、内科療法が中心です。気管支拡張剤や鎮咳剤、抗生剤やステロイド剤などが状況に応じて使われます。
腫瘍
咽頭や喉頭部分に腫瘍ができることがあります。症状
・突然いびきをかくようになる
腫瘍の場合、今までいびきをかいていなかった中高齢以上の犬が突然いびきをかき始めたり、呼吸が苦しそうなどがみられたら、疑わしいです。
好発犬種
シニア犬など診断方法
診断は、レントゲン検査やCT検査などで行われます。咽頭や喉頭は口を開けただけでは分からないので、麻酔をかけての検査が必要になります。
治療法
治療法は腫瘍の種類によってさまざまです。多くは外科的に切除を行うか、(抗がん剤が効果的な腫瘍であれば)抗がん剤を使用するかに分かれます。
犬のいびき対策

日頃、飼い主が気を付けるだけで予防できることもあります。
生活空間の改善
タバコが気道を刺激し、分泌物が多く出るようになったことが原因でいびきをかくことがあります。もし、愛犬の周囲でタバコを吸っている人がいたら、近くで吸わないようにしてもらいましょう。
空気清浄機を設置するのも対策の一つです。
タバコの問題だけでなく、何か環境中の物質にアレルギーをもっているのであれば、空気清浄機を設置するだけでも効果的です。
部屋の温度管理も重要です。
短頭種の犬は、非常に暑さに弱いです。
夏、しっかりクーラーをきかせて、涼しくするだけで短頭種の犬は呼吸が楽になります。
そうすることで、呼吸器への負担を少しでも軽減できるかもしれません。
健康管理

もし、愛犬が肥満体型なのであれば、まず食事や運動をはじめとした健康管理を試みて下さい。
気道の圧迫が緩和され、いびきが少なくなる可能性があります。
胴輪にする
散歩をする時、多くの方が首輪を使用されていると思います。しかし、犬が散歩中ぐいぐいと引っ張ると、気管に刺激が加わります。
それが気管の状態を悪くしている可能性もありますので、咳をしやすい子などは、首輪ではなく胴輪に変えて様子を見ましょう。
かかりつけの病院で相談
いびきをかくには、何らかの原因が必ずあります。生まれ持った体質の問題かもしれませんし、病気が原因かもしれません。
その際は、いびきをかいている時の動画を撮って、実際に担当医に見せると具体的なお話がしやすくなります。

多少のいびきであれば、様子をみても良いかもしれませんが、少しでも気になることがあったら、必ず動物病院に相談しましょう。
文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。
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