2017年10月24日
【獣医師監修】犬のてんかんは治るの?~症状・原因・対処法~
愛犬が倒れて発作を起こしたら、どうしますか?
発作が起きる少し前、または短い発作が終わり、数分後には普段通りの元気があったとしたら、その発作は“てんかん”によるものである可能性があります。
突然の事態が起きても冷静に、かつ適切な対処ができることが理想ですよね。
てんかんとはどんな病気なのか、またそれはどんな前兆があるのか、完治はするのか……。今回は犬のてんかんの症状、原因、対処法などについてお話しします。
もくじ [非表示]
- 1 犬のてんかんの症状とは?
- 1.1 ①前駆症状(発作が始まる前)
- 1.2 ②徴候(発作の最初の徴候)
- 1.3 ③発作期(発作中)
- 1.4 ④発作後期(発作が起こった後)
- 2 発作が出た時、飼い主がやるべきことリスト
- 2.1 お互い、怪我をしないようにする
- 2.2 どうような発作だったかメモをする
- 2.3 周囲に中毒となるようなものは無いか?
- 3 犬のてんかんの原因
- 3.1 特発性てんかん
- 3.2 症候性てんかん
- 3.3 先天性
- 3.4 腫瘍
- 3.5 炎症性
- 3.6 血管性
- 3.7 固定性脳症
- 4 てんかんに間違えられやすい発作
- 4.1 代謝性疾患
- 4.2 ナルコレプシー(カタレプシー)
- 4.3 全身性振戦症候群、急性の前庭疾患
- 4.4 失神発作
- 5 犬のてんかんの治療法と、治療が必要な発作の条件
- 5.1 治療が必要なてんかんの「一定条件」とは
- 5.2 投薬療法
- 6 まとめ
犬のてんかんの症状とは?
てんかん発作は、①前駆症状、②徴候、③発作期、④発作後期に分けられます。発作の前後などに当てはまる症状はないか、こちらで確認してみてください。①前駆症状(発作が始まる前)
前駆症状とは“発作が始まる前”に出る症状です。症状としては、下記のようなものが挙げられます。・神経質な様子を見せる
・不安そうな様子を見せる(クーンと鼻で鳴いたりする)
・飼い主さんを捜し求める
・突然隠れる
・突然興奮する
・不安そうな様子を見せる(クーンと鼻で鳴いたりする)
・飼い主さんを捜し求める
・突然隠れる
・突然興奮する
すべての症状が当てはまるわけではありません。そばにいる方ならすぐに気付けるような変化が現れる場合もあれば、気付かないくらいの小さな変化しかみられないこともあります。
②徴候(発作の最初の徴候)
徴候は“発作の最初の徴候”のことを指します。具体的に説明すると、「発作が始まる数秒から数分前の行動の変化」です。症状としては、下記のようなものが挙げられます。・徘徊
・舌なめずり・嚥下(ごっくんと飲み込むしぐさ)
・よだれ
・嘔吐
・排尿
・吠える
・舌なめずり・嚥下(ごっくんと飲み込むしぐさ)
・よだれ
・嘔吐
・排尿
・吠える
犬によって徴候はさまざまですが、これらの症状が徴候だと把握しておけば、心構えや、その後の適切な対応が冷静にできるかもしれません。
③発作期(発作中)
いわゆる“発作”です。症状としては、下記のようなものが挙げられます。・転倒し意識を失う
・四肢をピーンと伸ばし痙攣発作を起こす(強直性けいれん)
・口から泡を吹く
・失禁をする
・遊泳運動(泳いでいるように手足をバタバタする、間代性けいれんの一つ)
・四肢をピーンと伸ばし痙攣発作を起こす(強直性けいれん)
・口から泡を吹く
・失禁をする
・遊泳運動(泳いでいるように手足をバタバタする、間代性けいれんの一つ)
これらの発作の症状は、通常数秒から数分で終わります。
しかし、「てんかん発作重積」といって、短時間にてんかん発作が繰り返し起こり、発作と発作の間に意識が回復しない状態、あるいは 5 ~ 30 分間以上もの間発作が続く状態になることもあります。
このような状態になった場合、脳圧の亢進、脳浮腫の進行、および神経細胞の過度の興奮により脳損傷が急速に進行し、脳にダメージを与えるだけでなく、最終的に亡くなってしまうこともあるので、早急な治療が必要になります。
④発作後期(発作が起こった後)
発作が起こった後の状態で、数分から数時間持続します。症状としては、下記のようなものが挙げられます。
・見当識障害(ボーとしたり、ふらついたり、徘徊したりなどの異常な行動)
・異常にお水を飲む
・食欲が過剰になる
・異常にお水を飲む
・食欲が過剰になる
発作後期の時間が過ぎると、犬自身はケロッとしていることが多いです。
症状は、決まった症状があるわけではなく、犬それぞれです。
多くの発作は数分でおさまりますが、てんかん発作重積の場合は緊急な処置が必要になるので、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
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次ページ:発作が出た時、飼い主がやるべきことリスト
発作が出た時、飼い主がやるべきことリスト
目の前で愛犬が発作を起こした時、多くの方が冷静ではいられないと思います。なので、ここでは発作が出た時、飼い主はどうするべきかお話したいと思います。お互い、怪我をしないようにする
これは、一番大事な事です。愛犬が初めて発作を起こした場合、多くの方は慌てふためきます。咄嗟に犬に手を差し伸べた時に、噛まれることがあります。発作が起きている間は、不用意に手を出さないようにして下さい。
また、発作中は犬の身体がどのような動きをするかは予測不可能です。
周りに、犬の身体を傷つけるようなものが無いか、ぶつかるとまずいものは無いか、しっかり確認して下さい。
どうような発作だったかメモをする
発作が起きて動物病院に行った時、必ず聞かれるのが「どのような発作でしたか?」という質問です。具体的には下記のようなことを聞かれると思います。
・発作が起きていた時間
・発作が起きるまでの様子
・発作中の様子
・発作後の様子
・発作が起きるまでの様子
・発作中の様子
・発作後の様子
例えば、「バタンと大きな音がしたので、駆け寄ってみると足をピーンと延ばして横に倒れていた。
その後足をバタバタさせていた、発作の時間としては3分くらい。
発作後、少しボーっとしていたが、15分くらいで元に戻った」というような内容で十分かと思います。
周囲に中毒となるようなものは無いか?
スイセンの茎・葉や、イエロージャスミンの花・葉、チョコレート、キシリトール、除草剤などが中毒の原因となる可能性があります。周囲にこういったものが落ちていないか確認をして下さい。思い当たるものがあれば、動物病院に相談をして下さい。
次ページ:犬のてんかんの原因
犬のてんかんの原因
てんかんは脳疾患のひとつで、脳の電気的なトラブルにより生じます。そして、一生涯付き合っていかないといけないケースが多いでしょう。
てんかんの原因は様々で、原因によって「特発性てんかん」と「症候性てんかん」の二つに分かれます。
特発性てんかん
脳内に明らかな原因が認められない、原因不明のてんかん発作は「特発性てんかん」という診断になります。特発性てんかんは、 1 ~ 5 歳の間での発症が多いと言われています。
原因不明の場合は、血液検査、レントゲン検査、エコー検査、CTやMRI検査まで行い、診断していきます。
症候性てんかん
脳内に何らかの原因が認められ、それらが原因で発作が起こるてんかんを「症候性てんかん」と言います。症候性てんかんには、様々な原因があります。
先天性
先天性には、水頭症や水無脳症、くも膜嚢胞、ライソゾーム病、滑脳症などが挙げられます。腫瘍
腫瘍には、脳原発性のものと、転移性のものがあります。脳腫瘍の多くは、高齢になって発生することが多いので、高齢になっててんかん発作がみられた場合、腫瘍性の可能性があります。
炎症性
炎症性には、髄膜脳炎、真菌・寄生虫性・細菌性脳炎、灰白脳脊髄炎、ウイルス性脳炎などが挙げられます。血管性
血管性には、梗塞や出血があげられます。人同様、犬にも脳梗塞があります。固定性脳症
過去、怪我や事故などによって脳損傷が起き、その後遺症として発作が起きることがあります。このように、てんかん発作が起きる原因は様々です。
原因を突き止めるためには、血液検査、レントゲン検査、エコー検査などの一般的な検査に加え、CT検査やMRI検査、脳脊髄検査などの積極的な検査が必要になります。
次ページ:てんかんに間違えられやすい発作
てんかんに間違えられやすい発作
発作が起きると、すべてが「てんかん」によるものだと思われがちですが、てんかんに間違われやすい発作もあります。代表的なものを列挙します。代謝性疾患
低血糖や低カルシウム血症、肝性脳症(肝不全によって生じる)、尿毒症性脳症(腎臓病の悪化によって生じる)、高/低カリウム血症などでも発作が起こる事があります。ナルコレプシー(カタレプシー)
睡眠発作と呼ばれ、突発的に睡眠状態に至る発作です。遺伝性だった場合には、生後6 ヶ月までには発症します。
また、ナルコレプシーの症状の一つにカタレプシーという状態があり、意識が残っていても全身が脱力してしまい“身体を動かすことができない状況”に陥る場合もあります。
これらの発作が入り交じって 1 日に数回と起きる場合もあります。
全身性振戦症候群、急性の前庭疾患
全身性振戦症候群では、全身の振戦(筋肉の収縮と弛緩がリズミカルに繰り返されること)が起こる事で歩行もままならない状況となります。急性の前庭疾患も、突然の回転運動や運動失調などが起きます。
失神発作
失神発作とは、脳への酸素供給が低下あるいは一時的に途絶えたことによって起こる発作です。てんかん発作との違いは、発作後の状態です。てんかん発作の後にはもうろう状態が観察されますが、失神発作では認められません。
失神発作は固まる感じで強直が起こり、そのまま転倒する発作が多くみられます。
しかし、転倒後、 10 秒間前後ですぐに立ち上げり、何事もなかったように歩き始めます。
失神発作の原因は、不整脈や心不全、心奇形などがあります。胸部のレントゲン検査や心臓のエコー検査、心電図検査を用いて診断することができます。
てんかん発作かどうかを見極めるためには、全身のスクリーニング検査が必要です。
血液検査やレントゲン検査、エコー検査、心電図、CT検査、MRI検査などが状況次第で行われます。
次ページ:犬のてんかんの治療法と、治療が必要な発作の条件
犬のてんかんの治療法と、治療が必要な発作の条件
てんかんの治療法は、内科的な治療が基本になります。一度てんかん発作が出たからと言っても、そこからずっと治療しないといけないというわけではなく、ある一定条件以上の発作の時は治療をした方がいいと言われています。
治療が必要なてんかんの「一定条件」とは
・月に 1 回以上の発作(あるいは、 6 週間で 2 回以上の単発の発作)
・群発発作(※)を起こした場合(あるいは、 8 週間で 2 回以上の群発発作)
・発作重積を起こした場合
・脳に発作の原因となる病気があることが確定した場合
・頭部外傷を受けて 1 週間以内に初発の発作がみられた場合
・群発発作(※)を起こした場合(あるいは、 8 週間で 2 回以上の群発発作)
・発作重積を起こした場合
・脳に発作の原因となる病気があることが確定した場合
・頭部外傷を受けて 1 週間以内に初発の発作がみられた場合
(※)…群発発作とは、意識の消失は認めないものの、数日間にわたり複数回の発作が反復して起こる状態、あるいは短時間(数分間~数時間)に発作を何回も繰り返す状態を言います。
投薬療法
てんかん発作のコントロールは、内服薬でのコントロールが基本になります。内服薬は数種類あり、単独投与もしくは、併用療法を基本的に一生涯行っていくようになります。
投薬によるコントロールの目標は“発作の頻度を減少させること”です。
投薬開始後、てんかん発作がまったく無くなることが理想ですが、複数の薬を併用してもコントロールが上手くいかない難治性てんかんの場合もあります。
治療後、どのように発作の状況が変化するかは、個体差があります。
どの抗てんかん薬も副反応があります。
副反応としては、投与後、ふらつきが出たり、沈うつ状態になったり、食欲がなくなったりなどがあります。また、長期的に使用することで、肝障害や腎障害ができることもあります。
ですので、定期的な動物病院への通院での診察、血液検査などが必要になります。
投与後は、しっかり獣医師の指示に従って、正しくお薬を飲ませてください。
まとめ
必ずしもではないですが、てんかん発作が起きる時に規則がある時があります。例えば、空腹時間が長い時や、大きな音がした時など、その規則は、犬によって異なります。
もし、規則があるのであれば、その状況をできるだけ避けるようにしましょう。
例えば、空腹時間が長くなると発作が起きやすくなるのであれば、こまめにご飯をあげるようにすれば、発作を防ぐことができるかもしれません。
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文:Qpet編集部
犬の病気やしつけ、犬との暮らしに役立つハウツー情報などをお伝えしていきます。
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